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カスケードファイバアンプ増幅動作時に生じるフォトダー クニング効果

ドキュメント内 Sr 光格子時計用 813 nmTm (ページ 96-99)

3. Tm 3+ :ZBLAN ファイバを用いた光格子用 レーザーの開発

3.5. SNR の向上と長期動作に向けたカスケードアンプ の開発

3.6.2. カスケードファイバアンプ増幅動作時に生じるフォトダー クニング効果

あたりの損失が小さくなっている。これは1060 -1070 nmの光のゴースト(2次 回折光)でありフォトダークニングによる損失ではない。そのため、600 nm以 下の領域については光スペクトルアナライザの雑音に埋もれてしまっているた め不明である。

図 3.35  SC光透過スペクトル(青:ダークニング前、水色:ダークニング後、赤:813 nmによるフォトブリーチング後)

3.6.2. カスケードファイバアンプ増幅動作時に生じるフォトダー

ニングによって生じた損失がフォトブリーチングで完全に元に戻るかどうか調 べた。透過光スペクトルは光スペクトラムアナライザ(AQ-6315A: 安藤電気株 式会社)を用いて分解能2.0 nmで測定した。

カスケードMOPAの構成を図3.36に示す。使用したTm3+添加ZBLANファイ バ(ファイバーラボ(株))は添加濃度15000 ppm、コア径4.6 µm、長さ100 cm、

NA=0.12のフォトダークニングしていないTm3+添加 ZBLANファイバであり、

片側がシリカファイバ(780HP)と機械的に 1dB 以下の損失で結合されている

(Mechanical splice)。信号光はプリアンプで増幅され、約100mWのパワーが利

得ファイバに入射される。励起用レーザー(YbFL)で後方からコア励起した。

Tm3+添加ZBLANファイバの励起光側端面(フェルールで固定されたZBLANフ

ァイバ)はこれまでと同様に無酸素銅のジグで固定されている。増幅されたパワ ーはパワーメータ(S314C、Thorlabs, Inc.)で測定し、増幅動作が正常に行われ ていることを確認した。

まず、増幅実験前に813 nm(100 mW)と532 nm(200 mW)を入射して透過 光スペクトルが変化するか調べたが、SC光透過スペクトルが変化しない事を確 認した。つまり、813 nmや532 nmではファイバの損失が変化しないことを確認 できた。

フォトブリーチングはこれまでと同様に DPSS レーザー(SDL-532-800T : Shanghai Dream Lasers Technology Co., Ltd)を用いた。

図 3.36  カスケードMOPAの増幅実験とフォトブリーチング

最初に、SC光源のスペクトルを測定した(図3.37:水色)。そして次に、フォ トダークニングされていないフレッシュなファイバの SC 光透過スペクトルを 測定した(図3.37:青色)。その後1.5 W 入射励起パワーで2分間増幅動作し、

SC光透過スペクトルを測定した(図3.37:緑色)。この結果より、増幅実験によ ってフォトダークニングが生じていることがわかる。そしてその後、532 nmの

DPSSレーザー(入射パワー:100 mW)でフォトブリーチングを行い、再度SC 光透過スペクトルを測定した結果が赤色のスペクトルである。この結果より1.5 Wの増幅動作で生じたフォトダークニングを損失は100 mWの532 nmを入射す ることでダークニング前の状態に戻ることが確認できた。

図 3.37  カスケードMOPAの動作(1.5 W励起)によるSC透過光スペクトルの変化

(水色: SC光源、青:ダークニング前、緑:増幅後、赤:フォトブリーチング後)

ダークニング前の状態に戻ることが確認できたので、次に入射励起パワーを

2.5 Wにして同様の実験を行なった。使用したファイバは入射励起パワー1.5 W

時と同じファイバである。その結果を 3.38 に示す。入射励起パワー1.5 W 時と 同様に2分間増幅動作した後のSC透過光を測定し、そのあと100 mWの532 nm でフォトブリーチングした後同様にSC透過光スペクトルを測定した。2.5 W励

起時では1.5 W時よりもフォトダークニングによる損失が大きいが、1.5 W時と

同様に532 nmのフォトブリーチング(2分間)でフレッシュな時と同程度のSC

透過光スペクトルまで戻ることが確認できた。フォトブリーチングを同時に行 いながら同様の実験を行なった場合も 2 分間の増幅動作ではフォトダークニン グによる損失の増加は見られなかった。

図 3.38  カスケードMOPAの動作(2.5 W励起)によるSC透過光スペクトルの変化

(水色: SC光源、青:ダークニング前、緑:増幅後、赤:フォトブリーチング後)

この実験より、カスケードMOPA(入射信号光パワー:100 mW)において2.5 Wの入射励起パワーで 2 分程度の増幅する実験ならば生じたフォトダークニン グの損失はフォトブリーチングによって取り除くことができるとわかった。次 項では、念のためシリカファイバと機械的結合した新しいTm3+添加ZBLAN フ ァイバを用意し、様々な信号光パワーで増幅実験を行なった。

以上の実験から以下のことがわかった。

ⅰ 入射励起パワー1.5 W、2.5 W時のカスケード MOPA増幅実験時にフォト ダークニングで生じる損失は532 nmのフォトブリーチングで完全に損失が回復 する

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