第5章 クレストファクタ制御
5.3 フィボナッチ数列と黄金比を用いた初期位相設定方法
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次に、図 5.2.6(左)に初期位相の値と k の関係、図 5.2.6(右)に初期位相と出現順の関係 を表したグラフを示す。図 5.2.6(左)の近似曲線の式を利用して初期位相を設定し、トーン 数 N=1024 で生成したマルチトーン信号の時間軸波形と極座標表示した初期位相が図 5.2.7 である。このとき、クレストファクタは 12.4[dB]であった。もとの C=16 におけるクレスト ファクタは 15.1[dB]であり、時間軸波形や初期位相の様子が異なることから、近似曲線を 利用した初期位相設定法ではクレストファクタの変動を再現できていないことがわかる。
初期位相の出現順については規則性の分析が不十分であることから、応用方法については 検討中である。
図 5.2.6 初期位相と k の関係(左)と初期位相と出現順の関係(右)
図 5.2.7 近似曲線で設定した初期位相のマルチトーン信号
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これを基準として、式(5.3.2)によってフィボナッチ数列の位相を生成する。
𝜃𝑘= 𝜃𝑘−2+ 𝜃𝑘−1 (5.3.2)
次に黄金比を利用した初期位相設定方法について説明する。こちらもフィボナッチ位相 同様に、式(5.3.1)において 1 つ目の位相(𝜃1)を決定する。そして、式(6.3.3)によって黄金 比位相を生成する。
𝜃𝑘= 1.618 × 𝜃𝑘−1 (5.3.3)
今回のシミュレーションにおいては、A を 1.0 から 100.0 まで 0.1 刻みで変化させた。ト ーン数は N=1024、時間軸は 0 から 8191 までの 8192 ポイントに設定してシミュレーション を行った。図 5.3.1 にフィボナッチ位相、黄金比位相で得られたクレストファクタの変動域 と Newman 位相の応用(6.1)で C を 1.0 から 100.0 まで 0.1 刻みで変化させたときに得ら れたクレストファクタの変動域を比較したグラフを示す。図を見ると、フィボナッチ位相も 黄金比位相も共に 10[dB]から 15[dB]までのおよそ 5[dB]の範囲でクレストファクタを高い 分解能で得られることがわかる。しかし、Newman 位相を応用した初期位相設定法では得ら れるクレストファクタの変動域は 4.6[dB]から 21[dB]までの 16.5[dB]であることから、こ の初期位相設定方式では 3 分の 1 程度の範囲のクレストファクタしか得ることができない ことがわかった。
図 5.3.1 クレストファクタの変動域の比較
図 5.3.2 では、フィボナッチ数列を利用して設定した位相を初期位相とするマルチトー ン信号について、時間軸波形(左側の図)と極座標表示した初期位相(右側の図)を示す。
ここでは、代表例として、10[dB]、11[dB]、12[dB]、13[dB]、14[dB]の結果を示す。また、
時間軸波形の振幅は1に正規化した。
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(a)A=79.7 CF=10.1[dB]
(b)A=79.3 CF=11.0[dB]
(c)A=47.0 CF=12.0[dB]
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(d)A=96.2 CF=13.0[dB]
(e)A=97.3 CF=14.0[dB]
図 5.3.2 フィボナッチ位相のマルチトーン信号
図 5.3.3 では、黄金比を利用して設定した位相を初期位相とするマルチトーン信号につ いて、時間軸波形(左側の図)と極座標表示した初期位相(右側の図)を示す。ここでは、
代表例として、10[dB]、11[dB]、12[dB]、13[dB]、14[dB]の結果を示す。また、時間軸波形 の振幅は1に正規化した。
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(a)A=29.7 CF=10.2[dB]
(b)A=42.0 CF=11.0[dB]
(c)A=72.4 CF=12.0[dB]
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(d)A=4.2 CF=13.0[dB]
(e)A=39.8 CF=14.0[dB]
図 5.3.3 黄金比位相のマルチトーン信号
図 5.3.2 と図 5.3.3 を見ると、Newman 位相を応用した初期位相設定方法で生成したマル チトーン信号(図 5.2.3)よりも、クレストファクタが大きくなっても時間軸波形の質があ まり変化せず、ランダムノイズに似た信号になっていることがわかる。また、極座標表示の グラフを見ても、Newman 位相の応用の結果と異なり、使用する初期位相はガウス平面にま んべんなく現れるように調整できていることがわかる。また、フィボナッチ位相と黄金比位 相の結果はほぼ同等である。