第4章 大画面高品質映像コンテンツの感性評価
4.2. 映像コンテンツの選定に関する事前検討
4.2.1 ヒアリング実験方法
4.2.1.1 ヒアリング実験環境
宇都宮大学のオープンキャンパスにて 4K映像システムを展示説明する機会を 利用して,ヒアリング実験をおこなった.
日時:2012/07/15(日)9:30~15:00 場所:宇都宮大学工学部キャンパス 情報工学科9号館6F東海林研究室
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ヒアリング実験は,外部からの騒音や外光を防止した実験室(図 36)にて 実施した.実際の家庭のリビングでの視聴を想定し,部屋の照明は点灯した状 態で実験を行った.ただし,画面写り込みを考慮して4Kディスプレイ上の照 明は消灯した.
図 36 実験環境と4Kディスプテイシステム
4K表示システムは4K LCDディスプレイと映像出力用PCをDVIケーブル 4本で接続したシステムである.4K LCDディスプレイはシャープ株式会社の 試作機,4K映像出力はDVI4系統を同期出力可能なグラフィックボード
(ATI FirePro 2460)を使用した.PCからの映像出力は,4K映像の画面を4
分割して各DVIケーブルで2048×1080画素を同期伝送し,ディスプレイで4 画面合成して表示した.
図 37 映像表示システム
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4.2.1.2 ヒアリング実験映像
大画面高品質映像の代表的コンテンツと考えられる,風景映像,人物や動 物の映像,建物や街並みの映像,室内装飾品の映像,食器や小物の映像,花 や植物の映像等,数種類の映像コンテンツを,4K解像度(4096x2160画 素)と,その1/4の解像度である2K解像度(2048x1080画素)で用意し,
実験室に設置した4Kディスプレイに表示した.
実験に用いた映像の生成方法は市販の映像編集ソフト(Photoshop)を用い て以下の手順で行った.なお,4Kと2Kの解像度による影響を検討するた め,リサイズ処理には高性能なバイキュービック(16画素ブロック補間)や バイリニア処理(4画素ブロック補間)は使用せず,最も単純な間引き拡大 処理のニアリストネイバーを使用した.
①オリジナル映像から4096x2160の領域を切り出し4K解像度映像作成 ②4K解像度を2K解像度にリサイズ(ニアリストネイバー単純間引き)
③2K解像度を4Kサイズにリサイズ(単純拡大)
実験に先立ち映像評価研究者,映像クリエータ,ディスプレイエンジニアの 数名にて,上記4Kディスプテイシステムの4K映像を観察しながら,使用す る評価映像コンテンツについて議論した.その結果を以下に示す.
映像にテーマ(誘目対象)が有るか,無いかが重要.誘目対象が日常よ く見ているものか否かで印象が異なる可能性が高い.
4K映像は奥行き感,空間印象が圧倒的に向上するため,空間を表現し た評価映像が必要.空間印象が評価できる評価語も考慮すべき.
単眼で見た方がより空間が感じられる.これは高解像度映像の効果の一 つと考えらえる.
これまでの背景ボケ表現は4Kでは効果的か疑問.画面全体にピントが 合っている映像のほうが好まれる可能性が高い.
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上記の結果を考慮し,以下のカテゴリでヒアリング映像を選定した.
■誘目対象有り(品質感や本物感の違いを評価する映像)
映像1. 人物ポートレート:
最も頻繁に撮影される被写体は人物である.人物ポートレートとは,テーマ として人物をメインに撮影された映像ことであり、全身、バストアップ、顔や 体の一部だけなど撮影されたものがある.今回は、その人物の印象を視聴者に 表現するように、顔面アップで顔の肌,髪の質感が感じされる映像を用いた.
映像2. 輝きや質感を持った人工物を撮影した映像
人物の他によく撮影されるテーマを持つ被写体としては、テーブルの上の料 理や花、アクセサリー等がある。これらは、その質感や輝き等を表現して本物 感を視聴者に伝える必要がる。今回はテーブルの上に置いたアクセサリー等の 小物を撮影した映像を用いた.
■誘目対象無し(奥行き感の違いを評価する映像)
映像3. 風景全焦点映像:
大画面映像では美しい自然の風景を撮影して、その場所にいるような印象を 視聴者に与える映像が良く使われる。今回は森林の中から遠方までピントを合 わせて撮影した映像で、森林の中にいるような印象を与える映像を用いた.
映像4. 風景背景ぼかし映像:
映像3と同じく自然の風景を撮影した映像であるが、近景にピントを合わせ て遠方の背景はぼけている映像を選定した.人間の眼で見た場合も網膜上には 背景がぼけて映るため、実際の見えに近い映像といえる。
映像5. 室内空間:
大きな建造物の室内空間の広がりの表現は大画面映像では良く撮影されるコ ンテンツのひとつである。今回の映像は、広い部屋の端から端まで細部までピ ント合わせて鮮明に撮影し、その空間を含めた室内印象を視聴者に表現した映 像を用いた.
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4.2.1.3 ヒアリング実験参加被験者
オープンキャンパスで見学に訪れた高校生中心に計45名の方に映像コンテ ンツを視聴してもらった.被験者の年代と男女比は以下の通り.
表 10 ヒアリング実験被験者の構成
年代 男性 女性
高校生
15 5
大学生(宇大生)
10 5
大人(保護者,先生等)
8 2
4.2.1.4 ヒアリング方法
ヒアリング被験者は2~5名のグループ毎に4Kディスプレイを自由な場 所から観賞した.実験者は各コンテンツで4K解像度と2K解像度を切り替 えて被験者に提示し,映像の印象が違うか,印象が違う場合はどのような印 象が違うか,について質問した.4Kと2K解像度の切り替え回数やコンテン ツの提示時間には制限を設けず,被験者が納得するまで映像コンテンツをみ てもらい,口頭で質問に回答してもらった.