6.1 概要
オシレータ モジュールは各種のクロック源と優れた 特長を備えているため、消費電力を最小限に抑え最大 限の性能を実現しつつ幅広いアプリケーションに適用 できます。図6-1に、オシレータモジュールのブロッ ク図を示します。
クロック源は、外部オシレータ、水晶振動子、セラミッ ク振動子、RC (抵抗
/
コンデンサ)
回路によって供給 できます。また、2
種類の内部オシレータの1
つとPLL
回路からシステムクロック源を供給でき、動作速度は ソフトウェアで選択できます。その他のクロックの特 長として、以下が挙げられます。•
ソフトウェアによるシステムクロック源選択機能(
外部か内部かを選択)
•
外部オシレータの起動からコード実行開始までのレ イテンシを最小限に抑える2
段階起動モード•
外部クロック源(LP、XT、HS、ECH、ECM、
ECL、EXTRC
のいずれかのモード)
の障害を検出 して自動的に内部オシレータに切り換えるフェイル セーフクロックモニタ(FSCM)
機能•
水晶振動子によるクロック源の安定性を確保するオ シレータ起動タイマ(OST)
オシレータモジュールは、以下のクロックモードのど ちらかに設定できます。
1. ECL –
外部クロック低消費電力モード(0
~0.5 MHz)
2. ECM –
外部クロック中消費電力モード(0.5
~4 MHz)
3. ECH –
外部クロック高消費電力モード(4
~32 MHz)
4. LP – 32 kHz
低消費電力水晶振動子モード5. XT – 中ゲイン水晶 /
セラミック振動子オシレータモード
(
最大4 MHz)
6. HS – 高ゲイン水晶 /
セラミック振動子モード(4
~20 MHz)
7. EXTRC – 外付け抵抗 /
コンデンサ8. INTOSC – 内部オシレータ (31 kHz
~32 MHz)
クロック源のモードは、コンフィグレーション ワードのFOSC<2:0>
ビットで選択します。電源投入時に使われ るオシレータのタイプはFOSC
ビットで決まります。ECH、ECM、ECL
クロックモードでは、デバイスのクロック源として外部の論理レベル信号を使います。
LP、XT、HS
クロックモードでは、外付けの水晶振動子等を使う必要があります。各モードは、それぞれ異 な る 周 波 数 レ ン ジ に 対 し て 最 適 化 さ れ て い ま す。
EXTRC
クロックモードの場合、オシレータの周波数を設定する外付けの抵抗とコンデンサが必要です。
INTOSC
内部オシレータ ブロックは、LFINTOSC
、MFINTOSC、HFINTOSC
と呼ばれる低周波、中周波、高周波のクロック源を生成します
(
内部オシレータ ブ ロック、図6-1 参照)。これら 3
つのクロック源から 幅広いデバイスクロック周波数を供給できます。PIC16(L)F1703/7
図 6-1:
PIC
®MCU クロック源の簡略ブロック図
Secondary
T1OSCEN Enable Oscillator SOSCO
SOSCI
Timer1 Clock Source Option for other modules
OSC1 OSC2
Sleep
LP, XT, HS, RC, EC
T1OSC
To CPU and
Postscaler MUX 16 MHz
8 MHz 4 MHz 2 MHz 1 MHz 250 kHz 500 kHz
IRCF<3:0>
31 kHz 500 kHz
Source Internal Oscillator
Block
WDT, PWRT, Fail-Safe Clock Monitor 16 MHz
INTOSC
(HFINTOSC)
SCS<1:0>
HFPLL
31 kHz (LFINTOSC)
Two-Speed Start-up and other modules Oscillator
31 kHz Source
500 kHz (MFINTOSC)
125 kHz 31.25 kHz 62.5 kHz
Peripherals Sleep
External Timer1
4 x PLL
1X 01
00 1
0 0 1 PRIMUX
PLLMUX
0000 1111
Inputs Outputs
SCS FOSC<2:0> PLLEN or
SPLLEN IRCF PRIMUX PLLMUX
=00
=100
0 x 1 0
1 =1110 1 1
≠1110 1 0
≠100 0 x 0 0
1 x 0 1
≠00 X X X X X
FOSC Oscillator
PIC16(L)F1703/7
6.2 クロック源の種類
クロック源は外部と内部に分類されます。
外部クロック源は外部回路によって動作します。例えば、
オシレータ モジュール
(ECH、ECM、ECL
モード)、
水晶またはセラミック振動子
(LP
、XT
、HS
モード)
、EXTRC (
抵抗/
コンデンサ) モード回路があります。
内部クロック源はオシレータモジュール内部に統合 されています。内部オシレータ ブロックには、2つの 内 部 オ シ レ ー タ と
1
つ の 専 用 位 相 ロ ッ ク ル ー プ(HFPLL)
があり、これらによって3
つの内部システム クロック源を生成します。この3
つの内部システムク ロック源とは、16 MHz の高周波数内部オシレータ(HFINTOSC)、500 kHz
の中周波数内部オシレータ(MFINTOSC)、31 kHz
の 低 周 波 数 内 部 オ シ レ ー タ(LFINTOSC)
です。システムクロックに外部クロック源と内部クロック源 のどちらを使うかは、OSCCON レジスタのシステム クロック選択
(SCS)
ビットで選択します。詳細は、セ クション6.3「クロック切り換え」を参照してください。6.2.1
外部クロック源以下の操作のどちらかにより、外部クロック源をデバ イスのシステムクロックとして使えます。
•
コンフィグレーション ワードのFOSC<2:0>ビットを 外部クロック源を選択するようにプログラムします。これによってデバイスリセット時の既定値のシステ ムクロックとして外部クロック源が使われます。
• OSCCON
レジスタのSCS<1:0>
ビットに書き込む 事で、システムクロック源を以下のどちらかに切り 換えます。-
セカンダリオシレータ(
実行時)
- FOSC
ビットの値によって決まる外部クロック源詳細は、セクション 6.3「クロック切り換え」を参照 してください。
6.2.1.1 EC
モード外部クロック
(EC)
モードでは、外部で生成された論理 レベル信号をシステムクロック源として使えます。こ のモードで動作させる場合、外部クロック源はOSC1
入力に接続します。OSC2/CLKOUT
は、汎用I/O
また はCLKOUT
として使えます。図6-2に、ECモードの ピン接続を示します。EC
モードには以下の3
つの消費電力モードがあり、コ ンフィグレーションワードによって選択できます。• ECH – 高消費電力、4
~32 MHz
• ECH –
中消費電力、0.5
~4 MHz
• ECL –
低消費電力、00.5 MHz
EC
モードを選択した場合、オシレータ起動タイマ(OST)
は無効です。従って、パワーオン リセット(POR) 後またはスリープからの復帰後に動作の遅延は発生し ません。PIC®MCU
は完全なスタティック設計である ため、外部クロック入力を停止すると、全てのデータ がそのままの状態でデバイスが動作を中断します。外 部クロックが再開すると、デバイスは停止直後の状態 から動作を再開します。図 6-2: 外部クロック
(EC)
モードの動作6.2.1.2 LP、XT、HS
モードLP、XT、HS
モードでは、水晶振動子またはセラミック振動子を
OSC1
とOSC2
に接続して使います(
図6-3)。これら
3
つのモードによって、内部インバータアンプのゲインが低
/
中/
高に設定され、種類と速度 の異なる振動子に対応します。LP
オシレータモードでは、内部インバータアンプのゲ インが最も低く設定されます。3 つのモードのうち消 費電流が最も少ないのがLP
モードです。このモード は、32.768 kHzの音叉型水晶振動子(
腕時計用水晶振 動子)
の駆動向けです。XT
オシレータモードでは、内部インバータアンプの ゲインが中程度に設定されます。消費電流は3
つの モードの中間です。このモードは、駆動レベル仕様が 中程度の振動子に最も適しています。HS
オシレータモードでは、内部インバータアンプのゲ インが最も高く設定されます。消費電流は3
つのモー ドのうち最大です。このモードは、駆動レベルを高く 設定する必要のある振動子に最適です。図6-3と図6-4に、それぞれ水晶振動子とセラミック 振動子を使った代表的な回路を示します。
OSC1/CLKIN
OSC2/CLKOUT Clock from
Ext. System
PIC® MCU
FOSC/4 or I/O(1)
Note 1: 出力は、コンフィグレーション ワードの
CLKOUTENビットの設定で決まります。
PIC16(L)F1703/7
図 6-3: 水晶振動子による動作
(LP、XT、HS
モード)
図 6-4: セラミック振動子の動作
(XT
またはHS
モード)
6.2.1.3
オシレータ起動タイマ(OST)
オシレータ モジュールが
LP、 XT、 HS
モードのいずれ かに設定されている場合、オシレータ起動タイマ(OST)
はOSC1
の発振を1024
回カウントします。これは、パワーオンリセット
(POR)
後のパワーアップタイマ(PWRT)
のタイムアウト時(
設定されている場合)、ま
たはスリープからの復帰後に実行されます。この間、プログラム カウンタはインクリメントせず、プログラ ムの実行は保留されます。ただし、
FSCM
または2
段 階起動のどちらかが有効な場合を除きます。これらが 有効な場合、OST
のカウント中もコード実行は継続し ます。その場合の周波数は、選択されているINTOSC
周波数です。OST
を使う事で、水晶またはセラミック 振動子を使ったオシレータ回路が完全に起動し、オシ レータ モジュールに安定したシステムクロックが供 給される事を確実にできます。外部オシレータの起動からコード実行までのレイテン シを最小限に抑えるには、2段階クロック起動モード を使います
(
セクション6.4「2段階クロック起動モー ド」参照)。
Note 1:
水晶振動子の特性は、種類、パッケージ、メーカーにより異なります。仕様と推奨ア プリケーションについては、各メーカーの データシートを参照してください。
2:
アプリケーションで予測されるV
DDと仕 様温度でオシレータの性能を必ず検証し てください。3:
オ シ レ ー タ 設 計 時 の 参 考 と し て、Microchip
社の以下のアプリケーションノートを参照してください。
• AN826
『Crystal Oscillator Basics and Crystal Selection for rfPIC
®and PIC
®Devices
』(DS00826)
• AN849『Basic PIC
®Oscillator Design』
(DS00849)
• AN943『Practical PIC
®Oscillator Analysis and Design
』(DS00943)
• AN949『Making Your Oscillator Work』
(DS00949)
Note 1: 駆動レベルの低い水晶振動子の場合、直列抵
抗(RS)が必要となる場合があります。
2: RFの値は、選択したオシレータモードによっ て異なります(通常は2~10 M)。
C1
C2
Quartz
RS(1)
OSC1/CLKIN
RF(2) Sleep To Internal Logic PIC® MCU
Crystal
OSC2/CLKOUT
Note 1: 駆動レベルの低いセラミック振動子の場合、直
列抵抗(RS)が必要となる場合があります。
2: RF の値は、選択したオシレータモードによっ て異なります(通常は2~10 M)。
3: セラミック振動子を適切に動作させるために、
並列帰還抵抗(RP)の追加が必要になる場合が あります。
C1
C2 Ceramic RS(1)
OSC1/CLKIN
RF(2) Sleep To Internal Logic PIC® MCU
RP(3)
Resonator
OSC2/CLKOUT
PIC16(L)F1703/7
6.2.1.4 4x PLL
本オシレータモジュールは、システムクロック源を供 給するための、内外部のクロック源と共に使う事がで きる
4x PLL
を内蔵しています。4x PLL
の入力周波数 は仕様レンジ内である事が必要です。表26-9のPLL
クロック タイミング仕様を参照してください。4x PLLは以下の 2
つの方法のどちらかによって有効化します。
1.
コンフィグレーション ワードのPLLEN
ビットを「
1
」にプログラムする。2. OSCCON
レジスタのSPLLEN
ビットに「1
」を 書き込む(
コンフィグレーションワードのPLLEN
ビ ッ ト が「1
」に プ ロ グ ラ ム さ れ て い る 場 合、SPLLEN
の値は無視されます)。
6.2.1.5
セカンダリ オシレータセカンダリ オシレータは、Timer1 モジュール専用の 水 晶 振 動 子 用 オ シ レ ー タ で す。デ バ イ ス ピ ン の
SOSCO
とSOSCI
の間に接続した32.768 kHz
の水晶 振動子によるタイマ動作向けに最適化されています。セカンダリ オシレータは代替システムクロック源と して使え、クロック切り換え機能によって実行中に選 択できます。詳細はセクション 6.3「クロック切り換 え」を参照してください。
図 6-5: 水晶振動子の動作
(
セカンダリ オシレータ)
C1
C2
32.768 kHz SOSCI
To Internal Logic PIC® MCU
Crystal
SOSCO Quartz
Note 1:
水晶振動子の特性は、種類、パッケージ、メーカーにより異なります。仕様と推奨ア プリケーションについては、各メーカーの データシートを参照してください。