GAMESS
ステップ 7: ドッキング結果の表示
ドッキング結果を表示するには、次に示すステップに従います。
1. Calculations、AutoDock Interface、AutoDock Resultsの順に選択します。
2. AutoDock Results ダイアログ ボックスで Prepare Results をクリックします。ドッキング ログ ファイル を開くよう求められます。
3. ドッキング ログ ファイルを開きます。Chem3D でファイルが開きます。
Chem3D モデル ウィンドウに結果がモデルとして表示されます。ファイルには、受容体と、ドッキング用に設定し たパラメータを満たすすべての形状が含まれます。
前の結果を表示するには、次の操作を行ってください。
1. AutoDock Results ダイアログ ボックスの Previous Results で Browse Results をクリックします。
2. ドッキング ログ ファイルを保存した場所に移動します。
3. ログ ファイルを開きます。Chem3D でファイルが開きます。
形状をチェックするには、次の操作を行ってください。
ドッキング結果は Structure Browser に表示され、名前付きグループおよびさまざまなドッキング エネルギー レベルは Structure Browser の各列に表示されます。
1. モデル ウィンドウで、ドッキング結果モデルがアクティブなタブであることを確認します。
2. View メニューの Structure browser をクリックします。ファイル内のすべての形状がリストに表示されま す。
3. Structure Browser でチェック ボックスのオンとオフを切り替えて、モデル ウィンドウでの形状の表示/非 表示を切り替えます。
参考資料
AutoDock の詳細については、次の参考資料を参照してください。
AutoDock User Guide AutoDock の一般的な FAQ AutoDock のパラメータについて ドッキングとエネルギー評価について リガンドの制限事項
計算の概念
計算化学の概要
計算化学を利用すると、実験室での調査が不適当か、非実用的か、または不可能である場合に、コンピュータを使 用して分子を調査できます。
計算化学には次の項目が含まれます。
分子モデリング 計算手法
コンピュータ支援による分子のデザイン (CAMD) 化学データベース
有機合成方法の設計
分子モデリングとは、2 次元または 3 次元モデルの分子構造と特性を表すものと考えることができます。一方、
計算手法は、モデルを描画するのに必要な構造と特性のデータを計算します。Chem3D などの分子モデル作成プロ グラムでは、計算手法が計算エンジンとして扱われ、立体構造エンジンとグラフィック エンジンはモデルの描画 を担当します。
Chem3D はその大規模なビジュアル化オプションに加え、デスクトップにおけるいくつかの強力な計算化学方法を サポートしています。
計算手法の概要
計算化学にはさまざまな数学的方法があり、これらは分子力学と量子力学の 2 つの分野に大別されます。
分子力学: 古典物理学の法則を、明示的に電子を考慮せずに、分子の中を構成する原子に適用します。
量子力学: シュレディンガー方程式に基づいて、明示的に電子構造を扱い、分子を記述します。
一般に、量子力学的方法はab initio 計算と半経験的計算の 2 つの階層に細分できます。
Chem3D では、以下の計算手法が利用可能です。
計算手法
分子力学 MM2 Chem3D 19.0
半経験的
Extended Huckel
他の半経験的方法 (AM1、
MINDO/3、PM3 など)
Chem3D 19.0、MOPAC、
Gaussian
ab initio RHF、UHF、MP2 など Gaussian、GAMESS
図 9.1: 計算化学
分子力学的方法: MM2 (直接)。
Chem3D および Gaussian による、半経験的 Extended Hückel、MINDO/3、MNDO、MNDO-d、AM1、PM3 の各方 法。
Chem3D の Gaussian または GAMESS インターフェイスによる ab initio 法。
計算手法の利用
計算化学の手法では、分子のポテンシャル エネルギー曲面を計算します。ポテンシャル エネルギー曲面 (PES) は、分子の原子間の相互作用力の具体化と考え、PES から、分子の構造と化学的情報を導きます。各計算手法は、
表面の計算手法やエネルギー面から導かれる分子特性により異なります。
一般に基本的な計算タイプには、以下があります。
一点エネルギー計算 (Single point energy calculation):モデルでの原子の立体構造のエネルギーで、その 座標における PES の値です。
構造最適化 (Geometry optimization):原子座標を系統的に変更した結果、構造の各原子にかかる力が 0 にな る幾何学的構造ができたモデル。原子の 3 次元的な配置は、エネルギーが極小値 (ローカル ミニマム) を取 るようになります (立体配座の障壁を超えることのない安定した分子構造になります)。
特性計算 (Property calculation):電荷、双極子モーメント、生成熱など、特定の物理的特性や化学的物性を 推測します。
この他に、これらの計算手法では、立体配座の検討や分子動力学シミュレーションなど、他の機能も行えます。
構造最適化
モデルで計算を実行する前に、モデルの安定立体配座を計算することで、モデルの構造を最適化できます。
エネルギー最小化の計算を実行すると安定立体配座が得られます。これらの計算で、モデルのエネルギーのグロー バル ミニマムやローカル ミニマムが決まります。
構造最適化は、初期立体構造を起点とした反復処理により次のように行われます。
1. 最初に、初期立体構造で一点エネルギー計算を実行します。
2. 原子集団の座標を変更し、一点エネルギー計算を再度実行して、新しく作成された立体配座のエネルギーを決定 します。次の構造変更のサイズと方向を決定するエネルギーの一次微分または二次微分 (エネルギー計算法に より異なります) が計算されます。
3. 変更が完了します。
4. この情報に基づいて、論理的な移動が行われ、Chem3D でエネルギーおよびエネルギー微分の再計算が行われま す。このプロセスは収束するまで繰り返され、最適化が終了します。
エネルギー最小化計算の正確性は、初期立体構造、使用するポテンシャル エネルギー関数、ステップ間の最小許 容勾配 (収束基準) によって決まります。
下のイメージは、最小化の概念をより詳しく表しています。単純化するために各独立変数を 2 次元のグラフで表 しています。
モデルの初期立体構造によって、どの極値に到達するかが決まります。たとえば、立体構造 (b) を起点とした場 合は、グローバル ミニマムである立体構造 (a) に到達します。一方、立体構造 (d) を起点とすると、ローカル ミニマムである (f) に到達します。特定の最小点ではなく、いずれかの最小点の近傍を示すには、到達最小勾配 を指定します。計算終了点における勾配を小さくすると、立体構造 (e) ではなく、立体構造 (f) に到達できま す。
理論上は、収束基準 (エネルギー勾配) があまり緩いと、一次微分最小化により、鞍点に近い立体構造が得られま す。これは、鞍点近くのエネルギー勾配値が、最小値付近と同じように非常に小さくなるからです。たとえば、
(c) 点では、エネルギーの微分がゼロになるため、エネルギーの最小化という意味で最小点になります。一次微分 による最小化では、鞍点を超えて他方の極小点に到達することはできません。
注意: 鞍点について、さらに詳しい評価を行うには、MOPAC の Optimize To Transition State コマンドな ど、遷移状態を特定できる方法を使用してください。
これらの最小化に関する障害を超え、グローバル ミニマムを見つけるために、Chem3D には、いくつかの方法があ ります。
わずかに立体構造を変更した後、再度最小化を行う方法。たとえば、以前の立体構造が (c) であった場合、新 しい立体構造では (a) または (f) になります。
二面角ドライバを適用して、モデルの立体配座空間も検討できます。"チュートリアル 5: 二面角ドライバ "
ページ 309を参照してください。
分子動力学シミュレーションを実行すると、小さなポテンシャル エネルギー障壁を超えることができます。分 子動力学シミュレーションを終えた後で、それぞれの立体構造を最小化したり分析したりできます。"MM2 の参 考文献" ページ 275を参照してください。
ポテンシャル エネルギー曲面から多くの特性が計算できます。Chem3D の計算手法を使う特性計算には次のものが 含まれます。
立体エネルギー 生成熱
双極子モーメント 電荷密度
水中の COSMO 溶媒和 静電的ポテンシャル 電子スピン密度 超微細結合定数 原子電荷 分極率
その他、IR 振動周波数など
最適な計算手法の選択
どの計算手法でもすべての種類の計算ができるわけではありません。また、どれか 1 つの計算手法がすべての目 的に最も適しているというわけでもありません。どのアプリケーションに関しても、方法によって利点と欠点があ ります。計算手法は、下記のようないくつかの要因に基づいて選択します。
分子の特性とサイズ 情報のタイプ
実験的に決定された適切なパラメータ (計算手法によっては必要) コンピュータ リソース
最も重要となるのは、次の 3 つの基準です。
モデル サイズ:特定の計算手法においては重大な制限要素です。一般に、分子内の原子数の制限は、ab initio から分子力学へという順で、ほぼ 1 桁ずつ緩和されます。したがって、ab initio では数十個の原子、半経験 的計算では数百個の原子、分子力学では数千個の原子となります。
使用可能なパラメータ:一部の手法では、実験に基づいて決定されたパラメータを使用して計算が実行されま す。各計算手法のパラメータとして使用できない原子がモデルに含まれる場合、その計算手法による予測結果が 無意味になる可能性があります。たとえば、分子力学はパラメータで力場を設定します。力場は、パラメータ化 された限られた種類の原子のみに適用できます。
コンピュータ リソース:次の各手法とも、モデルのサイズに比例してシステム要件が増大します。
ab initio:モデル内の原子数を N とすると、計算の所要時間は N4 となります。
半経験的:モデル内の原子数を N とすると、計算の所要時間は N3 または N2 となります。
MM2: 原子数を N とすると、計算の所要時間は N2 となります。
一般的に、分子力学法は量子力学的方法ほどコストはかかりません。一般的な各計算手法について、各アプリケー ションごとの適合性を次にまとめます。
分子力学法
Chem3D での分子力学法は、次のものに適用できます。
数千個の原子を含む系
有機物、オリゴヌクレオチド、ペプチド、糖類 気相のみ (MM2 の場合)
MM2 計算では、次の操作が有効です。