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グローバルな文脈

ドキュメント内 MYP From Principles into Practice_J_09APR2018.indd (ページ 80-83)

MYPにおける指導と学習では、文脈の中で概念の理解を進めます。グローバルな文脈 は、指導と学習に具体的な見解を提供するような設定、出来事、状況などを特定することに よって、文脈に基づいた有効な学習を可能にする共通の言語を提供します。教師は次の問 いかけに答えることによって、学習に対するグローバルな文脈を選択します。

• なぜこの探究に取り組んでいるのか

• これらの概念はなぜ重要なのか

• これを理解することが自分にとってなぜ重要なのか

• なぜこのトピックは重要だと考えられているのか

図9に示すMYPのグローバルな文脈は、いずれも「多言語の使用」、「相互的な異文化 理解」、「グローバルに物事に関わっていくこと」を奨励するカリキュラムの枠組みを示す ことによって、「国際的な視野をもつこととは何を意味するのか」という探究の出発点を提 供するものです。これらの文脈は、PYPの指導と学習を構成する地球規模での重要性を 持つ強力なテーマの上に築かれており、青年期の学習者に対して関連性をもった学びを提 供するものです。

アイデンティティーと 関係性

科学技術の 革新

公平性と発展 空間的時間的

位置づけ

グローバル化と 持続可能性

個人的表現と 文化的表現

図9

探究 単元の目的を確立する

グローバルな文脈をはじめ、その他の指導と学習の文脈は、人類に共通する人間らしさと 地球を共に守る責任に思いを至らせるものです。こうした文脈は、地域、国、グローバル な社会についての振り返りを促すとともに、11 ~ 16 歳の生徒にとって現実的な実感のもて る実生活上の諸課題や懸念についての振り返りのきっかけとなります。教師は、MYPの 各単元について、国際教育プログラムとして意味のある指導と学習の焦点となるようなグ ローバルな文脈を1つ設定します。MYPの学習を進める中で生徒は6つのグローバルな 文脈のすべてに触れるようにしなければなりません。

表3はMYPのグローバルな文脈を説明し、そこから生じる探究の例をあげています。

グローバルな文脈 焦点となる問いかけと説明 探究例

アイデンティティーと 関係性

私は誰なのか?

私たちは誰なのか?

生徒は、アイデンティティー、信 念と価値観、個人的・身体的・

知的・社会的・精神的健康、家 族や友達、コミュニティー、文 化などの人間関係、人間である ことが何を意味するのかを検証 します。

考えられる探究

• 競争と協力、チーム、提携、

リーダーシップ

• アイデンティティーの形成、

自尊心、地位、役割とロール モデル

• 個人の能力の有用性、個人の 主体性、取り組み方、モチベー ション、自立、幸福と人生に 対する満足

• 身体的、心理的、社会的発達、

変遷、健康と福祉、生活様式 の選択

• 人間の本質と人間の尊厳、道 徳性の発達と倫理的な判断、

意識と心 空間的時間的位置づけ 「どこ」「いつ」の意味は

なにか?

生徒は、個人の歴史、ふるさと と旅、人類の転機、発見、人類 の探査と移住、個人的・地域的・

グローバルな観点から見た個人 と市民権の関係と相互の関連性 を検証します。

考えられる探究

• 市民権と社会の歴史、遺産、

巡礼、移住、移動、交換

• 時代、年代、転換期、「重要な 歴史」

• 規模、期間、頻度、変動性

• 人々、境界、やりとり、相互 作用

• 自然景観、人文景観、リソース

• 進化、制約、適応

グローバルな文脈 焦点となる問いかけと説明 探究例 個人的表現と

文化的表現

創造的な表現の本質と目的は何 か

生徒は、考えや感情、性質、文 化、信条、価値観を発見し、表 現する方法、自分の創造性を振 り返り、広げ、楽しむ方法、美 的認識を検証します。

考えられる探究

• 芸術性、技術、創造、美

• 製品、システム、機関

• 現実の社会構造、生活の価値 観と方法、儀式や遊び

• 批判的リテラシー、言語、言 語学システム、アイデアや領 域、専門分野の歴史、分析と 議論

• メタ認知と抽象的思考

• 起業、実践、能力 科学技術の革新 自分たちが住む世界をどのよう

に理解するのか?

生徒は、自然世界とその法則、

人々と自然世界との相互作用、

人間は科学的原則の理解をどの ように用いるか、科学的・技術 的進歩がコミュニティーと環境 に及ぼす影響、環境が人間の活 動に与える影響、人間は自分の ニーズに合わせて環境をどの ように選ぶかについて検証し ます。

考えられる探究

• システム、モデル、方法、製 品、過程、解決策

• 適応、人間の創造性、進歩

• 機会、危険、結果、責任

• 現代化、産業化、エンジニア リング

• デジタル生活、バーチャル環 境、情報時代

• 生物学的進化

• 数学的パズル、原則と発見

グローバル化と 持続可能性

あらゆることはどのようにつな がっているのか?

生徒は、人間がつくったシステ ムとコミュニティーとの相互関 連性、地域の過程とグローバル な過程との関係性、地域におけ る経験がどのようにグローバル に関わっているのか、世界の相 互関連性によってもたらされる 機会と葛藤、人類と環境に対す る意思決定の影響について検証 します。

考えられる探究

• 市場、商品、商業化

• 環境に対する人間の影響

• 共通性、多様性、相互関連性

• 消費、保全、天然資源、公共 の利益

• 人口と人口統計学

• 都市開発、方策、インフラ

探究 単元の目的を確立する

グローバルな文脈 焦点となる問いかけと説明 探究例

公平性と発展 共通の人間性がもたらすものは 何か?

生徒は、権利と責任、コミュニ ティー間の関係、限りある資源 を他の人々や他の生物と共有す ること、平等な機会へのアクセ ス、平和と紛争解決について検 証します。

考えられる探究

• 民主主義、政治、政府、市民 社会

• 不平等、相違点、

• 人間の能力と発展、社会的起 業家

• 権利、法、市民としての義務、

公的領域

• 正義、平和、紛争管理

• 権力と特権

• 権威、安全、自由

• 希望に満ちた将来を描く 表3

グローバルな文脈と探究

どのグローバルな文脈を選択するかによって、単元を通じて教師と生徒が取り組む問い かけの性質が変わってきます。しかし、グローバルな文脈における多くの探究は互いに密 接に関連しているため、単元の途中で他のグローバルな文脈に関わる問いかけに働きかけ ることになり、その文脈が開発・検討されることもあります。

グローバルな文脈において科目内容を探究することで、生徒は、科目の理解だけでなく 実世界での応用についても理解を深めることができます。「探究」「行動」「振り返り」の繰 り返されるサイクルの中で、積極的な学習態度を育てるとともに個人的、社会的責任感を 発達させることによって、学問的知識から実践的理解へと生徒を導きます。

ドキュメント内 MYP From Principles into Practice_J_09APR2018.indd (ページ 80-83)