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フォトダークニングとフォトブリーチング

ドキュメント内 Sr 光格子時計用 813 nmTm (ページ 59-63)

3. Tm 3+ :ZBLAN ファイバを用いた光格子用 レーザーの開発

3.2. フォトダークニングとフォトブリーチング

れよりモードホップしない波長領域内で 813.42 nm を出力できることを確認さ れる。そして 813.42 nmが出力される温度に温度制御された ECLDを用いて増 幅実験を行なった。

図 3.4  温度に対する出力される波長(100 mA時)

Tm3+添加ZBLANファイバ(ファイバーラボ(株))の添加濃度は15000 ppm、

コア径4.5 µm、NA=0.12、長さ45 cmのものを用いた。励起レーザーは1050 nm のYb3+:ファイバレーザーを用いた。そして、Tm3+添加ZBLANファイバの励起 光入射側の 8 研磨されフェルールはジグで固定されている。ECLD の光の入射 パワーは約 10 mW である。Yb ファイバレーザーで励起した直後の増幅出力の 時間変化を図3.6に示す。図3.6の縦軸は増幅出力の減少が始まった時の出力値 で規格化されている。横軸は時間である。図3.6(左)のようにフォトダークニ ングによって813 nmの増幅出力が減少している事が確認できた。

次にこれまで報告されているフォトブリーチングについての論文を参考に

[113], [116]、532 nmの光によるフォトブリーチングを試みた。使用したTm3+

加ZBLANファイバはフォトダークニングしたファイバを使った。532 nmのレ

ーザーは昭和オプトロニクス社製のダイオード励起固体 (DPSS: Diode Pumped Solid State )レーザー(JUNO)を用いた。増幅動作中に532 nmの光を入射し813 nm の増幅出力が回復するかどうかを調べた。図 3.6(右)の縦軸は 532 nm の光を 入射(入射パワー約1 mW)した時の増幅出力(813 nm)で規格化されている。

そして、532 nmの光を入射する事によって増幅出力(813 nm)が回復した(図

3.6(右))。これより、532 nmの光によって813 nm におけるフォトダークニン グによる損失が除去される事がわかった。この実験より、これまで課題となって いた出力の不安定性や再現性の問題に対する原因がTm3+添加ZBLAN ファイバ のフォトダークニングにあると明らかになった。

図 3.5  フォトブリーチングしながら増幅実験した時の実験系概略図

図 3.6  フォトダークニングによる増幅出力の減少(左)とフォトブリーチングに よる増幅出力の上昇

この実験から、高い出力で安定に動作させるためにはフォトダークニングの 抑制が必須であると考えた。そして、フォトダークニングの抑制には532 nmに よるフィトブリーチングが有効であるとわかった。

3.2.2. 吸収スペクトル変化 

次に、フォトブリーチングやフォトダークニングによる吸収スペクトルの変 化を測定した。

白色光をTm3+添加ZBLAN ファイバに入射して、その透過光を光スペクトラ

ムアナライザ(AQ6374)で測定した。白色光にはSC(Super Continuum)光源 (SC-5, YSL photonics)を用いた。SC光はパワーが強いのでそのままTm3+添加ZBLAN ファイバに入射するとダークニングやブリーチングが起きてしまう。そのため 白色光の入射パワーを1 mW以下に減衰して使用した。

増幅実験系は図 3.5 と同様な構成である。この実験で使用した Tm3+添加 ZBLANファイバはコア径4.8 µm、長さ300 cm、添加濃度5000 ppmである。SC 光透過スペクトルは、SC光源とTm3+添加ZBLANファイバをアダプタで結合し

Tm3+添加ZBLANファイバから出射されるSC光の透過光を光スペクトラムアナ

ライザで測定することで得た。まず、フォトダークニングしていないフレッシュ

なTm3+添加ZBLANファイバの透過光スペクトルを測定した(図3.7 青)。図3.7

の黒色のスペクトルは入射されるSC光のスペクトルを測定したものであり、十 分に小さい出力の白色光である事がわかる。次に増幅実験後のSC光透過スペク

トルを測定した。励起光源には1220 nmと1050 nmのファイバレーザーを使用 し2波長励起を行った。信号光(813 nm)の入射パワーは約20 mW、そして10 Wの励起パワー(4 W: 1220 nm、6 W: 1050 nm)で2分間増幅実験を行い、SC光 透過スペクトルを測定した(図3.7 水色)。フォトダークニング後の透過光スペ クトル変化より可視領域で損失が増加していることがわかる。これはカラーセ ンター特有の損失として知られており、フォトダークニングによって損失がで きていると確認できた。しかし、一般的には短波長になるにつれて損失が大きく なっていくはずだが、530 ~ 540 nmにおける損失だけ小さくなっている。この原

因は1060 nm ~ 1070 nmのSC光のゴースト(2次回折光)だと考えられる。最

後に 532 nm でフォトブリーチングを行った後の吸収スペクトル変化を測定し

た。532 nmの光(約150 mW)を信号光側から2分間入射した後のSC光透過ス

ペクトルを図3.7(赤色)に示す。これより、532 nmの光によってPDによる損 失が減少しフォトブリーチングが行われ事がスペクトル上でも確認できた。こ の結果から、532 nmのフォトブリーチングが PD による損失抑制に効果的であ

り813 nmの安定な増幅動作に必須であるとわかった。

近赤外域の損失についてはPDする前の状態にほとんど戻す事ができたが、短 い波長帯では損失が残ってしまう結果となった。この結果から、532 nmのフォ トンエネルギーでは短波長に吸収を持つカラーセンター(電子­ホール対)を再 結合できなかったため、吸収が残ってしまったと考えられる。フォトブリーチン グ効果はフォトンエネルギーに依存することが知られているため[125]、短波長 の吸収を取り除くためにはより高いフォトンエネルギーのレーザー光を用いる 必要があると考えられる。

図 3.7  SC光の透過スペクトル(黒:SC光、青:ダークニング前、水色:ダークニング 後、赤:フォトブリーチング後)

3.3. Tm

3+

添加 ZBLAN ファイバ増幅器の増幅出力のシ

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