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デジタル 3S カード for Web についての考察

第 4 章 アプリケーション開発と利用法の検討に関する考察

4.1 アプリケーション開発についての考察

4.1.2 デジタル 3S カード for Web についての考察

本研究では,上で述べたようなiPad版のアプリケーションの課題点などをもとに,Web で利用可能な「デジタル3Sカード for Web」の開発を行った。本研究における開発では,

次の3点を目的として開発を進めた。

1つ目は,OSに依存しないアプリケーションの開発である。本研究で第一に開発を行っ たiPadアプリケーションの開発では,iOSのみでしか動作せず,OSに依存する問題があ った。したがって本研究では,ほぼ全てのOSにインストールされていると考えられるWeb ブラウザに注目し,Webブラウザで利用可能なアプリケーションの開発を行った。Webブ ラウザを利用した3Sカードアプリの利用では,アプリケーションを利用するためにサーバ ーのURLにアクセスする必要があるというデメリットがある。したがって,事前にブック マークをするなどの必要があるが,デスクトップや共有フォルダにあらかじめURLのショ ートカットを作成しクリックするだけにしておくことで容易にアクセスすることができる と考えられる。

加えて,作成したアプリケーションをサーバーに設置するだけで容易に利用が可能にな ることや,イントラネットの環境においてもサーバーがあれば環境を容易に構築できる。し かしながら,サーバーを設置し管理することは学校現場の教員にとって特に大きな課題に なると考えられ,サーバーの更新やアプリケーションの管理などができる技術を持った教 員が存在することが前提となってしまう。後述する共有システムを利用するために設定も 必要になってくることから,導入の際に手間がかかることが懸念される。

2点目の目的としては,ブラウザを利用するアプリケーションがさらに便利になるような 仕組みの作成である。本研究では,開発した3Sアプリケーションに加えて,作成したカー ドをその場で共有できるシステムの作成を検討した。

開発したアプリケーションは,HTML5を利用したウィジェット “Literally Canvas” を もとに作成されており,ブラウザ上で 3S カードを作成可能なアプリケーションである。

iPad 版のアプリケーションでは iOS のみでしかアプリケーションが利用できなかったが,

3S カードをブラウザ上で作成できるため,OS に関係なくアプリケーションの利用が可能 になった。

「デジタル3Sカード for Web」では,Literally Canvasを利用したことによって,iPad 版のアプリケーションでは利用できなかった次の機能が利用できるようになった。

1. キーボードを利用した文字入力 2. 図形の描画

3. 3Sカードの背景色の変更

キーボードを利用した文字入力では,3Sカードに手書きではなくフォントの文字が入力 できるようになった。3Sカードを作成する場面で,タイトルや内容をどうしても1行でま とめることが難しい場合,アプリケーションにおいて手書きで 2 行にはしにくい状況があ った。そこで,文字入力を利用することによって,見やすい文字を2行に書くことが可能に なった。ただし,標準の設定は1行の幅にあった文字の大きさに設定されているため,少し 小さい文字サイズに設定する必要がある。また,日本語入力の場面において入力している文 章が長くなった場合,途中の文字が隠れてしまう問題も現在確認されている。

図形の描画では,直線や四角形,円や任意で描画可能な多角形を3Sカード上に書き込む ことができるようになった。特に四角形や円の機能においては,強調したい部分を図形で囲 みその部分に文字を書き込むなど,以前のiPad版の3Sカードアプリケーションではでき なかった工夫を行うことが可能になった。

3Sカードの背景色が変更できるようになった点は,アプリケーションの新しい利用法に つながったと考えられる。特に紙媒体では,3Sカードの背景色を自由に変更することはと ても難しく,事前に色のついた用紙に3Sカードを印刷しておく必要があるなど,特に準備 を要するものであった。しかし,デジタル媒体の特徴である,背景色を瞬時に変更すること が可能である点が,開発したWebブラウザを利用するアプリケーションでは有効であった。

そうした背景色が変更できる機能は,意見などによって背景色を変更するなどの新たな利 用の可能性をもたらした。

ブラウザで利用可能なアプリケーションを開発したことで,上記のような機能が新たに 利用できるようになった一方で,カードの画像化を行う際に Internet Explorer のみでカ ードを作成できない課題も発生した。

このカード作成ができない問題は,Internet Explorerが ブラウザ上のcanvasから画像 データを出力する仕組みに対応していないことが挙げられるが,現在課題の解決には至っ ていない。Literally Canvas自体のソースコードの改良や,異なる方法を利用してカードを 作成するなどで対応することが望まれる。しかしながらソースコードの改良には膨大な時 間がかかることが予想され,現時点でのカードを作成できない課題の解決策としては,

Firefox や Chrome などの無料で利用できるブラウザを新たにインストールすることが最

も容易な解決方法だと考えられる。また,カードの共有はどのブラウザを利用していても問 題なく行うことが可能であるため,カードの共有を行い,共有サイト上で画像を保存するこ とが最も良い代替案と考えられる。

3点目の目的としては,カードの共有である。ブラウザを利用する利点として,サーバー に接続することで,様々なシステムと合わせて利用することが挙げられる。本研究では,

Webサーバーに設置した「デジタル3Sカード for Web」のディレクトリ内に,指定ディレ

クトリ内の画像を表示するPHPアプリケーションである“Single File PHP Gallery”を導 入し作成した画像を送信する仕組みを取り入れた。ブラウザでカードの作成が終わった際 に共有サイトに送信し,表示されるリンクをクリックすることで自分のカードを含めた他 の利用者のカードを見ることが可能になった。サーバー上に作成したカードのデータが保 存されるため,利用者が誤ってカードのデータを削除してしまった場合でも,以前に作成し たカードを再び見ることができ,また,カードを分類するなどしておくことで学校現場では 教員が評価するなどで利用する場合にも用いることができるようになったと考える。

一方,サーバー上にデータを保存するため,セキュリティ面の問題が考えられる。セキュ リティをより高める方法として,イントラネット環境での利用が考えられる。学校現場でタ ブレットや据え置き型 PC を利用する際に,セキュリティの設定上外部にアクセスするこ とができないといったことが起こる。したがってサーバーマシンをイントラネット環境で 利用できるように構築し利用する方法が考えられる。また,外部のサーバーにアプリケーシ ョンを設置する場合,データを保存するディレクトリを,外部に公開しない領域に作成する ことでデータの安全性を保つことが可能であると考える。

上で述べたように,「デジタル3Sカード for Web」では,iOS以外の端末に対応し,ブ ラウザを利用するメリットを利用して共有システムを組み込み,さらに活用の幅を広げる とこができたと考える。

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