現地ヒアリングでは、アンケート調査内容の詳細な状況を確認した。アンケー ト記載内容以外の主な報告及び意見の概要を下記に示す。
(1)下水道 BCP の対象期間について
・「二次調査まで」、「災害査定まで」など、現在よりも長期間を対象とすべ きという意見があった。
・「緊急点検から災害査定まで」の一連の流れを整理したマニュアルもしく は参考資料が欲しいといった意見が多かった。
(2)各種協定の必要性について
・多くの自治体で協定の必要性については感じているが、自治体としてす でに締結している協定が十分に把握できておらず、また、有効と思われ る協定がまだ整理できていない状況である。
→地域防災計画等、自治体内における他の協定等を事前に確認してお く必要がある。
・どの自治体も必要な協定の締結を望んでいる。
(3)初動体制について
・小さな町村では、職員不足のため初動体制が十分にとられていない傾向 であった。
→発災時に実際に動ける人員数を把握しておくこと。また、下水道の ための人員を最低限確保しておくことが必要である。
・道路調査と調整がとれていた市町村では効果的な対応がとれていた。
→緊急調査で道路部局と事前調整をすることを検討するとよい。
・優先調査対象を決めてあった自治体は、スムーズに緊急調査を行うこと ができた。
(4)職員の非常時体制・安全衛生等について
・多くの自治体は、食料や飲み物は個人にゆだねるか、余剰となった支援 物資等でその場しのぎの対応であった。
・長期間、長時間労働であるが、十分な休憩場所や休憩時間がとられてい ないのが現状であった。
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(5)調査について・下水道
BCP
では規定していたが、「緊急調査」や「1
次調査」を具体的 にどう進めるか分からなかったという意見があった。・調査報告のフォーマットを準備している自治体は、緊急調査の結果をス ムーズに報告できていた。
→成果物の例やフォーマットを準備しておくと良い。
(6)内部・外部の連絡について
・地震後は電話が通じにくくなった一方、事前にグループを作ってあった
SNS(LINE)
が連絡手段として有効に機能していた自治体が多数あった。・自治体職員と県職員で個人的に
LINE
のやり取りをしていたため、発災 直後から適切なアドバイスを受けられた事例があった。→個人の通信機器に委ねられるものの、非常時に備えて
LINE
等のSNS
活用も検討するとよい。→日頃から防災訓練や会議等の場を利用して担当者間のつながりを 作っておくとよい。
(7)支援受入れ体制について
・支援要請の仕組みやそれにかかる費用負担がよくわからないという意見 が複数あった。また、仕組みがわかっていればもっと早く要請していた かもしれないという意見も寄せられた。
→下水道事業における災害時支援に関するルール(全国ルール)の仕 組みや連絡先の事前確認や周知が必要である。
・支援要請に不可欠な受入れ側での宿泊場所の確保、あっせんに苦慮して いる自治体が多数あった。
(市役所庁舎等の被災により、下水道施設が他部署の代替事務所となっ たり、避難者(住民)を受入れたりしたため、想定していた場所が使用 できなくなったという事例も挙げられた。)
→宿泊業者等との協定は難しいと思われるが、建設・土木関連業務の 協定にとらわれず、これらの業者等の会議室などを借りることも協 定に含めるなど、事前に幅広く選定・対応を検討することも必要で ある。また、宿泊施設あっせん対応が困難であることも支援者に伝 え、相互で幅広く対応することが必要である。
・支援受入れのための対応が十分に機能していない例もあった。
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→あらかじめ、支援隊のために管きょとマンホールの位置図を印刷し て用意していたが、マンホールに番号が振られていなかったため使 いにくく、作り直すことになった。
→支援隊のため高速道路の通行料免除の申請を行おうとしたが、どこ に申請するか分からず時間がかかった。
(8)資機材調達について
・マンホールポンプの電源容量の事前整理が非常用発電機のスムーズかつ 確実な準備に役立っていた。
・カラーコーンやポールが大量に必要(地元業者からすぐに調達できた)
になった。
(9)仮設トイレ等について
・多くの自治体では、下水道部署として仮設トイレの対応や充足状況の把 握を行っていないのが現状だった。
(自治体によって充足がまちまちのようである。また、支援物資として 早期に相当数の仮設トイレが運び込まれた例もあった。)
・熊本地震は東日本大震災と比べて、それほど広域な被害でなかったため に仮設トイレが比較的スムーズに調達されていたように思われる。その ため、一部の自治体では災害時の仮設トイレについて、あまり問題視さ れていないように思われた。また、下水道マンホールトイレの必要性や 導入について、自治体内で十分に意見がまとまっていなかった。しかし、
長期にわたる仮設トイレの使用は衛生面や健康面に影響を及ぼす恐れ があるため、今後の災害時仮設トイレについては、自治体の実態に合わ せて関係部署と速やかに協議し、下水道
BCP
への位置付けや下水道部 署としての対応を検討する必要がある。
(10)事務所の被害について
・高いキャビネットだけでなく低いキャビネットも転倒したため、必要な 書類が散乱し、すぐに利用できなかった。また、机上の
PC
が落下によ り故障し、下水道台帳にアクセスできなくなった事例が報告された。ま た、いつでも持ち出せるように車に積んだ状態で業務を行った自治体 もあった。93
→キャビネット等の転倒防止措置を進めるとともに、災害時にすぐに 必要になる書類・データはすぐに取り出せるように保管場所を検討 する。