本研究では、金融講を通じた相互支援と母子の健康との関連を、統計学的手法を用い て検討した。なお、統計解析には統計解析ソフト SPSS for Windows.ver22.0 を用い、
有意水準はp<0.05 とした。
(1) 回収率、有効回答数の算出 回収率、有効回答数を算出した。
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(2) 金融講加盟の先行要因(社会経済状況等)
金融講に属している女性と属していない女性の社会経済状況については、単純記述統 計を行った。このうち、年齢、収入などの連続変数については、平均値、標準偏差を算 出した。
金融講への加盟の意思決定については、金融講に入らない理由のうち、加盟のメリッ ト・必要性がない、人間関係が煩わしい、時間がない(家事など他に優先させたいこと がある)と回答した者、つまり、入会の条件を満たしているが、加盟する意思がないも のを「非加盟に対する積極的な意思決定群」とした。
(3) 金融講への加盟状況等
金融講への加盟は、トンチンまたはマイクロファイナンスに対し、「加盟=現在メンバ ーである」、「非加盟=一部の活動に参加している/かつてメンバーであった/一度も参加 したことがない」の 2 値として算出した。
金融講への関与の度合いについては、金融講への所属期間・頻度等の質問項目の結果 について、単純記述統計を行った。
(4) 相互支援
相互支援に関しては、表 6 に記載した相互支援に関する 15 の下位概念ごとに合計点 を算出した。支援の授受の対象、つまり、①夫、②:金融講のメンバー、③:夫系の拡 大家族(表中は、夫方と記載)、④:自分の父系の拡大家族(表中は、実家と記載)、⑤:
②,③,④以外の村人、⑥助けてくれる人が誰もいないのうち、①、②、③、④、⑤を各 1 点、⑥は 0 点として、計算をした。
そのうえで、相互支援の特徴を「量」と「質」に分けて分析した。相互支援の「量」
は、すべての対象(上記①~⑤)との支援の授受の合計点とした。このうち、物質的支 援、情報的支援および情緒的支援を誰かから「獲得」した経験および認知の得点の合計 点は「獲得型支援」とした。また、これらの支援を誰かに「提供」した経験の合計点を
「提供型支援」とした。そして「獲得型支援」と「提供型支援」の合計を「相互支援」
とした。なお、質問紙の内容妥当性を協働研究者と検討した結果、「獲得型支援」の項 目が「提供型支援」の項目より多くなったため、両者の得点の比較を容易にするため、
「獲得型支援」を算出する際には「提供型支援」と同じ項目のみ使用した。
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相互支援の「質」は、物質的支援、情報的支援、情緒的支援の下位概念 15 項目で表 した。また、支援の授受の対象(夫、夫方家族等)および、その組み合わせのパターン によっても分類し、それぞれの特徴を分析した。
なお、金融講加盟者に対してのみ実施した「金融講から得た恩恵」に関する質問の結 果は、恩恵回数、恩恵内容について単純集計するとともに、恩恵の内容に資金援助を挙 げたものに関しては、その使途と一回当たりの恩恵額を別途集計した。
(5) 母子の健康
母子の健康に関するすべての変数は以下のとおり 2 値化した。
①健康アウトカム
5 歳未満児死亡の経験:「なし=0 人」と「あり=1 人以上」
家族計画のアンメットニーズ:国連の MDGs 指標の定義をもとに算出した(United Nations,2015a)。具体的には、まず、望まない妊娠の経験:「なし=その時に妊娠したか った」と「あり=もっと早くほしかった/もっと後でほしかった/もうほしくなかった」
と、家族計画の実施状況「実施/実施せず」を別々に算出し、それらの結果を、MDGs 指 標のロジックツリーに当てはめ、アンメットニーズ「あり群/なし群」に分類した。
②健康増進行動
産前健診の実施:「実施=4 回、5 回以上」と「実施せず=実施していない/1 回/2 回/3 回実施」
施設分娩および家族計画:「実施/実施せず」(質問票のとおり)
動物性蛋白質の摂取(本人、子ども):「週 1 回以上/週 1 回未満」の 2 値とした。た だし、二変量解析では「週 1 回以上/月 1 回以上/摂取せず」の 3 値とした。
(6) 金融講への加盟状況と加盟の先行要因との関連
「金融講への加盟状況」と「金融講加盟の先行要因」つまり社会経済状況との関連に ついては、質的変数にはカイ二乗検定を、量的変数にはホイットニーの U 検定を行った。
(7) 相互支援と金融講への加盟状況との関連
「金融講加盟状況」と「相互支援」との関連についても、カイ二乗検定またはホイッ トニーの U 検定を行った。
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(8) 母子の健康と金融講への加盟状況および相互支援との関連
「母子の健康」と「金融講への加盟状況」および「相互支援(量および質)」との関 連については、カイ二乗検定またはホイットニーの U 検定を行った。
(9) 金融講を通じた相互支援と母子の健康との関連
概念枠組みに示した構成概念「金融講加盟の先行要因」、「金融講の加盟状況」、「相互 支援」、「母子の健康」の関連については、ロジスティック回帰分析を行った。この際、
「母子の健康」は健康アウトカム指標である「実子の 5 歳未満での死亡経験(あり)」
と「家族計画へのアンメットニーズ(あり)」を目的変数とし、これら目的変数と二変 量解析にて有意な関係があったものを中心に説明変数を選定し、関連を分析した。