を得ることに目的に, 容積密度数, 晩材仮道管長, および縦圧縮強さのバラツ キを検討した.
4. 2. 実験材料と方法
4. 2. 1. 試験木
九州大学福岡演習林の 25年生ヒノキ林分, および福岡県嘉穂郡の民有林の 約20年生ヒノキ林分を対象に, 各林分それぞれ50本を選び伐倒し試験木とし た. また, 九州大学北海道演習林の41年生カラマツ林分から20本を選び伐倒 し試験木とした. 各試験木の樹高, および胸高直径(ヒノキは胸高直径のみ) を測定した後, 各試験木の胸高部位から10cm厚円板と50cm厚円板を採取し,
以後の実験に供した.表4 .1に各試験木の樹高,胸高直径の平均値,標準偏差,
および変動係数を示している.
4. 2. 2. 基礎的性質の測定
10cm厚の円板の無欠点部位から, 髄を頂点にした扇形試験片(中心角300 ) を切り出し, 続いて髄から5年輪ごとに分割した. この5年輪を含む試験片 の 容積密度数, 平均年輪幅, 平均晩材率を, またヒノキでは髄から5年輪目とlS 年輪目, カラマツ材では髄から5年輪目と2S年輪目における晩材仮道管長を
第4章と同じ方法により測定した. ここでは, これまでの報告(太田, 1972) に基づき, ヒノキ材では, 髄から10年輪目までを, また, カラマツ材では,
髄からlS年輪目までを未成熟材部, それ以後の年輪を成熟材部として研究を おこなった.
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表4.1 ヒノキおよびカラマツの試験木数と樹高および胸高直径
ヒノキ カラマツ
嘉穂 粕屋 九大北海道演習林41年生林分 胸高直径 胸高直径 樹高 胸高直径
(cm) (cm) (m) (cm)
試験木数 50 50 20 20
平均値 13.4 12 23.1 23.8
標準偏差 1.2 1.9 3.1 3.6 変動係数(%) 9.0 15.9 13.6 15.0
4. 2. 3. 縦圧縮試験
50cm長丸太を用い, ヒノキでは未成熟材と成熟材の無欠点部分から, カラ マツでは成熟材から それぞれ数個の縦圧縮試験片用ブロックを切り出し, 恒 温恒湿室中で4ヶ月間調整したのち,2cm (R方向)X2cm (T方向)X6cm (L 方向)の縦圧縮試験片を製作した. 試験片の気乾比重を測定するとともに縦圧 縮試験を行い, 縦圧縮強さと縦圧縮ヤング率を求めた. なお, 2個以上の試験 片が得られた試験木では, 平均値をその試験木の値とした.
4. 3. 結果と考察
4. 3. ,. 容積密度数のバラツキ
表4.2 には, ヒノキ樹幹の胸高部位で得られた容積密度数の平均値, 標準偏 差, 変動係数を横断面内の部位ごとに示す. 表4.3には, カラマツの樹幹胸高 部位で得られた結果を表4.3に示す. また, 試験木を採取した林分と同様の施 業がおこなわれている九州大学北海道演習林内のさまざまな林分から得られ たデータ(九州大学農学部木材理学教室,1986, 1987)についても表4.3に併 せて示している. ヒノキ樹幹横断面内では, 容積密度数は髄付近で大きく, 外 方に向かうにつれて低下し,髄から10""'15年輪目で一定の値になると報告(太 田,1972)されているが, ここでも同様の結果が得られ, 1""'5年輪部位の容 積密度数は他の部位よりも大きな値を示した. ヒノキに認められるこの傾向は,
目立述したスギ品種にも見られる傾向と同じである. これに対し, 表4.3による と, カラマツ樹幹横断面内では髄付近の容積密度数が最も低く, その後,年輪 番号が進むにつれて容積密度数は高くなり, 髄から16""'20年輪自の部位以降
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部 位
1---5年輪
、�、‘l 6---10年輪 11---15年輪 16 "-'最外年輪
胸高横断面
表4.2 同一林分で生育したヒノキの容積密度数のバラツキ
2林分平均 嘉穂 粕屋
試験木数 平均値 標準偏差 変動係数 試験木数 平均値標準偏差変動係数試験木数平均値標準偏差変動係数
(本) 100 100 100 100
(kg / m3) (kg / m3) 477 48 433 40.3 398 33.6 402 29.7
(%) 10.1
9.3 8.5 7.4
(本) (kg/m3) (kg/m3)
50 458 40.7
50 513 39.9
50 380 27.6
50 406 30.1
(%) (本) (kg/m3) (kg/m3) (%)
8.9 50 499 38 7.5
8.2 50 453 36 7.9
7.3 50 415 29 6.9
50 398 28 7.1
7.4 50 422 28 6.5
表4.3 カラマツの容積密度数のバラツキ
異なる林分 同一林分
部 位 試験木数 平均値標準偏差変動係数 試験木数平均値標準偏差 変動係数
(本) (kg / m3) (kg / m3) (%) (本) (kg/m3) (kg/m3) (%)
1---5年輪 106 363 34.5 9.5 20 358 31.2 8.7
CよK』コ 6---10年輪 106 378 38.6 10.2 20 392 37.4 9.5
11---15年輪 105 400 41.8 10.5 20 413 31.7 7.7 16---20年輪 96 416 41.9 10.1 20 447 30.7 6.9 21---25年輪 67 444 37.3 8.4 20 459 35.8 7.8 26---30年輪 35 442 39.3 8.9 20 451 31.9 7.1 31---最外年輪 20 455 35.0 7.7 20 455 34.2 7.5 胸高部横断面 106 401 36.2 9.0 20 431 30 7.0
では安定する傾向を示している. こ の傾向は, アカマツ(太田, 1972), テー ダマツ(Bendtsen,1978), ラジアタパイン(Cown ら,1980), その他多数のマ ツ属の樹種(Zobelら 1989)に認められ, カラマツはいわゆるマツ型の変動を
示す樹種であると判断される.
容積密度数のバラツキの程度を表す変動係数について次の結果を得た. ヒノ キ未成熟材部では, 嘉穂産で8.2""'8.9%, 粕屋産で7.5""'7.9%の値を, 成熟材部 では, 嘉穂、産で7.3%, 粕屋産で6.9""'7.1%の値を得た. 樹幹横断面の各部位間 に大きな差を認めなかった. 横断面内の変動係数は, 嘉穂産で 7.4%, 粕屋産 6.5%であり, 両林分の変動係数値には大差が認められないことから, 林分を単 位として変動係数値をみれば, 7""'8 %であるといえる. 一方,カラマツでは,
未成熟材部で7.7""'9.5%, 成熟材部で6 .9""'7.5%の値を得た . すなわち, ヒノキ 向原, 変動係数値の樹幹横断面の各部位聞に大きな違いは認められないようで ある. なお, 当然のことである が, 同一施業がおこ なわれている 林分であって も, 林分が異なればバラツキは大きくなり, 同一林分での変動係数は 7%の値 である のに対し, 9%の値であった.
こ こ で, ヒノキとカラマツのそれぞれで, 樹種内での容積密度数のバラツキ をより深く理解する ために, 他樹種で得られている 結果を参考値として述べれ ば次のとおりである. 前述した ように同一林分で生育した スギ品種内の変動係 数値 は3""'6%であり, 小田ら(1989)は, 同一林分で生育した 25年生のヒゴ メアサ, ホンスギ, アヤスギ, ヤブクグリのスギ4品種を対象に容積密度数の 品種内バラツキを求め, その変動係数に 5.9""'8.8%を得ている. また , 外国産 樹種についての報告では, 種々の林分で生育したマツ属の一種で, 11.3%の値 を示し(Eguiluz-Piedraら, 1986), 種々の林分から収集された カナダ産のトウ ヒ属 , マツ属およびカラマツ属の各樹種内の結果では, 8.5""'14.5%の値である とされているCSingh, 1987). さらに, アメリカ産マツ属とトウヒ属で得られ
た結果CKoch,1972)から変動係数を算出すると, 樹種内で8""'12%の値とな る. 樹種および品種, 産地, 本数, 測定方法などの条件が異なるので, これら の値を直接に比較することはできないが,生育の環境条件差が小さいと見なさ れる一林分内で生育するヒノキおよびカラマツでは, 容積密度数のバラツキが,
他の針葉樹材に比べて,異常に大きいとはいえない. この実験的研究の結果で は, 林分数が限られており, さらに多くの林分について測定を行い, データを 蓄積する必要があるが, そのバラツキは変動係数で示すと,おおよそ10%前後 であり, スギ品種に比べてやや大きいようである.
4. 3. 2. 仮道管長のバラツキ
表4.4 には,ヒノキについて,髄から5年輪目と15年輪自における晩材仮道 管長の平均値, 標準偏差, 変動係数を林分ごとに示す. また, カラマツで得ら れた髄から5年輪目と25年輪自における晩材仮道管長のバラツキを表4.5に示 している. また, 容積密度数と同様, 同一施業がおこなわれている北海道演習 林内の異なる林分から得られたデータもあわせて示している. ヒノキの変動係 数は, 未成熟材部である髄から5年輪目で約8%, 成熟材部である15年輪目で 5.7 ""'7 .7%を示し, 横断面内の部位聞に著しい差が認められなかった. 一方,カ ラマツでは,髄から5年輪目で6.6%,髄から25年輪目も同様に6.6%の値を示 した. ヒノキおよびカラマツともに, 髄からの年輪番号によって仮道管長の平 均値に差を認めるが,変動係数には横断面内の部位聞に著しい差が認められな い. また異なる林分から得られたカラマツの仮道管長のバラツキは, 同一林分 のそれと大きな違いは認められない.
ところで, 小田ら(1989)は, 同一林分で生育したスギ品種の成熟材部にお ける晩材仮道管長のバラツキを求め, 変動係数には品種聞と年輪開とで大差が
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表4.4 同一林分で生育したヒノキの晩材仮道管長のバラツキ
2林分 嘉穂 粕屋
部 位 試験木数平均値標準偏差変動係数試験木数平均値標準偏差変動係数試験木数平均値 標準偏差 変動係数 (本) (mm) (mm) (%) (本) (mm) (mm) (%) (本) (mm) (mm) (%)
5年輪目 60 1.80 0.20 8.7 30 1.83 0.14 7.9 30 1.77 0.14 8.3
15年輪自 60 2.59 0.18 7.0 30 2.64 0.15 5.7 30 2.55 0.20 7.7
vl
ト4 表4.5 異なる林分および同一林分で生育したカラマツの晩材仮道管長のバラツキ
異なる林分 同一林分
部 位試験木数平均値標準偏差変動係数試験木数平均値標準偏差変動係数 (本) (mm) (mm) (%) (本) (mm) (mm) (%)
5年輪目 46 2.71 0.23 8.5 20 2.68 0.18 6.7
25年輪自 46 4.06 0.28 6.7 20 4.10 0.27 6.6
認められないとし, その値に2.9"'6.2%を得ている. また, 須藤(1969) が同 一林分で生育したアカマツで、得た変動係数の平均値を求めると, 成熟材音1)でが]
6%の値であった. これらの値とこの研究で得られた表4.4 の結果とを単純に対 比すると, 同一林分で生育したヒノキおよびカラマツの仮道管長の変動係数は,
スギ品種のr�É材仮道管長の変動係数値よりもやや大きく, アカマツと同程度で あった.
4. 3. 3. 各指標の相互関係
ヒノキおよびカラマツの成熟材における容積密度数と晩材率との関係を図 4.1に示している. この図に示されるように, 未成熟材部および成熟材部とも に, ヒノキでは5%有意水準で, カラマツで1%有意水準で、正の相関関係が得ら れた. このことから ヒノキおよびカラマツの容積密度数のバラツキには, I�t 材率の影響を明らかに想定できる. ただし, 両者の相関関係をもとに, r�材率 を容積密度数, あるいは容積密度数と密接な関係を持つ木材性質の指標として 用いるには, この研究のヒノキで十分な相関係数が得られていないように, 樹 種の違いを考慮しなければならない. すなわち, 年輪内構造が樹種によって異 なり, ひいては密度(比重) への晩材率の影響が樹種によって異なっている.
カラマツのように早材から晩材への移行が急で, 厚い細胞壁をもっ樹種の密度 は, 晩材率に大きく影響され, ヒノキでは, 早材からI�í材への移行は緩やかで あり, 晩材率とともに早材細胞壁率すなわち早材密度の寄与も大きいとされる (久保, 1984). したがって, ヒノキと同じような年輪構造をもっ樹種につい ては, 晩材率だけを指標とするのには無理があるのかもしれない. なお, この 研究では, 年輪内の色の濃淡によって早・晩材を区分して, n_fu材率を測定して いることに少々の懸念をもっている. すなわち, いわゆる目視による測定であ
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