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S/HuC

4.5.2 シミュレーション結果

本節では、SPIDER駆動精密ステージの位置決め制御系にフィードバック変調器FBMを適 用させ、参照システムのみとフィードバック変調器FBMを付加したとき、そしてDICを付 加したときの制御入力と検出出力(位置)についてシミュレーションによる比較・検討す る。

ここで制御対象のモデルは4.3節と同様に、実機であるSPIDER駆動精密ステージをシステ ム同定することにより得た(4.14)式の2次系モデルを使用する。

シミュレーション条件としては、提案手法は4.3節の角周波数をc=40 rad/sとした以外同 様である。一方、フィードバック変調器FBMが角周波数c=40 rad/s、切り替え時間を5 ms とした。また、DICとの比較のため制御入力は3、0、-3の3値になるように決めた。

目標値r =0~10 mmに対する時間応答波形及び、制御入力の応答についてのシミュレーシ ョン結果を図4.8に示す。また、そのときの参照システム及び、提案手法、フィードバック 変調器FBMの最大誤差を表4.3に示す。

表4.3:最大誤差

制御方法 最大誤差[mm]

continuous 0.08

DIC10等分割 0.082

DIC2

5

分割 0.18

FBM

発散

図4.8、表4.3より、角周波数が40rad/sと制御角周波数であり、応答が早くなるためフィ ードバック変調器では制御できなかったのだと考えられる。そして、提案手法に比べフィ ードバック変調器では収束できないことが確認できる。

また、振幅条件10等分割と25分割の提案手法で誤差を残るだが、目標値に収束できるこ とがわかる。提案手法の有効性を確認できる。

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(a)Position

(b)Control Input

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 2 4 6 8 10 12

Time [s]

P os it io n[ m m ]

reference without DIC

discrete DIC10等分割 discrete DIC2n等分割 discrete FBM

0 0.5 1 1.5

-5 0 5 10

Time [s]

Control Input [V]

without DIC

0 0.5 1 1.5

-5 0 5 10

Time [s]

Control Input [V]

discrete DIC10等分割

0 0.5 1 1.5

-5 0 5 10

Time [s]

Control Input [V]

discrete DIC2n等分割

0 0.5 1 1.5

-5 0 5 10

Time [s]

Control Input [V]

discrete FBM

65 (c) error

図4.8:シミュレーション結果(DICとFBMの比較)

0 0.5 1 1.5

-0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15

Time [s]

err [mm]

without DIC

discrete DIC10等分割 discrete DIC2n分割

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第五章 まとめ

5.1 まとめ

本論文では、アクチュエータ出力が一定振幅かつ離散値パルス入力のような時間・空間 分解能制約を有する離散値入力の制御系に対し、ディジタル制御実現による実用的な設計 方法について提案し、その有効性をシミュレーションならびに実験により検証した。

提案するDIC変換器の特徴は、連続出力が可能なアクチュエータを考慮し設計された制御 系に対し、設計を変えずに時間・空間分解能制約がある離散値入力の制御系に切り替えら れることであるが、空間分解能をどの程度まで制約できるか振幅条件の設定を試す必要が あった。そこで初めは振幅条件を等分割にし、最終的に固定小数演算を考慮し振幅条件を 2n分割に検証することにした。

本研究の内容としては、まず、リニアモータ駆動の精密ステージを用いて提案手法が位 置決め制御にも応用できることを示すため、シミュレーション及び実験検証した。振幅条 件を10等分割の場合についてシミュレーション及び実験をし、提案手法の位置決め制御へ の応用が可能であることを確認した。固定小数演算を考慮し振幅条件が25分割での提案手法 についてシミュレーション及び実験し、振幅条件が25分割の場合でも位置決め制御が可能で あることを確認した。

次に、2自由度制御系と連続軌跡追従制御系に提案手法を適用して、リニアモータ駆動精 密ステージのシミュレーションを検証した。振幅条件を10等分割の場合についてシミュレ ーションをし、提案手法の位置決め制御への応用が可能であることを確認した。固定小数 演算を考慮し振幅条件が25分割での提案手法についてシミュレーションをし、振幅条件が25 分割の場合でも位置決め制御が可能であることを確認した。また、連続軌跡追従制御系に 提案手法とフィードバック変調器についてシミュレーションをし、比較・検討を行い、提 案手法の有効性を示した。

今後の課題としては、本論文で提案した一定振幅かつ離散値信号に変換する変換器

(DIC:Discrete-valued Input Control )を実際に入力が離散のアクチュエータやFPGA への適用すること、そして時間・空間分解能制約の設定方法などが挙げられる。

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謝辞

最後に本論文をまとめるにあたり、様々な方々にお世話になったことに対してこの場を 借りて感謝致します。

まず本研究を行うにあたり、多大なるご指導、ご鞭撻を頂きました橋本誠司准教授に 厚く御礼を申し上げます。また、主査としてご指導頂きました石川赴夫教授、副査とし てご指導頂きました高橋俊樹教授に深く感謝致します。

最後に多くのアドバイスや協力を頂き、そして苦楽を共に過ごした橋本研究室の皆様 にも心から感謝申し上げます。

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参考文献

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