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パネルディスカッション「ラオス民法典制定と実務上の課題」

ドキュメント内 ■第71号 2017年06月号 法務省:ICD NEWS (ページ 173-176)

-On the Occasion of the 20 th Anniversary of Legal Cooperation Project with Vietnam -

第3部 関係者による活動報告 ~

6 パネルディスカッション「ラオス民法典制定と実務上の課題」

民法典が制定されることで,ラオスにおける実務上の運用はどうなるのか,という 点は,非常に興味深いところです。

そこで,本シンポジウムでは,この点について,日本の法律実務家が問題提起をし,

民法典の起草に深く関わったラオスの法律実務家が答え,双方で意見交換を行うとい う形式のパネルディスカッションを実施しました。

日本側パネリストとして,いずれも東南アジアへの日本企業の進出における法律実 務の経験豊富な江口拓哉弁護士(森・濱田松本法律事務所)及び山口大介弁護士(ア ンダーソン・毛利・友常法律事務所)にお越しいただき,ラオス側からは,ナロンリ ット局長,及びラオス中部高等裁判所のソムサック・タイブンラック所長にパネリス トとして御登壇いただき,モデレーターを,ラオス民法典制定に対する支援に長年携 わってきた松尾弘教授(慶応義塾大学大学院法務研究科)に務めていただきました。

以下,パネルディスカッションで行われたやり取りの一部分を紹介しますが,実際 に行われたやり取りは,ラオス民法に限らず,日本民法も含め,およそ民法が実際に どう適用されるかを考える上で,非常に示唆に富む内容が多く含まれていますので,

ぜひ,前記

ICCLC NEWS

で全文を御覧いただきたいと思います。

まずは,第1問として,山口弁護士から,不法行為における損害賠償の範囲という テーマで出題がなされました。

山口弁護士からは,出題の背景として,東南アジアにおける法律実務において,不 法行為による損害賠償請求を検討する場合,損害賠償はどの範囲で認められるかをク

1 2011 年~2014 年,JICAラオス法整備支援プロジェクト長期専門家

ライアントから問われることが多いことから,ラオスにおける法律実務はどうなるの かについて意見交換を試みたい旨の説明がなされました。

この点に関して,ナロンリット局長及びソムサック所長は,ラオス民法典では不法 行為で認められる損害について詳細な規定があることを紹介され,その条文の規定か ら,与えられた問題についてどう考えればよいかという点につき,自身の見解を述べ ていました。

第2問として,江口弁護士から,詳細な内容の事例を用いて,代理制度に関する問 題が出題されました。

江口弁護士からは,出題の背景として,ラオスの企業と取引をする場合,必ずしも 代表権を持った人に直接会えないような場合も想定されるところ,どのような事情が あれば,代理人と称する人とのやり取りで有効に,安全に取引ができるのかについて 意見交換を試みたい旨の説明がなされました。

この点に関しては,ナロンリット局長及びソムサック所長が,代理権の確認の方法 についてラオス民法に明文の規定があることの説明をされ,江口弁護士の紹介した事 例における結論について見解を述べられた上,松尾教授から,民法典には,いわゆる 代理権踰越(日本民法 110 条等)に関する条文が新設されたことの紹介がなされまし た。

【第2問を検討するパネリストの方々】

第3問として,ラオス側から,ラオスで日本企業が土地を利用して工場を建設する 場合,民法典において,どのような手段が取り得るかというテーマで,地役権,地上 権等,民法典で新設された制度の紹介がなされました。

本パネルディスカッションは,基本法たる民法の解釈論のみならず,ビジネスにお

ける法律実務の実態についても意見交換を行うという,この種シンポジウムにおける

新しい試みだったのですが,本シンポジウム終了後,複数の参加者から,非常に興味

深いパネルディスカッションであったとの感想をいただきました。

第3 本シンポジウムを終えて

おかげさまで,本シンポジウムは,盛況のうちに終了しました。

本シンポジウムの意義については,冒頭でも述べたところですが,本シンポジウムの成 果を改めて考えるに, 「法整備支援におけるオールジャパンでの協力が現れた行事」だった のではないか,と思います。

今や,法整備支援は,投資環境整備という経済面での要請を考慮せずには進められない 中,今まで以上に,いわゆる「産・官・学」の協働がこの分野でも必要になります。

本シンポジウムでは,私たち法務省,及びJICAという「官」はもちろんのこと,ジ ェトロ大阪本部,株式会社アデランスという「産」 ,長年ラオス法整備支援に注力されてき た松尾教授を始めとする「学」 ,それに,江口弁護士及び山口弁護士のようなこの分野に造 詣が深い法律専門家が,共にラオスにおける法制度の充実を願い,講演・意見交換を通じ て,参加者の皆様とともに,その理解を深めることができたという点で,非常に意義深い ものだったと考えています。

最後になりましたが,本シンポジウムの開催に当たり,主催・共催いただいたJICA 及び大阪商工会議所,御後援いただいた駐日ラオス大使館,在京都ラオス名誉領事館,ジ ェトロ大阪本部,関西経済連合会,ICCLC等の各機関の方々,本シンポジウムに御出 席いただいた全ての皆様に対し,この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

ありがとうございました。

別添

ドキュメント内 ■第71号 2017年06月号 法務省:ICD NEWS (ページ 173-176)