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第5章 クレストファクタ制御

5.2 Newman 位相を応用した初期位相設定方法

まずは、Newman 位相を応用してクレストファクタを調節したマルチトーン信号生成の方 法を示す。この方法では、式(5.2.1)のように Newman 位相に変数 C をかけたものを各トーン の初期位相として用いる。トーン数は N=1024、時間軸は 0 から 8191 までの 8192 ポイント に設定してシミュレーションを行った。

𝜃𝑘= 𝐶 ∙(𝑘 − 1)2

𝑁 𝜋 (5.2.1)

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図 5.2.1 に刻み幅を 0.1 に固定し、C を 1.0 から 100.0 までと 1.0 から 50.0 までに変化 させる場合に得られるクレストファクタを比較したグラフを示す。クレストファクタの変 動域は、C を 1.0 から 100.0 まで変化させた場合はおよそ 4.5[dB]から 21[dB]までの 16.5[dB]、C を 1.0 から 50.0 まで変化させた場合はおよそ 4.5[dB]から 18[dB]の 13.5[dB]

となった。刻み幅が同じ場合、C を変化させる範囲を広くすると、得られるクレストファク タの変動域が広くなることがわかる。

図 5.2.1 クレストファクタの変動域(C の範囲を変化させた場合)

次に、図 5.2.2 に、C を 1.0 から 100.0 まで 0.1 刻み、0.5 刻み、1.0 刻みでシミュレー ションした際に得られたクレストファクタを昇順に並べたグラフを示す。C の刻み幅を変え てもクレストファクタの変動域はおよそ 4.5[dB]から 21[dB]の間で変化せず、どの刻み幅 においても 6[dB]から 10[dB]の範囲で分解能が高いことが分かった。

図 5.2.2 クレストファクタの変動域(刻み幅を変化させた場合)

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図 5.2.3 に、6.5[dB]以下の拡大図と 10[dB]以上の拡大図を示す。この図をみると、0.1 刻みにおいてクレストファクタの分解能が最も高くなっていることから、刻み幅を小さく するほど高い分解能を得られることが分かった。一方で、5.5[dB]以下と 16[dB]以上にお いて分解能が低くなってしまっていることもわかる。

(a)CF=6.5[dB]以下の拡大図 (b)CF=10[dB]以上の拡大図 図 5.2.3 刻み幅ごとの分解能の違い

図 5.2.4 に、C を 1.0 から 100.0 まで 0.1 刻みで変化させたときの、マルチトーン信号の 時間軸波形(左側の図)と極座標表示した各トーンの初期位相(右側の図)を示す。時間軸 波形については、振幅を1に正規化している。

(a)C=54.6 CF=6.01[dB]

(b)C=93.5 CF=7.00[dB]

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(c)C=20.6 CF=8.00[dB]

(d)C=53.4 CF=9.00[dB]

(e)C=5.2 CF=10.0[dB]

(f)C=88.4 CF=11.0[dB]

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(g)C=8.0,72.0 CF=12.0[dB]

(h)C=95.7 CF=13.1[dB]

(i)C=13.3 CF=14.2[dB]

(j)C=16.0 CF=15.1[dB]

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(k)C=76.8 17.2[dB]

(l)C=32.0 CF=18.1[dB]

(m)C=64.0 CF=20.1[dB]

図 5.2.4 応用 Newman 位相の CF 変動マルチトーン信号

図 5.2.4 を見ると、C を 1.0 から 100.0 まで変化させると、クレストファクタは 4.5[dB]

から 21[dB]程度までの広い範囲で変動させることが可能であるが、クレストファクタが 15[dB]以上になると時間軸波形の質がかなり悪くなってしまっていることがわかった。ま た、波形の質が悪くなるにしたがって、マルチトーン信号の各トーンの初期位相は、限られ た値しか使用されないという傾向があるとわかる。

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次に、クレストファクタが高くなって、マルチトーン信号に使用される初期位相の種類が 少なくなったとき、それらの位相がどのような順で出現しているのかを分析する。例として、

C=16(CF=15.1[dB])の場合について考えると、図 5.2.4 の(j)より 23 種類の初期位相が使用 されている。このマルチトーン信号で使用されている 1024 個の初期位相を単位円1周ずつ

(2𝜋ずつ)にわけて表示すると、図 5.2.5 の結果が得られた。この結果から、1周目で半数 の初期位相が出現し、8周目にすべての初期位相が出現することがわかった。

(a)0 ≤ 𝜃𝑘< 2𝜋(1 周目) (b)2𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 4𝜋(2 周目)

(c)4𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 6𝜋(3 周目) (d)6𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 8𝜋(4 周目)

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(e)8𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 10𝜋(5 周目) (f)10𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 12𝜋(6 周目)

(g)12𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 14𝜋(7 周目) (h)14𝜋 ≤ 𝜃𝑘< 16𝜋(8 周目)

図 5.2.5 C=16 における初期位相の出現順

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次に、図 5.2.6(左)に初期位相の値と k の関係、図 5.2.6(右)に初期位相と出現順の関係 を表したグラフを示す。図 5.2.6(左)の近似曲線の式を利用して初期位相を設定し、トーン 数 N=1024 で生成したマルチトーン信号の時間軸波形と極座標表示した初期位相が図 5.2.7 である。このとき、クレストファクタは 12.4[dB]であった。もとの C=16 におけるクレスト ファクタは 15.1[dB]であり、時間軸波形や初期位相の様子が異なることから、近似曲線を 利用した初期位相設定法ではクレストファクタの変動を再現できていないことがわかる。

初期位相の出現順については規則性の分析が不十分であることから、応用方法については 検討中である。

図 5.2.6 初期位相と k の関係(左)と初期位相と出現順の関係(右)

図 5.2.7 近似曲線で設定した初期位相のマルチトーン信号

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