2005年度前期日本語研修コースホームページ
4 コミュニティー作りのための活動
初級日本語学習者と日本人スタッフによる学習コミュニティーを形成するために、
本研究では、授業活動の他、Web サイトでの交流活動、対面による直接交流活動の3 つが連携して行われるよう努めた。それは Web サイトでの交流活動を活発にするには、
留学生と日本人が直接交流する機会が有効であることに気がついたからである。ここ では、日本語ボランティアスタッフが加わった市内見学や阿蘇日帰り旅行などのイベ ント、小学校・大学や地域団体との交流、そして毎学期行っているスピーチ発表会や、
平成17年から始めた熊本地区留学生シンポジウムについて報告する。
4-1 ボラ ン ティ アス タ ッフ との 市内 見 学 や日 帰り 旅行
日本語研修コースの各学期ホームページの写真館(資料62ページ以降参照)には、
どの学期も市内見学や阿蘇日帰り旅行の写真を掲載している。こうした見学や旅行は レクリエーションが目的ではない。熊本という地域を早く知る、日本人と接して日本 語・日本文化に早く慣れる、その行事体験を話題にして日本語を学ぶ一助とすること、
が目的である。
その主な内容は、バスの乗り方(熊本の バスは複雑だが重要な交通手段である)、
近所の子飼商店街での買い物(昔風の商店 街で留学生に人気)、熊本市中心街にある 留学生に便利な店の案内(百円ショップ、
洋書のある書店、大型スーパー、家電量販 店など)、市内在住の外国人にとって重要 な情報と交流の拠点である熊本市国際交 流会館の紹介、観光地として有名な熊本城 や水前寺公園(左上写真)、そして、現在 も活動が続く阿蘇火口(左下写真)や南阿 蘇の水源見学。こうした活動を通して、地 域を学びながら日本人とも接し、同行した ボランティアとも知り合いになると、その 後のバーチャル交流会館でのメッセージ 交換や、スピーチ発表会などでも交流活動 がしやすい。そして行事は必ず写真館に写真を保存しておく。登録ユーザ(留学生、
ボランティアスタッフ、チューター、教員)は、写真館から大きいサイズの写真をダ
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ウンロードできる。交流の際の話題としても、日本語学習の思い出としても、ボラン ティアとの行事とその写真は、学習コミュニティー参加への動機を高めてくれる。
4-2 学校 や 地域 団体 と の交 流活 動
日本語研修コースでは、授業が始まって1か月ぐ らいから、学生に自分の国を紹介するパネル作り
(左写真)をしてもらう。雑誌の写真や観光パンフ レット等の写真を使ったもので、もともとはスピー チ発表会のためだったが、本研究期間からボランテ ィアを招いて宿舎で行う Show & Tell パーティー や、学校訪問などの際にも利用している。このパネ ルは研修コース修了後も保管している。修了生が依 頼を受け自国の紹介をする必要があるときなどに、
活用されている。
また熊大に近い私立大学で日本語教育について 学んでいる日本人のクラスとの交流会も行ってい る(左写真)。そのクラスの日本人学生にはボラン ティアスタッフとして予め登録してもらい、交流会 のあと、バーチャル交流会館に書き込みをしてもら っている。こうした交流活動は、その場一回限りで 終わらせず、ネットワークを介して関係が持続する ように配慮している。
また日本文化体験として、県内の国際交流団体が 行う行事には積極的に教員が引率して参加してい る。例えば、熊本城の「お城祭り」(着物体験、流 鏑馬体験)、熊本県国際協会が行う国際交流祭典(着 物と茶道)、市内外の国際交流団体のイベントへの 参加、などである。こうした活動は単に楽しむと言 うよりは、日本人と日本語で話す機会をできるだけたくさん作るためのものである。
これまで、毎学期たくさんの交流会に参加したが、そのつど、相手校や相手団体の 方の熱心なご協力をいただいた。中には、ホームステイや料理教室(次ページ写真)
などを企画される団体もあった。こうした地域の協力には大変感謝している。草の根 の活動をどのように支援するか、今後も考えていきたい。
しかし、以上のような活動が、さらにコミュニティー形成へとつながっていくかと
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いうと、必ずしもそうではない。そ の場限りの交流活動となることも多 い。もちろん、交流会をすると留学 生は喜ぶ。だが、指導する我々とし ては、学校であれ、地域の国際交流 団体であれ、活動をより意義深いも のにし、継続して行えるようになっ てほしいと考えている。そのために は、相手のリーダーと日本語研修コ ースのコーディネイターとの理解と 調整が不可欠となる。また、インターネットを介した交流活動ができるかできないか も、継続する際にはポイントになる。草の根の団体の中には、まだ情報インフラが整 わず情報活用能力も乏しい環境にあり、ネットワークのなかでのコミュニティー作り という点では、まだまだ時間が必要だと考えている。この点、大都市圏の場合とは、
相当な違いがあるだろう。
4-3 スピ ー チ発 表会 と 熊本 地区 留学 生 シ ンポ ジウ ム
ボランティアや学校などとの交流を いままでやや詳しく紹介した。本研究 期間は、こうした活動をできるだけ取 り入れるよう努めたからである。しか し、それらはどちらかというと、留学 生主体というより、学校やボランティ ア団体にお願いして実施したものが多 い。そこで、その逆、つまり留学生の 側から情報発信と交流を目指す活動を 次に紹介したい。
日本語研修コースでは、毎学期必ず自分の国を紹介するスピーチ発表会を行ってい る(上写真)。先に紹介したパネルを使って自分の国を日本語で紹介するのだが、渡日 1か月から2か月とは思えないほど、上手に日本語を使って話す学生も多い。この準 備には、数週間前から取り組んでいる。日本語の原稿作り、パネル作り、原稿の音読 練習という順に繰り返し十分な練習をする。この練習期間に、Show & Tell パーティ ーや学校訪問を行い、パネルを持って行って説明するという実地練習も行う。場数を 踏めば踏むほど、日本語研修生は一般の大学生より年齢が高いせいか、早く日本語で
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のスピーチが上手になっていくのがわかる。
今まで毎学期、日本語研修コースだけでスピーチ発表会を行ってきた。しかし科研 費によるコミュニティー育成を研究することになったのを機会に、平成16年度後期 から大きな行事「熊本地区留学生シンポジウム」に取り組むことにした。本研究期間 内の平成17年1月に第1回を、そして平成17年12月に第2回の熊本地区留学生 シンポジウム(主催:熊本留学生交流推進会議)を開催した。どちらも本研究代表者 が企画運営し、研究分担者が補助をする形をとり、熊本大学国際課の職員や留学生セ ンターの非常勤講師らの協力も得られて実施した。(なお、本研究期間後の平成18年 12月には第3回を開催している。)
この行事の主催団体は、熊本留学生交流推進会議(熊本大学が議長校)という、県 内の大学や高専と、地方公共団体、経済団体、民間団体が一体となって留学生との交 流活動を行うために文部科学省が経費支援をして設けられた組織である。この会議に、
留学生センターからシンポジウムの開催を提案し了承され、さらに文部科学省から経 費支援を受けて、実施したものである。県内の大学や高専に学ぶ留学生を集め、熊本 市の中心街にある新しいホールで行った。内容は、留学生の母国を紹介する「私の国」
や、留学生の撮影した写真によるプレゼンテーション「私の見た日本」、日頃の勉強や 研究について発表する「私の研究」などである。プレゼンテーションのあと、留学生 の作成したパネルを展示し、来場者と留学生が自由に話せる時間を設けているのが特 徴である。ここに日本語研修コースの学生にも参加してもらい、日本語ボランティア にも当日来場をお願いして、直接交流の場を設けた。このシンポジウムの第1回、第 2回の案内と報告文書は資料78ページ以降参照。下の写真は第2回のものである。
このシンポジウムは、NHK熊本放送局や民間の地方テレビ局からも、夕方のニュ ースで放送され、新聞各社も翌日の朝刊に記事を掲載するなど、地域住民に対して、
留学生に目を向けてもらうよい機会となった。こうしたことがいずれコミュニティー の形成を促してくれるものと期待している。
ただし、予想したことではあるが、来場者はあまり多くはなかった。そこで3-7 でも紹介したが、第1回シンポジウム開催後、情報公開と宣伝も兼ねて、本研究代表 者が、熊本留学生交流推進会議に申し出て、熊本留学生交流推進会議ホームページを 留学生センターサーバーの中に作成することにした。作ったホームページ(次ページ 図または資料77ページ参照)は、本研究で紹介した NetCommons を使った熊本大
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