• 検索結果がありません。

スマホに子守りをさせないで!

~赤ちゃんが健やかに育つために~

佐 藤 和 夫

(国立病院機構九州医療センター 小児科)

【主な学歴及び職歴】

1982 年 3 月  九州大学医学部卒業 1982 年 4 月  九州大学小児科入局 1982 年 6 月  福岡市立こども病院 1983 年 6 月 九大病院 小児科 1984 年 6 月  大分県立病院小児科 1986 年 6 月   福岡市立こども病院新生

児科

2000 年 4 月  九州医療センター小児科 2004 年4月  NHO 九州医療センター小

児科

1996 年 5 月  医学博士 ( 九州大学 ) 2010 年4月 九州大学臨床教授(兼任)

【学会他】

・ 日本小児科学会:代議員

日本周産期・新生児医学会:評議員  日本未熟児新生児学会:評議員  ハイリスク児フォローアップ研究会:

常任幹事

 周産期精神保健研究会:理事  (小児科医で専門は新生児・赤ちゃん

です)

・ NPO子どもとメディア代表理事

・ 日本小児科医会子どもとメディア委 員会

 「子どもとメディア」の問題に対する 提言作成に参画

・ その他

 子どもがより良く育つ環境に関心が あります

 すべてのこどもが幸せになることが 願いです

 「お母さんがスマートフォン(スマホ)で赤ちゃんをあやす、お父さ んがタブレットを触りながら子どもにはスマホで動画を見せている」・・・

子ども達は、赤ちゃんの頃から電子メディアが溢れる環境で育っていま す。

 「スマホに子守りをさせないで!」・・日本小児科医会と日本産婦人科 医会がこのポスターを全会員に配付しました。なぜでしょう?

 電子メディアの子どもへの影響(特にスマホと乳幼児)について解説 します。

 赤ちゃんが健やかに育つためには、何が大切かをいっしょに考えま しょう。

<電子メディアの影響>

メディアを通じて得るものも少なくありませんが、様々な悪影響が報告 されています。

(1)暴力・攻撃性 (2)運動不足・肥満 (3)性の問題(4)喫煙、酒、違法薬物 (5)学業成績低下(6)行動・心理(注意欠陥問題や自尊心の低下)(7)睡 眠・体内時計の乱れ (8)成人期の健康への影響 (9)依存・ネットいじめ (10) 脳への影響

<乳幼児への影響>

メデイア接触が “子どもの成長と発達に必要な時間と体験を奪ってしま います”

(1)言葉の発達が遅れる(認知、社会性、情緒)危険性 (2)生活リズム・基本的生活習慣の形成に悪影響 (3)運動不足・肥満のリスク

(4)眼・視力への影響

(5)愛着形成や自制心の発達へ悪影響 (6)依存性(長時間視聴の危険)

<赤ちゃんにテレビ・スマホは要りません>

・ 赤ちゃんに大切な、基本信頼感(人を信じる心)や愛着(親子の絆)は、

授乳・抱っこ、語りかけ、見つめ合い、などの“ふれあい”によって 育まれます。

・ 赤ちゃんにテレビ・スマホは要りません。テレビ・スマホなどは刺激 が強いので赤ちゃんはそちらをよく見ますが、一方通行で人工的な刺 激なので、目にも心身の発達にもよくありません。

・ 赤ちゃんには、目を見てたくさん語りかけましょう、身体を使って遊 びましょう!

・ いわゆる知育アプリの効果は証明されていません。絵本や外遊びが大 切です。

・ 助産師さんには、妊娠中の保健指導や産後の健診で啓発して頂きたい と思います。

<参考となるホームページなど>

1) 佐藤和夫.スマホを使う前に…「子どもの発達に何がいちばんいいの か」に立ち返って

(出産準備サイト) http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-4271.html 2) 日本小児科医会.子どもとメディア委員会.ポスターなどがダウンロー

ドできます。

http://www.jpa-web.org/about/organization_chart/cm_committee.html 3) NPO子どもとメディア http://komedia.main.jp

4) 佐藤和夫:ITの功罪 電子メディアの子どもへの影響とその対応.小 児保健研究 77:18-22, 2018

市民公開講座/シンポジウム/ワークショップ/交流集会

3 月 2 日(土)16:00~17:00 第 1 会場 市民公開講座 2

座長:我部山キヨ子(大垣女子短期大学)

子どものこころの発達:児童虐待と傷ついていく脳

友 田 明 美

(福井大学子どものこころの発達研究センター 発達支援研究部門)

【略歴】

1987 年 熊本大学医学部卒業

1992 年  熊本大学医学部附属病院発達 小児科助手 

2003 年~ 2005 年 

      文部科学省在外研究員(米マ サチューセッツ州マクリーン 病院発達生物学的精神科学研 究プログラム), ハーバード 大学医学部精神科学教室客員 助教授

2006 年  熊本大学大学院医学薬学研究 部小児発達学分野准教授 2011 年  福井大学大子どものこころの

発達研究センター教授・副セ ンター長(現職)

      同附属病院子どものこころ診 療部長(兼任)

2009 年~ 2011 年・2017 年~ 

      日米科学技術協力事業「脳研 究」分野グループ共同研究日 本側代表

【文献】

友田明美 .「新版いやされない傷―児童 虐待と傷ついていく脳」, 診断と治療 社 , 2012.

友田明美 . 「子どもの PTSD」, 診断と治 療社 , 2014.

友田明美 . 「子どもの脳を傷つける親 たち」, NHK 出版新書 , 2017.

友田明美 , 藤澤玲子 .「虐待が脳を変え る—脳科学者からのメッセージ」, 新 曜社 , 2018.

 演者は、虐待を含む小児期のマルトリートメント(不適切な養育)経 験と「傷つく脳」との関連を脳画像で解明した。例えば、暴言虐待によ る「聴覚野の肥大」、性的虐待や両親の家庭内暴力(DV)目撃による「視 覚野の萎縮」、厳格な体罰による「前頭前野の萎縮」などを明らかにした。

 虐待を受けて育ち、養育者との間に愛着が上手く形成できなかった愛 着障害の子どもは、報酬の感受性に関わる脳の「線条体(報酬による意 思決定や、失敗から課題を学び取る力に関わる脳部位)」の働きが弱い うえ、その発達が阻害される時期(感受性期)は生後1-2歳にピークが あることも突き止めた。

 こうした脳の傷は「後遺症」となり、将来にわたって子どもに影響を 与える。トラウマ体験からくるPTSD、記憶が欠落したりする解離など、

その影響は計り知れない。これらの症状に対して適切な治療を施さなけ れば、うつ病の発症や自殺行為、衝動的な行動につながることがあり、

薬物やアルコール依存のほか、性犯罪の加害者にも被害者にもなりうる。

 児童虐待への曝露が脳に及ぼす数々の影響を見てみると、人生の早い 時期に幼い子どもがさらされた想像を超える恐怖と悲しみの体験は、子 どもの人格形成に深刻な影響を与えずにはおかない。しかし、子どもの 脳は発達途上であり、可塑性という柔らかさを持っている。早いうちに 手を打てば回復することが我々の研究から分かってきた。そのためには、

専門家による心理治療やトラウマに対するこころのケアを、慎重に時間 をかけて行っていく必要がある。 

 近年、人生の最初期における愛着形成、信頼の形成が人間の発達にとっ て決定的に重要であるとの認識が広まっていることはとても意義深い。

というのは、そこから生まれてくるのは子どもたちに対する視点だけで はなく、同時に、親になった者たちの困難さにも寄り添うことにつなが るからだ。

 「虐待の連鎖」が言われて久しいが、3分の2の被虐待児たちは自ら が親になって虐待しないという事実にも目を向けてほしい。現代社会に は、育児困難に悩む親たちを社会で支えること、“とも育児”〈子育て困 難家族の脇にいて共に(伴に)寄り添う〉きょうどう子育て(アロペア レンティング)が必要である。

 しかし、少子化・核家族化が進む社会の中で、養育者である親を社会 で支える体制は、いまだ乏しい。そういう意味では、虐待を減少させて いくためには多職種と連携し、また、子どものみならず親たちとも信頼 関係を築き、根気強く対応していくことから始めなければならない。「将 来を担う子どもたちを社会全体で育て守る」という認識が、広く深く浸 透することを願ってやまない。

市民公開講座/シンポジウム/ワークショップ/交流集会

3 月 3 日(日)10:00~11:30 第 1 会場 シンポジウム 1

周産期メンタルヘルスの取り組み

座長:福 井 トシ子(公益社団法人 日本看護協会)

   佐 藤 昌 司(大分県立病院総合周産期母子医療センター)

 第6回周産期医療体制のあり方に関する検討会(厚生労働省2016年8月24日)において「2016年におけ る東京都の周産期自殺率は出生10万に対し8.7人で、母体死亡率出生10万に対し5人よりも多い」「周産期 自殺に占める精神疾患の割合は、妊娠中のうつ病が約3割で、産後うつ病や統合失調症等を含めると4割を 超えていた」とし、「これらについては、精神科医等の医療体制の強化で防ぎうる群である」と報告している。

産婦人科診療ガイドライン産科編2017では、産後うつ病は、産褥精神障害のなかで最も多く、わが国では褥

婦の5~10%に認められている。産後2週あるいは4週頃にすでに発症する場合もあることから、この時期

でのスクリーニングが推奨されている。

 日本看護協会が、分娩取扱病院が実施している母子の2週間以内の健診、2週間健診、1か月健診の実施状 況と、この健診に対する助産師の関与状況等や、分娩取扱病院に勤務する助産師における産後1か月までの 助産ケアに関する課題を明らかにすることを目的に調査(平成28年8月1日~9月9日)した結果、本調査 に回答した615施設のうち605施設(98.4%)が、1か月健診を実施していた。分娩後2週間以内における母 子の健診の実施については30.6%(174/568施設)、2週間健診については38.2%(232/608施設)で、4 割を下回っていた。このことから、母子が最も支援を必要とする1か月以内の健診体制が整っていないと考 えられた。また2週間健診を実施していると回答した230施設の96.5%(222施設/230施設)が、「助産師 が関与している」と回答したが、1か月健診になると助産師の関与は、56.6%(336施設/594 施設)に留まっ ていた。継続支援を行うための体制構築や助産師のケアのあり方が課題として明らかになった。

 1か月健診までの間に、母子の健診に関与する助産師には、子どもの虐待予防やメンタルヘルスに関する 知識、対象者から情報を引き出すために必要な、高いコミュニケーション能力が求められる。また、支援が 必要な母子が地域で安全に、安心して暮らしていくことができるよう、施設内外における多職種・多機関と の連携・協働が重要であるが、2週間健診および1か月健診を実施し、助産師が関与していると回答した施 設における、関与する助産師の要件は、いずれも「助産師として一定の経験年数を満たしている」ことを重 視していた。そこで、日本助産実践能力推進協議会では、アドバンス助産師の申請・更新要件にメンタルヘ ルスケア研修受講を位置づけ助産師のさらなる実践能力強化を図っている。

 メンタルヘルスケアや子どもの虐待予防には、関係職種の介入知識や技術が必要であること、多職種・多 機関等との連携・協働が重要なことから教育体制の整備が急務であるため、本シンポジウムでは、5人のシ ンポジストを迎えて「臨床実践を踏まえた妊娠期からの切れ目のない子育て支援」、「周産期メンタルヘルス 領域における学会・医会の提唱等」、「産後うつ病・児童虐待の予防・介入に関する研究等」、周産期の自殺は 精神科医等の医療体制の強化で防ぎうる群であることから、「精神科と産科・保健行政の連携の取組について」

そして「子どもの育ちの出発点としての周産期について」発言していただき、周産期のメンタルヘルスの取 り組みを共有し、継続支援体制構築や、助産実践に活かす機会としたい。

関連したドキュメント