• 検索結果がありません。

デュアルカーボンアロイセルの電池特性評価

ドキュメント内 Microsoft Word - 博士学位論文(本文).docx (ページ 55-59)

Gas inlet to carbon rod

2.8 デュアルカーボンアロイセルの電池特性評価

活性ガスであるArガスで満たされたグローブボックス内でセルを組み立て、電気化学測定 を行なった。電気化学測定は、組み立てたセルと測定装置を接続して、最初に自然電位を 測定し、定電流充放電測定で評価した。

ここでは、対極にアルカリ金属を使用していないため、インターカレーションプロセス を充電、デインターカレーションプロセスを放電と呼ぶ。

自然電位(Open circuit potential, OCP)測定

自然電位は、電気化学測定の前に必ず測定しなければならない。参照極をLi金属とした 場合の炭素材料のOCPは通常約3.0 V vs. Li/Li+、Na金属とした場合のOCPは約2.7 V vs.

Na/Na+である。しかし、アルカリ金属表面に酸化部分が残っていたり、電解液に水分等の不

純物が存在する場合、作用極側は低いOCPを、対極側は高いOCPを示すことになる。OCP は平衡状態であるため、こちらも上記の電位になるまで待って走査を開始することにより、

急に大きな電流を流れるのを防ぐ役割を持っている。

定電流充放電(Galvanostatic, GS)測定

ここでの定電流充放電測定は、作用極および対極に流す電流を一定としたときの作用極 および対極の電位を測定する。作用極および対極で2相共存(例えば第2ステージと第1ス テージ化合物の共存)する電位をプラトーとして観測したり、試料重量辺りの充放電容量を 評価することができる。本章では、OCP を開始電位に、設定電位間に関しては、参照極に Li金属を使用する場合は0.003 ~ 4.8 V vs. Li/Li+、Na金属を使用する場合は0.003 ~ 4.5 V vs.

Na/Na+である。また、電流密度は0.1 mA/cm2とした。

この定電流充放電測定によって、正極と負極の各々にアニオンとカチオンがインターカ レート/デインターカレートされる。初めにアニオンとカチオンをインターカレート/デイン ターカレートさせた時の正極と負極の電位の変化を図として掲載する。例として、1

M-LiPF6/EC+DEC 電解液中で正極と負極共にグラファイトを使用したデュアルカーボンセ

ルの横軸を走査時間(sec)、縦軸を電位とした定電流充放電曲線の図をFig. 2.10に示す。Fig.

2.10 にある破線は各サイクルの充放電開始から終了までの範囲を示している。各サイクル の反応時間から充放電容量(mAh g-1)を算出できるが、これは正極と負極にアニオンとカチオ ンのインターカレート/デインターカレートが行なわれた時の各々の容量であり、デュアル カーボンセルとしての充放電容量ではない。そこでFig. 2.10 で得られた正極にアニオンを インターカレート/デインターカレートした時に得られる電位から負極にカチオンをインタ ーカレート/デインターカレートした時に得られる電位を差し引き得られた値をデュアルカ

ーボンセルの電位(Voltage/ V)とし、各サイクルの時間からデュアルカーボンセルの充放電曲 線を示して容量を算出した。デュアルカーボンセルの電位(Voltage/ V)の導き方を次式に示す。

V = V1 – V2 (13)

ここで、Vはデュアルカーボンセルの電位(Voltage/ V)、V1は正極にアニオンをインターカ レート/デインターカレートした時に得られる電位(V vs. Li/Li+あるいはV vs. Na/Na+)、V2は 負極にカチオンをインターカレート/デインターカレートした時に得られる電位(V vs. Li/Li+ あるいはV vs. Na/Na+)である。Fig. 2.11に縦軸を電位(Voltage/ V)、横軸を充放電容量(mAh g-1) としたデュアルカーボンセルの定電流充放電曲線を示す。第 6 章のデュアルカーボンアロ イおよびデュアルカーボンセルの負極特性評価で得られた結果は、Fig. 2.11に類似した充放 電曲線が観測される。得られた充放電曲線から正極と負極へのアニオンとカチオンのイン ターカレーション/デインターカレーションが起こる電位、デュアルカーボンアロイおよび デュアルカーボンセルの充放電容量を導き出した。

Time / sec

Potential / V . Li / Li+

anion cation

vs

0 50000 100000 150000 200000

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

Capacity / mAh g-1

Voltage / V

0.00 100 200 300 400 500

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

Fig. 2.11 First charge/discharge curves of dual carbon cell with a combination of graphite anode and cathode by the galvanostatic method.

Current density : 100 μA cm-2. Electrolyte solution : 1 M-LiPF6/EC+DEC.

Fig. 2.10 Time dependence of potential change of dual carbon cell with a combination of graphite anode and cathode by the galvanostatic method.

Current density : 100 μA cm-2. Electrolyte solution : 1 M-NaPF6/EC+DEC.

3B/C/NおよびB/C材料の組成および結晶構造

本章では、CVD法で作製して得られたB/C/NおよびB/C材料の外観、組成、結晶構造に ついて記載した*1。ここで判明した材料内のホウ素の役割については、材料の結晶性を向上 させることに加えて、第4章と第5章で記述するLiおよびNaイオン二次電池の負極材と しての材料の特性と関連する重要で基本的な事項である。

ドキュメント内 Microsoft Word - 博士学位論文(本文).docx (ページ 55-59)