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 レビタンが神経生理学の講義の第2日目に,学生にした要求*21はこの ような作業に近いのではないかと予測される。

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2 プロジェクト・アプローチの過程仮説

 上記の「提案」を配付することによって始められた『山月記』プロジ ェクトは,どのような過程を進むであろうか。これまでの考察を踏まえ て仮説を示す。今回は授業時間を現行の50分として仮説を立てたカ㍉

2時間ほどのひとまとまりの時間が是非とも欲しいところである。

第1次(2時間)プロジェクト・アプローチの提案

 「プロジェクト・アプローチの提案」が配付される。教師はコメント を加えながらこれを読み上げ,「学習契約」の書式も配付する。

 続いてクラス全体によるミーティングを始める。このミーティングで,

教師が生徒たちに求めたいのは,この「提案」に対する意見や気持ちで ある。教師は自分の「自己一致」「共感的理解」「受容」を生徒に伝え るように努力する。評定などの制度上の圧力についての恐れなどは,最 初のミーティングではあまり強くは出されないと考える。その問題が明 確になってきた時にまた時間をとっておこなう。授業時間の最後には自 己評価のための日誌を記入し,教師が回収する。

 最後にグループに分かれリーダーを決め,このミーティングについて のシェアリング*22をグループ内でする。いくつかのグループがシェアリ ングの中で出た感想を発表し,教師も感想を述べてミーティングは終了。

 このミーティングの様相が,学習共同体の成長に重要な意味を持つこ とは再三述べた。教師が促進的な雰囲気を作るために,とくに留意する ことは次の2点である。

・ 意見や感想を傾聴し,事柄ではなく感情を明確にするように扱わな  ければならない。

・ 自分がこの時間について,担わなければならない責任以上の責任を  担おうとしない。

第2次(2〜4時間)『山月記』プロジェクトの導入

 「学習契約」の書式を配付,記入の仕方を説明し,今回のプロジェク トは,グループではなく単独で取り組んで欲しいことを伝える。「①内 容」の仮説について,「1.2 プロジェクト導入のためのひとつのア イディア」で考察した方法に取り組む。また「学習資源の一覧」を用意

し配付する。司書などには人的資源としての協力を求めておく。

 授業の終わりにはシェアリングをおこない,日誌を記入しグループ内 での評価を加える。終了後,教師が回収する。時間は充分にかけたい。

また,生徒が作成している「学習契約」を例に取り上げてポイントを示 す。「学習契約」のサインが終わった生徒からプロジェクトに入る。

第3次(6〜8時間)『山月記』プロジェクトの活動

 授業の終末には,必ずグループとクラスによるシェアリングと,自己 評価をおこなう。教師は毎時間,数人の自己評価を回収しコメントする。

また毎時間のリーダーからのグループの雰囲気を報告するレポートを受

け取る。

 また,教師も平等な学習者であるから,自分のプロジェクトに取り組 む必要がある。筆者は「『山月記』によるプロジェクト・アプローチの 研究」というプロジェクトに取り組もうと考えている。

 教師がどこかのグループに参加するかどうかは,プロジェクト・アプ ローチの状態を見て判断したい。エンカウンター・グループではファシ リテーターと運営責任者は必ず別の人間が担当する。経験からいっても,

それが望ましい。しかしプロジェクト・アプローチにおいては,TT*23 をおこなわない限り役割の分担は難しい。学習共同体が成長し授業の責 任が平等に配分されるに従って,授業の運営者から共同の学習者となっ ていけるものと考える。

第4次(3時間)プ日ジェクトの発表及びプロジェクト全体についての        シェアリング

 どのようなプロジェクトの発表をおこなうかは,活動の早い時期での ミーティングで話し合われている。生徒の適性や経験にあわせて,口頭 発表をするか,パネル発表をするかが選択されるようになるのではない かと予測している。また自分以外のプロジェクトについてのレポートを,

ポートフォリオに入れる「学習成果」に含め,互いの学習成果が交流さ れることを期待する。

 最後に1時間をとってプロジェクト全体のグループでのシェアリング をおこない,自分のプロジェクトに対する自己評価とグループにおける 評価をおこなう。ここで評定に関する何かの活動があるかもしれない。

 クラスでのシェアリングをおこないプロジェクトは15時間で終了。

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*1Rogers,C.R.(1983)Freedom to Learn for the 801s.Charles E. Merril Publishing    Company,pp.73−93

・2Rogers,C.R.(1983)Freedom to Learn for the 80,s(前出),PP.57−71

*3Rogers,C.R.(1969)Freedom to Leam:A View of What Education Might

   Become. Charles E. Merril Publishing Company,pp.11−28

  Rogers,C,R,(1983)Freedom to Learn for the 8αs(前出),pp.45−56

・4Rogers,CR.(1983)Freedom to Learn.fbr the 80「s(前出),PP.96−100

・5Rogers,C.R.(1969)Freedom to Learn(前出),PP.29−56

・6Rogers,CR。(1983)Freedom to Learn for the 8αs(前出),PP.150−153

・7Rogers,C.R.(1983)Freedom to Learn for the 80,s(前出),PP.149−150

・8Rogers,C.R.(1983)Freedom to Learn for the 80,s(前出),PP.180−182

・9Rogers,C.R.(1983)Freedom to Learn for the 80 s(前出),PP.27−28

*10 portfolio,レポートや作品,評価など個人の学習した内容がわかるもの入れた紙ばさみや  フォルダーのこと。

*11 この4点の考察については,安彦忠彦の次のような「自己評価能力の育て方・三原則」

 を参.考にした。

(原則1)自己評価能力は,体験的にしか育てられない。

(原則2)自己評価能力は,長期的にしか育てられない。

(原則3)自己評価能力は,他者評価を含めて段階的に育てられなければならない。

(原則4)自己評価能力は,書かせることを中心として育てるべきである。

(原則5)子どもを基本的に学習主体・学習責任者としてとらえるべきである。

 また以下の文献を参考にした。

 安彦忠彦(1987)『自己評価一「自己教育論」を超えて』図書文化pp.142−147  安彦忠彦(1993)『「授業の個別化」一その原理と方法を問う一』明治図書pp.89−90  安彦忠彦(1997)「自己評価能力の育て方」『指導と評価』40,7,pp.18−20

*12 実践の成功を見た数人の他の教師が「彼女のアイディア」を試して失敗したことを,シ  ールは報告している。

*13 米国の1965年代の「経済機会均等条例」による教育改善の国家的事業。高校生が大  学の「夏期学期」に参加して,大学の単位も取ることができ,それによって,経済的に恵  まれない高校生が大学に進学する道がいくらか開かれたのである。

*14 「7 学習契約」において,シールが「学習契約」の用紙に,全教科(学習する分野)

 を一覧にしたのも,この「制度上の圧力」を解決するための資源であると考えられる。

*15Rogers, C. R,(1961)On becoming a』 垂?窒唐盾氏DHoughton Mifain Company,

   pp.290−291

*16 牧戸章,難波博孝は「ことばの力」について次のように定義する。.

 「ひとが世界あるいは他者と出会うことにより自己が変容していき,そのように他者 あるいは世界に働きかけていくということ」が生きることだと考える。それを媒介し創 造するのが,ことばのはたらきであり,そのような能力を「.ことばの力」と考えている。

  牧戸章,難波博孝(1999)「『ことばの学び』生態史研究1」

      第97回全国大学国語教育学会発表資料

  この「ことばの力」の定義は,「経験に心を開き(世界あるいは他者と出会う)」「変化を  統合する(自己が変容する)」能力の育成を目指す生徒中心授業の目標に非常に近い。

*17 グループのメンバー相互の「受容」「共感理解」「自己一致」による心的な交流である。

*18第温田3節3の「3.・3クラスと グループ・・輪P・11

*19 第2章第1節「7 .学習契約」,本論pp53−56

*20 川喜田二郎によって発案された発想法。発案者の頭文字からKJ法と名付けられた。

 川喜田二郎(1966)『発想法』中央公論新社  川喜田二郎(1970)『続・発想法』中央公論新社

*21 レビタンは学生に「わたしたちの興味を首尾一貫した論理的な要項に組み立てて客観化  する」よう要求している。第2章第1節「2 小グループまたはクラスのミーティング」,

本論PP・42−45を参照のこと♂.

*22 ロールプレイやエンカウンターグループの終末におこなわれる,気持ちや体験を分かち  合うための話し合い。

*23 Team Teachlng,二人以上の教師がチームを組んでひとつの授業を担当する指導形態。

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おわり1ご

 本論文は未完である。なぜなら第3章として「高等学校国語科におけ る生徒中心授業の実践報告」が書かれていないからである。本論文中で 示した仮説や試案は,その有効性が実践で証明されなければならない。

明らかにされた諸様相や諸要素は,実践を経てその強調の度合いを変え たり取捨選択されたりしなければならない。

 学習共同体への授業の成長をめざす生徒中心授業の実践は,教師に決 断と勇気を求める。生徒の「自己主導的な学習能力」を信頼し,授業に おける自分の権威を手放す決断と勇気である。本論文は,筆者にその勇 気を与えるものとなりえたであろうか。

 本論文の概要をたどる。

 第1章では,ロジャーズのクライエント中心療法の理論がPCAに基 づく生徒中心授業へと発展する経緯を概観し,続いて生徒中心授業の諸 様相を明らかにした。それは生徒の可能性を信頼し,「受容」「共感的 理解」「自己一致」の態度を持つ教師がつくる環境のなかで,生徒の「自 己主導的な学習能力」が促進され,創造的な学習がなされていく授業で あった。また,生徒同士や教師との人聞関係が促進され,授業が平等な 学習者による学習共同体へと成長することを理想としている。

 次に,生徒中心授業における「基礎・基本」の考え方や,生徒中心授 業が,学校教育が期待されている個人差を生かし育て,授業における「自 己」「他者」「学習材」との純粋な対話を保証することを考察した。こ れらは,生徒二心授業が,教科教育全体に大きな可能性を持つものであ ることを示したものである。

 筆者は教科教育のなかでも,特に国語科教育はPCAを適用するのに 向いていると考える。それを考察するために,PCAの立場から二つの 国語科授業の実践分析をおこない,続いて「国語科における過程尺度試 案」を示し.た。また最後に,生徒中心授業の国語科の教師教育としてエ

ンカウンター・グループの提案をしている。

 第2章では,ロジャーズが報告している生徒中心授業の実践を詳細に 分析し,生徳中心授業の実践が成功するために必要な要素と条件を,授

      タ

業開始時の声 明,ミーティング,学習資源,学習適性別グループ,自由 または責任の制限,自己評価,学習契約,予測される危険,制度上の圧

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