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データ及び変数の説明

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 33-38)

3. 研究仮説・リサーチデザイン

3.4 データ及び変数の説明

3.4.1 データ

3つの仮説を検証するために、潜在変数であるジェンダーダイバーシティ、ボード モニタリングと企業パフォーマンスの測定変数データがそれぞれ必要となる。本論文 では、「NEEDS-Cges コーポレート・ガバナンス評価システム」(以下Cges)データ ベースを使い、データを収集した。調査の科学性を確保するため、以下の条件により サンプルを絞った。

⑴ 東証一部の上場企業であること。

⑵ 数値が欠落している企業を除く。

本研究の調査期間は2016年から2019年の各年度を対象としている。その理由は二 つある。一つは、日本における既存研究は相対的に古い文献が多いので、ここではな るべくフレッシュなデータを使うことを意識している。もう一つは、日本のコーポレ ートガバナンスコードは、2015年から導入され、女性役員の登用を行わない場合は理 由の開示を要請し始めたので、2015年以前の女性役員の登用は企業自発的な行為と筆 者は想定している。よって、本研究は2016年からのデータを使い、政府要請の元で、

日本企業における女性役員の登用は本当に企業パフォーマンスに役を立っているかど うかを検証する。

表4はサンプル数を記載する。

サンプル数

年 東証一部上場企業数 欠落値6 サンプル数

2016 1988 62 1926

2017 2036 130 1906

2018 2116 511 1605

2019 2156 441 1715

表4 サンプル数

3.4.2 変数の説明

SEMはOLSと違い、代理変数の代わりに、潜在変数という概念がある。「SEMは 潜在変数のパス解析と呼ばれることもあるように、構成概念を一つの潜在変数として 表現し、そこから複数の観測変数へパスが引かれるモデルが一般的に多く採用されて いる」と豊田(2003)が述べている。本研究の仮説を検証するために、筆者は3つの 潜在変数と、10個の観測変数を設置した。

潜在変数の説明

本研究の仮説で使用した変数、ボードジェンダーダイバーシティ、ボードモニタリ ングと企業パフォーマンスは全部直接観測できない変数として取り扱い、3つの潜在 変数を設定した。先行研究では基本的にOLSを使い、それぞれ代理変数を設定してい る。例えば、女性の役員・取締役の人数や割合、または関連指数がジェンダーダイバ ーシティの代理変数として使われているが、これらの代理変数はただ代理されたもの の一部を説明しているだけであり、一定の誤差が存在すると考えられ。ジェンダーダ イバーシティと企業パフォーマンスの関係を研究する場合、OLSの基本公式! = # +

%&!+ 'である。仮にyをROA、xを女性役員の割合と設定する。この場合、ROAが 企業パフォーマンスを完全に代表できないため、エラーが生じる。しかし、女性役員 の割合は本当にジェンダーダイバーシティを完全に代表できるかどうかを考えてはい ない。SEMで分析する場合は、従属変数だけではなく、全ての観測変数におけるエラ ーの発生が許される(図8を参照する)。

本研究は、ボードジェンダーダイバーシティ、ボードモニタリングと企業パフォー マンス3つの観測変数と女性役員割合、BLAU指数、SHANNON指数、社外取締役比 率、取締役と執行役員の兼任比率、社外取締役の出席率、コーポレートガバナンス形 式、ROA、ROEとTobin’s qの十個の観測変数を設置した。この場合は、女性役員割 合、BLAU指数とSHANNON指数は必ずイコールボードジェンダーダイバーシティで はなく、筆者はこの3つの観測変数がともに説明している何かをボードジェンダーダ イバーシティと想定している。他の観測変数も同様の考え方で設置している。

変数名

潜在変数 観測変数

ボードジェンダーダイバーシティ

女性役員割合

BLAU指数

SHANNON指数

ボードモニタリング

社外取締役比率 社外取締役の出席率 取締役と執行役員の兼任比率 コーポレートガバナンス形式 企業パフォーマンス

ROA ROE Tobin’s q 表5

観測変数の説明:ボードジェンダーダイバーシティ

女性役員の割合、BLAU指数、SHANNON指数は多くの先行研究(Campbell & Vera 2007; 新倉、瀬古 2017; Midavaine et al. 2015; Harjoto et al. 2018)の中で使われた、ジェ ンダーダイバーシティを表現する変数である。

女性役員の割合は、Cgesにより、有価証券報告書に記載される女性役員の比率を使 用した変数である。女性割合が50%に近いほどジェンダーダイバーシティが高い。

BLAU指数は以下の計算より筆者が算出する。

BLAU=1 − Σ"#!$ /"%

Campbell & Vera(2007)により、ジェンダーダイバーシティにおけるBLAU指数 は、男性人数イコール女性人数の時に最大値の0.5になる。つまりBLAU指数が0.5 に近いほどジェンダーダイバーシティが高い。/"はボードメンバーが各カテゴリにお けるパーセンテージであり、nはボードメンバーの総人数である(Campbell & Vera 2007)。

SHANNON = −Σ"#!$ /"456%/"7

PiとnはBLAU指数と同様である。SHANNON指数の最小値は0、最大値は1にな っている。Baumgärtner(2006)は、SHANNONはBLAU指数と似ているが、多様性の 尺度を対数化したため、取締役会の性別構成の小さな差異により敏感な指数であると 主張している。

観測変数の説明:ボードモニタリング

ボードモニタリングは社外取締役比率、社外取締役の出席率、取締役と執行役員の 兼任比率とコーポレートガバナンス形式の4つの観測変数で説明されている。

日本企業の不祥事が多発した1980年代後半から、企業の取締役会を中心とする経営 システムの効率性やモニタリングの実効性に疑問が持たれるようになった(青木

2003)。1990年代後半から、日本企業におけるトップ・マネジメントの改革が始ま

り、社外取締役制度と役員制度が導入され始めた(青木 2003)。

社外取締役を導入することにより、社外者によって業務執行の監督機能を実効性の あるものとし、不正な行為が行われることがないようにすることができる(金田 2014)。金田の主張に基づいて、本研究は社外取締役の割合をボードモニタリングの 観測変数に設置した。さらに、社外取締役の有効性を確保するために、社外取締役の 出席率も観測変数に入れた。社外取締役の割合と出席率が高いほど、ボードモニタリ ングが強いと想定している。また、金田は各会社における社外取締役についてこう述 べている。

会社法上、社外取締役の設置が強制されたのは、委員会設置会社であり、改 正会社法のもとにおいて、指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社で ある。わが国の上場会社の大部分は、監査役設置会社であるから、社外取締 役の設置義務がない。

指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社と監査役設置会社は法律などの規制 の違いにより、監督効果も異なると考えられる。よって、本研究はコーポレートガバ ナンス形式をダミー変数の形でボードモニタリングの観測変数に入れた。また、日本 企業における指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社の数が少ないため、合わ

7 SHANNON = −Σ!"#$ )!*+)!を使う場合もあるが、本研究では*,-%を使用する。

せて1を表示し、監査役設置会社は0を表示した。1の場合はボードモニタリングが 強いと想定している。

青木(2003)は執行役員の導入について、以下のように議論している。

従来型の取締役会構造では、戦略的意思決定機能、監督機能、執行機能の全 てを事実上単一の組織体が担当してきたために問題が発生したとの問題意識 から、経営と執行の分離の必要性が認識されるようになった。執行役員制度 は、戦略的意思決定・監督機能を取締役に集中させ、日常的な業務執行の権 限と責任を執行役員に与えることによって、双方の機能強化を狙ったもので ある。

よって、取締役と執行役員の兼任は執行役員の監督機能を相殺すると筆者は想定し た。取締役と執行役員の兼任比率はボードモニタリングの観測変数として入れ、兼任 比率が高いほどボードモニタリングが低いと予測した。

以上4つの観測変数は全部Cgesより入手したデータである。以下はCgesからの各 変数に対しての説明である。

① 取締役と執行役員の兼任比率:執行役員を兼任する取締役人数/取締役人数×100

※監査等委員会(取締役)は除く

② 社外取締役比率:取締役のうち独立役員の比率(コーポレートガバナンス報告書 記載ベース)

③ 社外取締役出席率:社外取締役のうち取締役会出席率の平均値

④ コーポレートガバナンス形式:監査等委員会設置フラグ、指名員会等設置フラグ 観測変数の説明:企業パフォーマンス

ROA、ROE、Tobin’s qは先行研究(Joecks et al. 2013;松本 2019;大野2020;

Harjoto 2018; )で使われ、企業パフォーマンスを説明するメインな変数であるため、

本研究は企業パフォーマンスの観測変数として設置した。

① Cgesにより、各パフォーマンス変数は以下のように計算していた。

② ROA:経常利益/総資産・前期×100;連結優先

③ ROE:最終損益/自己資本・前期×100;連結優先

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 33-38)

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