第 5 章 ディジタル制御電源のリミットサイクル振動低減化手法
5.3 ディジタル制御電源のリミットサイクル振動低減化手法
5.3.2 入力電圧の検出分解能に対する特性
提案手法では入力電圧を検出する必要があるが、実際には入力電圧vin [V]はA/D変換器 により検出されることになる。この検出分解能に対する最適目標電圧の特性を示す。シミ ュレーション条件としてvref=1 V、npwm=1200 digit、vout-max=6.41 V、nout=212 digit、vinを検 出するA/D変換器のbit数は25、26、27とする。シミュレーション結果を図5.14に示す。
bit数が小さくなると最適目標電圧がずれてしまうことがわかる。入力電圧のA/D変換器の bit数を決める場合には、このずれをどの程度まで許容するかによって決める必要がある。
図5.14入力電圧の検出分解能に対する特性
11.8 11.85 11.9 11.95 12 12.05 12.1 635
636 637 638 639 640 641 642 643
vre
f opt
[d ig it ]
v
in[V]
─ アナログ
─ bit数25
─ bit数26
─ bit数27
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5.4 入力電源電圧の推定法
低減化手法では入力電源電圧の情報が必要となるが、回路規模の縮小化と低コスト化を目 的とし、A/D変換器を使わずに制御入力upwm [digit]と出力電圧vout [digit]から入力電圧vin[V]
を推定する方法について示す。A/D変換式、D/A変換式はそれぞれ次式のようになる。
A/D変換式:
] digit [
] V [
] V [digit] [
pwm in out pwm
n v
u v
(5.13)
D/A変換式:
[ digit ]
] digit [
] V
[V]
max[
outout out
out
v
n
v v
(5.14) 上記の二式から入力電圧vinの推定式は次式となる。
入力電源電圧推定式:
[digit]
] digit ] [
digit ] [
digit [
] V ] [
[
maxpwm out pwm
out out
in
u
n v n
V v
v
(5.15) 推定式に基づきvinの推定を行った実験結果を図5.15に示す。実験条件はnpwm=210、vref=639
digitとした。入力Duty比は一定とし、出力電圧は図のように変化したとする。実験結果
から入力電圧の測定値は12.046 V、推定値(平均値)は12.048 Vととなり、測定値に対する 推定値の時間平均誤差は0.017 %となり、よって入力電圧を精度よく推定可能であることが 確認できる。
図5.15入力電圧推定値の実験結果 641
637 638 639 640
vout[V]
84 85 86
upwm[digit]
11.7 11.9 12.1 12.3
2.4 2.56 2.72 2.88 3.04 3.2
Time[ms]
vin[V] ─ 実測値
─ 推定値
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5.5 負荷変動を考慮した入力電圧推定法
前節では、制御入力upwm [digit]と出力電圧vout [digit]から入力電圧vin[V]を推定する方法を 提案し、その有効性を検討した。本節では、負荷による最適目標電圧の誤差を示すと共に、
負荷付きの入力電圧の推定法について提案し、有効性の検討を行う。図5.16に抵抗負荷を つけた際の目標値に対する出力電圧の振動特性を示す。図からそれぞれの抵抗負荷により 最小となる目標電圧に変化が生じることが確認できる。この原因として考えられるのは、
抵抗負荷を接続したことで電流が流れ、スイッチング機構の内部抵抗により電圧降下が発 生するためであると考えられる。前節における入力電圧の推定法ではこの電圧降下分を考 慮していないため、内部抵抗分が誤差として生じてしまう。図5.17にスイッチング電源の 回路図を示す。入力電源電圧をvin[V]、スイッチング機構の内部抵抗をro [Ω]、内部抵抗に よる降下電圧をvdrop[V]、抵抗負荷をRL [Ω]、出力電圧をvout[V]流れる電流をi [A]とする。
抵抗負荷を付与すると、電流i [A]が流れるためスイッチング機構の内部抵抗分だけ電圧降 下が生じることになる。誤差分を含む入力電圧の推定法を導出する。図5.17の回路図より、
次の関係を得る。
out drop
in D v v
v
(5.16)
i r v
drop
o
(5.17)
i R
v
out
L
(5.18) これらの式を整理すると[%]
] V [ [%]
] V [ ] [
] [ [%]
] V [ [%]
] V ] [
V
[ D
v D
v R
r D
v D
v v
out outL o drop out
in
(5.19)
A/D変換式、D/A変換式を用いて上記の式を整理すると次の関係を得る。
[digit]
[digit]
digit [digit]
] V [ [digit]
[digit]
digit [digit]
] V [ ]
[ ] ] [ V
[
max maxpwm out pwm
out out pwm
out pwm
out out L
o
in
u
n v n
v u
n v n
v R
v r
(5.20) 式5.21の第1項が、内部抵抗による誤差分の推定値である。この方法で内部抵抗roを既 知とすることで、スイッチング機構の電圧降下分を補償した入力電圧の推定を行う。
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図5.16 抵抗負荷による振動最小となる目標電圧のずれ
図5.17 負荷付きスイッチング電源の回路図
620 622 624 626 628 630 632 634 636 638 6400 5
10 15 20 25
vref[digit]
vpp[digit]
━無負荷
━2 Ω
━3 Ω
v
in RLro
vout i
スイッチング機構
FPGA
D/A変換器 A/D変換器
L
C