第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
5.2 システム設計と実装
5.2.3 ゲーミフィケーション・プラットフォームの設計
第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
ニューから,ゲームの概要とルールを説明する文章の記入と,Twitter 上でそのツイートが ゲームに関するものかを判断するために決めるハッシュタグと呼ばれる文字列を決める.
次に,(3) で決定した,各行動に対するポイントの入力を行う.以上の作業からプラット フォーム上への実装が完了し,ゲーム参加のためのユニークな URL がシステムから発行さ れる.他の参加者は,この URL を通じてゲームへ参加する.
第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
本プラットフォームでは,ユーザはワークショップを通じて設計した課題解決に向けた 行動を Twitter のツイート機能によってプラットフォームに入力する(ツイート取得部).
本プラットフォームの基本機能は,このツイートの入力をハッシュタグに基づいて収集・
集計し,ポイントを計算し,ランキングを作成することである.そして,行動に対する他 者からのフィードバックとして,Twitter のリツイート機能を利用する.これはフィード バックを行動主体に簡単に与えることを目的としている.このリツイートに対して,プ ラットフォームでは,リツイート(フィードバック)したユーザ,リツイートされたユー ザに対して,それぞれワークショップで規定していたポイントを付与する(ゲーム作成・
設定部).これにより,ユーザはどの程度活動したか,正しく活動できているかをポイン トを介して知ることができる.さらに,これら獲得したポイントをランキングという形で 可視化し,ユーザ間で共有することで(ランキングツイート表示部),他のユーザとの競 争を意識させ,挑戦の機会を与えることを目指している.
5.2.3.2 利用プロセス
プラットフォームでは,ゲームオーナとエンドユーザの 2 種類のユーザを定義している.
ゲームオーナはゲームを作成するユーザであり,ポイントの設計やルールの記述以外にも ゲーム自体をサスペンドすることや,参加者の追加や削除を行える権限を保有している.
ゲームオーナは,同時にゲームのプレイヤでもある10.一方,エンドユーザはゲームのプレ
10 ゲームオーナは自身も課題当事であり,課題を共有するユーザから任意で選ばれる.他ユーザと の対話やフィードバックを受けて,ゲームをシステム上に実装する権限を持つ.
図 5-4 ゲームオーナの利用プロセス
第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
イヤであり,すでに作成されているゲームに参加することが可能な利用者である.以下に,
各ユーザにおける利用プロセスを記述する.
(1)ゲームオーナの利用プロセス
ゲームオーナの利用プロセスを図 5-4 に示す.
ゲームオーナはゲーミフィケーション・プラットフォームのポータルサイトから,
Twitter アカウントを用いてログインする.次に,表示されるガイドに沿って,ゲームルー ル・概要の記述,各行動の得点を入力する.ゲームオーナとなれるのは 1 つの Twitter ア カウントのみである.これらの設計は,5.2.1 節で記述したワークショップ参加者のグルー プワークによって決定する.
(2)エンドユーザの利用プロセス
エンドユーザの利用プロセスを図 5-5 に示す.エンドユーザは,ゲーミフィケーショ ン・プラットフォームのポータルサイトから,参加したいゲームの参加 URL のリンクをク リックし,Twitter アカウントによる認証を経てゲームに参加できる.参加プロセスが完了 するとランキングにユーザ名が表示され,自身が参加する前の過去のツイートなどもツ イート一覧から閲覧できる.さらにポータルサイトや任意の Twitter クライアントから ゲームのハッシュタグを指定してツイートすることで,ゲームのプレイが可能である.他 の参加者情報は,ランキングページから取得可能で,ユーザ名が各ユーザの Twitter ペー ジへのリンクとなっており,リンクから対象ユーザをフォローし,自身の Twitter クライ アント画面のタイムラインに表示させることも可能である.
図 5-5 エンドユーザの利用プロセス
第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
5.2.3.3 機能説明
次に,プラットフォームに実装されているゲーム要素を実現する各機能について説明す る.各機能は設計指針に基づき実装した.
(1) ポイント機能
ポイント機能は,ユーザの行動を可視化しフィードバックする手段である.ユーザがポ イントを得るのは,1.ツイートしたとき,2.リツイートしたとき,3.リツイートされ たときである.図 5-6 に示すように,プラットフォームでは,これらの 3 つの得点をゲー ム作成時,またゲーム途中でも自由に変更することができる.このように,ポイントを微 調整できることにより,ゲームの遊びやすさの調整ができる.たとえば,目的とする行動 自体はやりやすいが,質の高い行動を起こすことが難しい場合は,ツイートしたとき(行動 したとき)の得点を小さくし,リツイートされたとき(評価されたとき)の得点を大きくする ことで,質の高い行動を促すことが可能である.
図 5-6 得点設定画面
図 5-7 ツイート・リツイートへの得点表示
第 5 章 ゲーミフィケーションを活用した自発的コラボレーション支援の検証
図 5-7 に示すように,ポイントの可視化には,行動に対するより明確なフィードバック を与えるため,個別のツイート自体にも獲得したポイントを表示する機能を提供した.
(2) ランキング機能
図 5-8 に示すランキング機能は,参加者の得たポイントによって順位を可視化する機能 である.この機能も,ユーザ行動に対するフィードバックを与える.単純なポイント順位 だけではなく,実際のツイート数,リツイート数,被リツイート数によるランキングも表 示できる.また,ランキング機能をゲーム開始からの積算値ではなく,1 日ごと,1 週間ご とに区切ることで,ランキングの固定化を防げる.ランキング情報を定期的にユーザが確 認できるように,ユーザ宛にシステムがツイートし,通知するという機能も実装した.