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広島備北層群
Vll.微化石産出層準とForam. Sharp Line(FSL)
研究史でふれたように,多井(1963>は底生有孔虫化石群集の変換線をForam.
Sharp Line(FSL)と呼び,瀬戸内・山陰間の中新統の対比基準線になるとした.多 井(1963)は,Foram. Sharp Line(FSL)は以下のような特質を持つとした.
1)Foram. Sharp Line(FSL>の通る層準は,いわゆるMiogyCpsina一()ρerculina産出 層準より上位にある.
2)Foraln。 Sharp Line(FSL)は,どこでも一連整合に重なる頁岩ないし泥岩中に あり,岩相の変化面とは一一致していない.これは底質での環境変化とは一応無関係 であると思われる.
3>山陰区の例では,問題の黒色頁岩中に顕著な流紋岩およびその凝灰岩が狭在し,
区内の鍵層として役立つが,Foram. Sharp Line(FSL)はこれより下位の層準を通る.
4)Foram, Sharp Line(FSL)は,西部本州中新世におきた有孔虫群集変換の中で は,最も顕著な群集変換線であり,Foram. Sharp Line(FSL)決定はいわゆる南方系 中新世暖海種に近縁な群集の産出層準の最上限で決まる.この場合その上位に接す る貧化石ないし無化石黒色頁岩層の層厚は普通60mを下ることはない.
その後,多井(1985>は,Foram. Sharp Line(FSL)が西部本州,申部日本太平 洋側,東北地方日本海側,韓国日本海側,サハリン・カムチャッカの各地において
も確認できることを報告した.これに対して,野村(1989)は,山陰地方で4>の 解釈が厳密に適:用できない場合があることを指摘した.Nomura(1992)は中国地方 の都舞層群とその相当層から産出する底生有孔虫化石を再検:心し,底生有孔虫化石 群集とForam. Sharp Line(FSL)の存在を報告した(図42).
三次地域では,多井(1985)が三次市小原:において柱状図と底生有孔虫化石の産 出頻度を示し,Foram. Sharp Line(FSL)の存在を報告している.また, Nomura
(1992)は,三次,庄原,東城,津山,新見,高見,多里地域で柱状図と底生有孔 虫の産出状況を示し,Foram. Sharp Line(FSL>の存在を報告している.本研究でも 三次市小原周辺の調査を行ったが,底生有孔虫化石の存在を確認できなかった.そ のため,多井(1985)やNomura(1992>が調査した地点でForam. Sharp Line(FSL)
を確認することはできなかった.しかし,今回の調査で三次地域から,6地点(西城 川ルートは1地点とする)9層準より底生有孔虫化石の産出を確認した.
底生有孔虫化石の処理は,放散虫化石の場合と同じであり,観察は双眼実体鏡で存 在の有無のみを確認した.そして,底生有孔虫化石が産出しなくなる層準を見いだ すことができた(図40>.三次地域における底生有孔虫化石の産出層準は,是松累 層上部から板橋累層下部までである.産状として以下の特徴がある.
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1)底生有孔虫化石が産出するのは,黒色泥岩のみである.
2)底生有孔虫化石の産出する黒色泥岩からは,石灰質ナンノ化石も産出する.
3)板橋累層中の中〜上位にあたる淡褐色泥岩層やスランプ層からは,底生有孔虫 が産出しない.
この特徴は,多井(1963)によるForam. Sharp Line(FSL)の特質の1),2),4)
の条件を満たすものである.そこで,三次地域の微化石産出層準にForam. Sharp Line(FSL)として線を引いた図が図40である.これは,多井(1985)やNomura
(1992)が三次市小原で引いたForam. Sharp Line(FSL)の層準とほぼ同じである と思われる.
多井(1985>は,Foram. Sharp Line(FSL)の形成時期や成因について議論して いる.その中で,形成期はBlow(1969)のN9か年N10ぐらいと推定し,成因につ いては,対馬・朝鮮両海峡の緩慢な隆起による閉鎖的ないし,古暖流の流入量の減 少によるものであると推定した.また,Nomura(1992>は, Foram. Sharp Line
(FSL)の形成期をBlow(1969)のN9とN10境界にあたるとした.そして,
Foram. Sharp Line(FSL>の成因について中国山地の隆起と吉備高原を含む南隆:起帯 の隆起による閉鎖的な海盆の形成とそれによる海流の無酸素状態が原因であるとし た.これは,日本海形成時のテクトニックなイベントであると推定している(図42).
しかし,今回図41で示したForam. Sharp Line(FSL)は, Nomura(1992)の議論 と一・致しない結果である.なぜなら,図41で引いたForam. Sharp Line(FSL)より 上位の町回から産出する珪藻化石は,C, kanayae帯(NPD3A)上部からD. praela uta 帯(NPD3B>下部にかけてのものである.これは,16.5Ma−15.9Maの間に相当し,
Blow(1969>の浮遊性有孔虫化石帯ではN8前半にあたる(図38).図41で示した Foraln. Sharp Line(FSL)は珪藻・放散虫化石の産出響町より下位なので, Foram.
Sharp Li且e(FSL)の時期はN8前半以前ということになり,西南日本回転以 前となる.
また,産出した珪藻・放散虫化石は外洋性であり現在の瀬戸内海のような内海には ほとんど存在しない.従って,Nomura(1992)の推定した 閉鎖的な海 は,存在 しないことになる.今回の三次地域における微化石の甲状は,是松累層から板橋累 層の堆積した時期に沈降が進み,海が広がっていくことを示している.
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8
西
板橋累層 NPD D.raela眈a帯下部3B
C. kanayae帯上部3A 16.3Ma
置1
欝三次