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5. シンガポール

6.1 タイ税関の組織・体制

6.1.1 タイ税関の業務内容及び組織体制

税関局は、水際対策に対して責任を負う政府機関である。その主要な使命は、輸入品及び輸出品に関する税 の徴収だけでなく、関税法及び他の関連法の下での関税犯則の予防及び取締である。93 タイに輸入され、そ してタイから輸出される模倣品はタイの法律に違反するので、当該模倣品を効果的に止めることができる主要 な機関の一つである。タイは、TRIPS 協定の義務を効果的に履行している。様々なアプローチを通じてタイの 知的財産権の保護強化に取り組んでいる。毎年、税関によって 100,000 個以上の疑義製品が差止される。こ の数字は侵害品の取締に関して税関の強制措置の有効性を示している。

タイ税関の組織構成

2017 年 12 月現在、タイの税関局は、4,808 名の職員を有する。94 組織構成は長官(DG: Director-General)

Mr. Kulit Sombatsiri によって率いられている。長官の監督下、関税の徴収の管理・発展に関する最高顧問

(Principal Advisor)、税関の管理に関する最高顧問、そして、税関のインセンティブシステムの開発に関する最 高顧問、さらに、組織全体を俯瞰する 4 人の副長官で構成されている。この構成は、次の組織図で示される。

95

93 Customs Annual Report 2015 (P.145)

94 http://hrcustoms.org/wp-content/uploads/2015/03/%E0%B9%82%E0%B8%84%E0%B8%A3%E0%B8%87%E0%

B8% AA%E0%B8%A3%E0%B9%89%E0%B8%B2%E0%B8%87%E0%B8%81%E0%B8%A3%E0%B8%A1-6-%E0%

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95http://en.customs.go.th/data_files/fa90522fc21a44f514758a4a71d83247.jpg

74

75 下表は、税関局のスタッフの数を示している96

ポジション/部署 スタッフ数

長官(Director-General) 1

関税の徴収の管理・発展に関する最高顧問(Principal Advisor on Management and

Development of Duty Collection) 1

税関管理に関する最高顧問(Principal Advisor on Development of Customs Control) 1 税関インセンティブシステムの発展に関する最高顧問(Principal Advisor on Development

of Customs Incentive System) 1

副長官(Deputy Director-General) 4 管理システム開発局(Administrative System Development Directorate) 13 内部監査局(Internal Audit Directorate) 17 海外税関オフィス(Overseas Customs Offices (3 branches)) 5 中央管理局(Central Administration Bureau) 148 人事管理局(Human Resources Management Bureau) 106

法務局(Legal Affairs Bureau) 93

立案・国際局(Planning and International Affairs Bureau) 44 関税局(Customs Tariff Bureau) 136 税関基準手続・評価局(Customs Standard Procedures and Valuation Bureau) 77 情報・通信技術局(Information and Communication Technology Bureau) 113 関税奨励局(Tax and Duty Incentives Bureau) 232 事後調査局(Post Clearance Audit Bureau) 140 捜査・取締局(Investigation and Suppression Bureau) 297 バンコク税関局(Bangkok Customs Bureau) 399 バンコク港税関局(Bangkok Port Customs Bureau) 365 ラートクラバン貨物管理税関オフィス(Lad Krabang Cargo Control Customs Office) 177 レムチャバン港税関局(Laem Chabang Port Customs Bureau) 278 スワンナプーム空港貨物調査税関局(Suvarnabhumi Airport Cargo Clearance Customs

Bureau) 380

スワンナプーム空港搭乗客管理税関局(Suvarnabhumi Airport Passenger Control

Customs Bureau) 241

地方税関局1-4 (Regional Customs Bureau 1-4) 143

税関支署(48署) (Customs Houses (48 branches)) 1,396

合計 4,808

96上述の2件の脚注と同じ。

76 税関職員/タイの港及び国境

以下の通り、タイの主要な港に6ヶ所の税関局がある。

1. バンコク税関局(Bangkok Customs Bureau) (11ヶ所の民営税関オフィスを統括) 2. バンコク港税関局(Bangkok Port Customs Bureau)

3. ラートクラバン貨物管理オフィス(Lad Krabang Cargo Control Customs Office) 4. レムチャバン港税関局(Laem Chabang Port Customs Bureau)

5. スワンナプーム空港貨物調査税関局(Suvarnabhumi Airport Cargo Clearance Customs Bureau) 6. スワン ナプーム 空港 搭乗客管理税関局(Suvarnabhumi Airport Passenger Control Customs

Bureau)

上記に加えて、タイの4地方を統括する48ヶ所の支署がある。

► 地方1

タイ中央部を統括

11税関支署から構成される

► 地方2

タイ北東部を統括

10税関支署から構成される

► 地方3

タイ北部を統括

9税関支署から構成される

► 地方 4

タイ南部を統括

18税関支署から構成される

次の図は、各税関局及び税関支署の位置を示す。

77

海上輸送による輸入品に対して2つの主要な税関所在港がある。1つは首都に近い税関所在港であるバンコ ク港であり、他の1つはタイにおいて最大かつ取扱量最大の港である レムチャバン港である。

貨物が陸路で輸入された場合、商品は通常、タイのチェンライ(Chiang Rai)県、ノーンカーイ(Nongkai)県、ナ コーンパノム(Nakhonphanom)県及びムクダハン(Mukdahan)県のタイ-ラオス国境と、流入し、サケーオ (Srakaew)県のタイ-カンボジア国境と、タイのチェンライ(Chiang Rai)県及びターク(Tak)県のタイ-ミャンマー 国境とを通過する。

78 貨物量

過去十年間、タイの国際貿易額は年々割合が漸次増加している。下表は、2006 年から 2016 年までの、国際 貿易額と、タイからの輸出額と、タイへの輸入額とを示している(単位は百万バーツ)。97

年 国際貿易額 輸出額 輸入額 差額

2006 9,880,294.80 4,937,372.20 4,942,922.50 -5,550.30

2007 10,172,305.60 5,302,119.20 4,870,186.40 431,932.80

2008 11,813,853.60 5,851,371.10 5,962,482.50 -111,111.30

2009 9,796,578.50 5,194,596.70 4,601,981.80 592,614.90

2010 11,969,926.80 6,113,335.50 5,856,591.30 256,744.20

2011 13,690,717.60 6,707,989.50 6,982,728.10 -274,738.70

2012 14,863,885.20 7,077,762.20 7,786,123.00 -708,360.90

2013 14,567,177.00 6,909,543.90 7,657,633.10 -748,089.20

2014 14,714,993.80 7,311,089.00 7,403,904.80 -92,815.80

2015 14,131,801.20 7,225,722.80 6,906,078.40 319,644.40

2016 14,438,890.80 7,550,704.10 6,888,186.70 662,517.40

上表の数値は、輸入数量と輸出数量とが増加していることを示している。地域経済全体の向上のためだけでな

く、ASEAN共同体の緊密な協力の効果により、将来の国際貿易量の増加が予見される。

6.1.2 税関取締実績の統計データ

過去、税関局の第一関心事は、輸入/輸出中の模倣品の取締りよりも、脱税であった。以前、模倣品が保管さ れている場所であるコンテナを知的財産権者が税関に知らせた場合のみ、税関は模倣品を差止めていた。し かしながら、2003 年、税関局と、民間企業の知的財産権者と、いつかの地域の法定代理人との間で、侵害品 の密輸の予防および抑⽌のための関係政府当局と⺠間セクターの協⼒に関する覚書(Memorandum of Understanding on the Cooperation of the Relevant Government Agencies and the Private Sector to Prevent and Suppress the Smuggling of Infringing Products)(以下、「覚書」という。)が調印された。覚書は、

政府機関と様々な民間企業との間で、相互支援及び協力を容易化することが目的である。知的財産権の侵害 品を効果的に取り締まるために、税関局及び民間企業が追跡する手続が規定された。覚書実施後、タイ税関 局は、職権で侵害品を差止めるようになった。

97 http://www.ops3.moc.go.th

79 税関取締件数

過去5年間 (2013年-2017年)、タイにおける模倣品の税関取締件数は、一年単位で、約700件から900件

で安定している。参考として、下表を参照して欲しい。

年 件数

2013 (1 Oct 2012 - 30 Sep 2013) 769

2014 (1 Oct 2013 - 30 Sep 2014) 770

2015 (1 Oct 2014 - 30 Sep 2015) 847

2016 (1 Oct 2015 - 30 Sep 2016) 900

2017 (1 Oct 2016 - 30 Sep 2017) 770

税関職員が、タイに輸入される、又はタイから輸出される全てのコンテナを検査することは不可能である。大抵、

税関職員はすべてのコンテナの約 10-20%を検査する。税関は、 (1)模倣品が通常輸出元の国々と、(2)法律 を違反することが通常認識される種々の商品とを記録する内部データベースを有する。一般的に、税関職員 は、内部データベースを検討した後、疑いのあるコンテナをランダムに検査する。さらに、税関職員は通常、疑 いのある企業により輸入された商品も検査する。疑いのある企業の例は、様々な事業目的が登録されているが、

低額な登記資本金額である企業である。さらに、最近、侵害者は貨物の検査又は留置を回避する方法を会得 している。例えば、侵害者は真正品に侵害品を混在させることによって少量の模倣品を隠している。これにより、

税関職員が侵害品を発見する機会を低くしている。

税関局により差止められた貨物数量

年 数量 (個数)

2013 (1 Oct 2012 - 30 Sep 2013) 627,615

2014 (1 Oct 2013 - 30 Sep 2014) 263,760

2015 (1 Oct 2014 - 30 Sep 2015) 1,859,126

2016 (1 Oct 2015 - 30 Sep 2016) 1,532,924

2017 (1 Oct 2016 - 30 Sep 2017) 903,742

備考: 2014年は平均的な事件数であったけれども、税関によって差止められた貨物数量は劇的に減少した。事件数に あまり差異がない2013年及び2017年に差止られた模倣品の数量と比較して、2014年の数量は際立ってい る。

税関局によって差止められた貨物の金額

年 金額 ( バーツ )

2013 (1 Oct 2012 - 30 Sep 2013) 116,247,146

80

2014 (1 Oct 2013 - 30 Sep 2014) 74,757,165

2015 (1 Oct 2014 - 30 Sep 2015) 170,722,499

2016 (1 Oct 2015 - 30 Sep 2016) 117,624,493

2017 (1 Oct 2016 - 30 Sep 2017) 71,544,098

備考: 特定の年に税関によって差止められた模倣品の金額は、差止められた貨物の種類により変化している。

税関局によって差止られた対象商品

タイの税関局は、特許権を侵害する製品を除く商標権及び著作権を侵害する商品を差止める権限を有するこ とに留意することは重要である。しかしながら、税関局は差止めれらた商品を分類していない。