第 4 章 ディジタル制御に基づくスイッチング電源のフィードバック制御実験 33
4.3 DPWM スイッチング電源に対する DIMC の導入
4.3.2 DIMC の実験結果
本節では、制御系としてDIMCをDPWMスイッチング電源に適応し実験した結果を示す。実 験条件として、目標値を639[digit]、制御器をDIMC、入力電圧を12.0[V]、制御帯域を1000[Hz]、
サンプリング時間を3.41µs、無負荷とした。また、制御対象モデルは、前章(オフライン同定実 験)で導出したものを用いた。ステップ応答実験の結果を図4.9に示す。比較対象として積分制御 器での実験結果を重ねて示す。赤がDIMC、青が積分制御となる。図4.9より、目標値に対してい ずれもシミュレーションと同様に定常偏差なく追従していることが確認できる。整定時間は、積分
制御が0.49ms、DIMCが0.38msとなっており、追従性が約10%向上していることがわかる。ま
た、図4.10に図4.9の定常状態の拡大図を示す。赤がDIMC、青が積分制御であるが、図4.10中 の丸で囲んだ箇所でPWMDutyが不規則に振動しているのが確認できる。これによって、出力電
圧のpeak-peak電圧が小さくなっている。この原因に関しては現在検証中である。DIMCの制御
構造が何らかの影響を及ぼしていることが考えられる。
また、DIMC、積分制御に対して広帯域化を行った。実験条件としては、帯域幅を積分制御の限
界である2500Hzにした。帯域幅以外の条件は先と同様である。図4.11に実験結果を示す。積分制
御は、オーバーシュートが11.6%、整定時間が0.38msとなった。それに対してDIMCでは、オー バーシュートが発生せず、整定時間は0.14msとなった。オーバーシュート、整定時間からDIMC の優れた応答性が伺える。
さらに、帯域幅を5000Hzにした場合の結果を図4.12に示す。ここでは、DIMCのみを示す。
オーバーシュートが4.4%、整定時間が0.068msとなった。オーバーシュートが出ているものの、
良好な結果を得ることができた。不安定零点がある場合に現れる制御入力のアンダーシュートが見 られる。DIMCを構成するためにP−1(s)を用いるため、システム同定結果では不安定零点は無い ものとしているが、実際の装置では存在するためアンダーシュートが現れると考えられる。しか し、出力波形を安定にするための入力であり、許容できる範囲であるため、問題ないと考える。
0 20 40 60 80 100
PWM Duty [digit]
0 500 1000 1500
0 200 400 600 800
Number of sample
Output voltage [digit]
I-comp.
DIMC
図4.9: DIMCと積分制御の実験結果(ステップ応答)
87 88 89 90 91 92
1500 1600 1700 1800 1900 2000
620 630 640 650 660
Number of sample
I-comp.
DIMC
PWM Duty [digit]Output voltage [digit]
図4.10: ステップ応答波形の定常状態
0 20 40 60 80 100
1500 200 250 300 350 400 450
200 400 600 800
Number of samples upwm[digit]vout[digit]
I-comp.
DIMC
Number of samples
図4.11: 広帯域化におけるステップ応答
0 20 40 60 80 100
0 100 200 300 400 500 600 700
0 200 400 600 800
Number of samples upwm[digit]vout[digit]
DIMC
図4.12: 5kHzでのステップ応答(DIMC)