21 世紀 COE 国際駅伝シンポジウムを市民レベ ルで知っていただくために、「シンボルキルト」
を作成しました。日本では馴染みの薄い「シン ボルキルト」ですが、海外ではシンポジウムに 参加者した方たちの名前をキルトに記載してい ただき、タペストリーとして残すことが行われて きています。キルト作りは、さまざまな生地を 切って独立したパーツを制作し、それをつなぎ 合わせ、キルト綿をはさんで裏地をつけて、ス テッチをかけるという非常に手間のかかる作業 です。「シンボルキルト」は、このように「多くの 人の手がかかわって、ひとつのものを作り上げ る」工程を通して、多くの市民の方に、このシ ンポジウムの意味を理解し、興味を持っていた だけることを目的としています。また、このキル トプロジェクトは、「市民主導の健康生成」のあ り方を、アートの領域で行ってみるひとつの試 みとして位置づけられています。
制 作した「 シンボル キルト」 は、
2005 年聖路加看護大学 2 号館の 入り口に飾る予定です。
市民および専門職者とのコラボレーションの推進 2
「シンボルキルト」の制作過程
5 月 : (財)日本手芸普及協会 * にホームペー ジを通して、主旨を伝え、協力を仰ぎ、
賛同・協力を得る。
6 月 : ・日本手芸普及協会と打ち合わせ。
・キルト作成説明用リーフレットの作成。
・日本手芸協会東京在住会員有志の方々 より生地など材料が寄付される。生地 のカット、1000 人分のセットを日本手芸 協会東京在住会員有志の方々が作成。
・聖路加看護大学でボランティアを募り、
聖路加看護大学学生、学生のご父兄、
大学教職員などが登録。
7 月 : 第 1 回駅伝シンポジウム開催。200 名 以上の参加者がキルトピースに名前を記 入。
8 月 : 日本手芸協会の方々による第 1 回駅伝シ ンポジウムで名前を記入したキルトピー スの縫い合わせ。
9 月 : 聖路加看護大学 2 号館で第 1 回キルト 作成作業。
ボランティアの学生・市民、手芸協会の 方々、大学の教職員など合計 20 名が参 加。
10 月 : 第 2 回駅伝シンポジウム開催。約 50 名 の参加者がキルトピースに名前を記入。
11 月 : 第 2 回キルト作成作業。聖路加看護大 学大学祭で駅伝シンポジウムおよびシン ボルキルトについて紹介。参加者のうち 88 名がキルトピースに名前を記載。ボラ ンティア登録も増える。
同 21 日第 3 回駅伝シンポジウム開催。
2 月 : 第 3 回(最終)キルト作成作業。全ての ピースがそろったところで、ボランテイア・
日本手芸普及協会の方々によるキルト作 成最終作業実施。
3 月 : シンボルキルト完成。キルト展にて展示。
200 名の方に署名をいただく。
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評価委員会メンバー : 及川郁子、
久代和加子、
宮崎紀枝、
瀬戸屋希
評価会の位置づけ
目 的 COE 評価会は、「COE 事業の運営状況や進捗状況を評価 し、看護学の国際的研究拠点としての機能が効果的に発 揮できるように助言するとともに、更なる発展の方向性を 提示する」ことを目的に、外部評価者を中心に組織立てら れた会です。
評価委員 国内からは、石田昌宏氏(日本看護連盟常任理事)、佐伯 晴子氏(東京 SP 研究会)、麻鳥澄江氏(NPO 法人「女の 便利帳」)、太田泰彦氏(日本経済新聞社論説委員)、谷川 紀彦氏(日本精工株式会社 常務)、鎌ヶ江真知恵氏(中央 区助役)、そして国外からは、 Dr. William Holzemer (カリ フォルニア大学サンフランシスコ校・国際看護師協会理事)
と Dr. Caroline White (オレゴンヘルスサイエンス大学)と、
国内外合わせて 8 名の委員で構成されています。
評価の視点 「市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点」の事業 を推進するために、次のような評価視点を設けました。1 市民のニーズに即したものか、2 市民との協働の状況、3 市民や地域との一体感、4 研究成果の市民、専門職、政 策への活用度、5 国際性、などです。また、若手研究員育 成や組織・経費運営状況についても評価内容としています。
評価の実施概要
事業全体については、評価会を設けました。平成 15 年度 は国外評価者を招き、国際評価委員会を 2004 年 1 月 23 日に開催しました。平成 16 年度は、2004 年 11 月 27 日 に国内外の評価者による合同評価会を実施しました。国内 評価者には駅伝シンポジウムに参加していただき(3 回)、評価用紙に記入、意見交換会を通して事業への参与的評 価をしていただきました。各研究プロジェクトについては、
事業担当者が上記の視点で評価を実施しました。
評価結果
評価結果については、1)研究プロジェクトの評価結果、
2)駅伝シンポジウムについて、
3)合同評価会から、の 3 点からまとめました。
評 価 会
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1) 研究プロジェクトの評価結果
研究プロジェクトの評価は、市民のニーズ、市民 の参加度、地域密着性、国際発信、利用可能 性に加え、研究の独創性、科学的価値、達成度、
公表状況の 9 項目から現状を評価しました。
その結果、各研究プロジェクトの示すコミュニ ティメンバーは、一般市民から子ども、女性、
特定の病気を抱える人々などに限局される場合 とまちまちでした。しかし、各プロジェクトとも、
それぞれのコミュニティメンバーの意見の聴取、
対話などからニーズを把握し、それらのニーズ にあった研究の実施を心がけていることが結果 報告から理解できます。また、日本の現状に合 わせた独創的な計画を企画しており、エビデン スに基づいた価値の高い研究と言えます。研究 過程での成果物の公表状況は大変良好で国際 発信も心がけ、Web を利用しての発信も見られ ました。
今後取り組んでいかなければならない課題は、
各プロジェクトとも、COE の「市民主導」という 目標から、市民の参加度の低さであると考えら れます。プロジェクトによってはコミュニティメ ンバーと直接協働することが困難な研究もあり ますが、可能な限りコミュニティメンバーあるい はコミュニティメンバーに近い実践者との密接 な関係を築き、研究過程のすべての面への参加 と協働を実現するよう努力することが望まれま す。研究者は、市民のために専門的知識を提 供するだけでなく、研究者自身も、市民や実践 者から現場の知識を学ぶという対等な立場でプ ロジェクトを展開していくことが求められると考 えられました。
2) 駅伝シンポジウムについて
駅伝シンポジウムは以下の共通の目標(たすき)
のもと 3 回企画され、各シンポジウムとも、外 部評価者による評価と企画者からの自己評価を 行いました。3回に共通の目標は次のとおりです。
1 地域の人々と看護職が “ 場 ” を共有して語 り合い、
2 一人ひとりが主体的に医療に参加してより 健康に生活するための情報を得る、
3 国際的視野から私たちにあった健康生活を 考える一助になる、
4 市民とパートナーシップを築く。
目標ごとの評価結果は、以下の通りです。
目標 1:
市民と看護職がともに語り合うためには、市民 が理解できるやさしい言葉で伝えることが重要 であることが毎回指摘され、いかに難しいこと であるかが認識できました。また市民が医療を 語るときには看護というより医師を念頭において 語ることが多く、市民と看護がパートナーとなっ て協働するためには、お互いがさらにコミュニ ケーションを密にして理解を深める必要がある こと、また市民と語り合う“ 場 ” を共有するだけ でなく、市民が意見を出しやすい方法を工夫す る必要があることも明らかになりました。
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評 価 会
目標 2:
市民主導型の健康生成をめざす看護や、看護 は何ができるのかについて、専門職の体験や患 者さん自身の体験を聞くことなどを通して、市 民は具体的に情報が得られたのではないかと評 価されました。また受身の医療だけでなく、人 生の一部である病を患者自身が主体的に生きる 時代がきているという感想をもつ参加者もいた ことで、情報がしっかり伝えられていたことが確 認できました。
目標 3:
看護職としては海外から招聘したシンポジスト からの新しい情報により、今後の方向性を得る ことができましたが、市民にとっても今の自分 の健康生活と直接に結びつけられるようなつな ぎの説明を組み込むなど、工夫・調整をする必 要があることが指摘されました。
目標 4:
市民とともにシンポジウムを作ることをめざし努 力の跡は確認できましたが、まだまだ看護職主 導であり協働してシンポジウムを企画・運営で きたとはいえません。しかし、準備や広報活動 の過程で確実に市民との交流が深まっていたこ とや、シンボルキルトの製作にさまざまな人が ボランティアとして参加していたことは市民との 交流のきっかけになっていたと評価されました。
以上、3 回目の駅伝シンポジウムを終了したとき、
はじめに見られた看護職が求めていることと患 者が求めていることの大きな「ずれ」が少しず つ解消されてきており、僅かずつではあるが看 護主導型から市民主導型へと市民の目線に合わ せて歩み始めていることが実感されています。
3) 合同評価会から
2004 年 11 月 27 日(土)に、海外評価委員 2 名、
国内評価委員 3 名を迎えて、合同評価会を開催 し、市民ならびに専門職の立場から、これまで の COE 事業の推進状況に対する評価と今後の 方向性についての示唆を頂きました。また、当 日欠席であった国内評価者 2 名からも、書面に てこれまでの活動に対する評価を頂きました。
各評価者からは、これまでの活動の多様性とそ の進展に、高い評価がなされた上で、今後の方 向性として、いくつかの示唆が提示されました。
COE 各事業に関しては、その分野が多岐にわ たっており、COE 全体としてのビジョン、使命、
目的を明確化することの必要性が提示されまし た。その際、目標を明確に表すキーワードが必 要であり、「People-centered Care」という用語 の再検討を含めて、再度見直す必要性が指摘さ れました。
HP 開設に関しては、多様な市民のニーズに応 じ、また情報発信としての重要な役割を担う一 方、対象が多様であることに対する懸念も示さ れました。加えて、双方向のやり取りの必要性、
検索機能の必要性、HP 継続のためのコストの 確保、といった課題が提示されました。
市民の参加度、地域密着性という点においては、
COE の各活動を共に行う市民グループの組織化 や、活動を展開するためのコミュニティの構築 が、今後の課題として示され、その際には情報 の非対称性を考慮して、市民に分かりやすい情 報提供のあり方を検討すべきとの意見が聞かれ ました。