第 4 章 MVP 活用パターンの有効性の評価
4.3 インタビュー調査
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- MVP構築→市場調査→MVP構築という反復を行ったか 最終製品にフィードバックをした
- MVPを活用したニーズ調査は開発プロセスにどのような影響を与えたか 仕様変更件数が削減された
【製造業のMVP活用事例 ②】
業態:通信機器メーカー(B2B)
製品:小型セルラー無線制御装置(3G, 4G規格のモバイル回線用)
製品詳細:2008-2014年までシリーズ生産.製造は外部委託.セルラー無線規格に準拠 した通信モジュールを内蔵.商用車,建築機械,移動式冷蔵庫,自動販売機,ITS用機 器などへの接続を想定し,複数のデータ通信IFを組み合わせたユニット型の小型汎用 装置.主に飲料やたばこの自動販売機やレンタカー,物流向けトラック,特装車に採用 されていた.現在はモバイル GWユニットといった名称で広く汎用品が販売されてい る.
開発期間:1年未満
MVPの使用フェーズ:市場調査段階,商品企画段階,開発段階
MVPによるニーズ調査の方式:開発の比較的初期段階で試作品を作りニーズ調査をし た,展示会の場で試作品を使いニーズ調査をした,パートナー企業などの有識者に対し ニーズ調査をした
インタビュー内容:
- 開発の各フェーズで構築されたMVPはどのようなものであったか
【市場調査段階】:ターゲットのセルラー無線モジュールの開発タイミングに合わ せて,機能を実現するモックアップとして,手作りの MVP を数十台製作.主に,
既存顧客の飲料メーカーやたばこ会社,自動車会社,建機・納期会社へ貸し出し,
利用評価テスト(POC)向けに用意.
【商品企画段階】:複数の通信インターフェースの中で何を実装するか,利用環境 において車載品質,振動や温湿度,通信規格と実運用上の通信品質(遅延や制御信 号の振る舞いなど)の組み合わせと,量産コストのトレードオフ判断のため,MVP を使った市場評価をデザインレビューの判断基準として利用.
【開発段階】:商品企画段階で絞り込んだ機能の MVP を汲み込みソフトの動作テ スト・検証に利用.
※補足:MVP は市場調査段階で製作したものを,継続的に改修,見直しを行い,
量産判断のレビューまで,設計変更を加えることが繰り返された.
- MVPを誰に対して使用したか
既存顧客(上記業界の大手企業各社),外注開発会社
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- MVP構築→市場調査→MVP構築という反復を行ったか
頻繁に行って,最終的な搭載機能の絞り込みに利用した.また,モバイル回線の利 用環境での通信品質についても,通信プロトコルの振る舞いに合わせて,MVP の 搭載しているソフト改修を行っていた.
- MVP を活用したニーズ調査(展示会)は開発プロセスにどのような影響を与えた か
当該製品販売時に,他社に先行して,通信事業者が提供するセルラー通信規格や,
近距離無線規格に適応出来ていることが,製品の差別化になっていたため,展示会 に出展することは,顧客に対して新規格対応が出来ていることをアピール出来る重 要な機会だった.結果として,実需・受注に直結する商談の開拓の場となった.
事例①,②ともにB2Bの通信機器メーカーであり,開発フェーズにおいてMVPが構築 され,それらをパートナー企業に使用してもらうことでニーズを引き出したという点で共 通している事例と言える.しかしながら,事例①はMVPを活用したフィードバックループ が一度回っただけであるのに対し,事例②は,MVP構築し顧客へ見せるというサイクルを 頻繁に回しており,MVPの構築フェーズが早期であったという点で違いが認められる.加 えて,事例①の開発期間が2年以上 3年未満と長い開発期間であったのに対して,事例② の開発期間は1年未満と,短い開発期間であったとしていることに加え,事例②はMVP活 用により,他社に先行した製品開発を行うことができ,シリーズ化するほどの長期的ヒット 商品となったとしていることなどから,事例②のMVPによる正の影響は事例①と相対して 大きかったものと考えられる.
図3-12との整合性に関して,事例①は「開発期間」および「開発,テスト/検証段階
(開発の比較的初期段階)でMVPが構築される」という点で合致している一方で,「展示 会の場でMVPが活用される」という点での合致はみられなかった.
事例②に関しては,「開発,テスト/検証段階(開発の比較的初期段階)でMVPが構築 される」という点,「展示会の場でMVPが活用される」という点で合致している一方で,
開発期間は図3-12で提示したものよりも若干短期であるという結果となった.しかしな がら,図3-12に該当する2社はファブレス生産ではないため,今回は「開発期間」とい う項目に関してのみ相違が生まれた可能性が示唆される.また,①,②の比較から,通信 機器のような技術集約的な製品であっても,MVPによるフィードバックループを回す頻 度が高まることで開発期間が短期化する可能性が示唆される.
以上のことから,図3-12の共通特性における「開発期間」は,MVPによるフィードバッ クループを回す頻度およびファブレス生産であるか否かによって変動するものであるため,
一概に「開発期間は1年以上」であるとはいえない.また,「展示会の場でMVPが活用さ れる」という条件は,事例①には該当せず,事例②には該当したことから,完全な共通項と はいえないものの,依然としてその確度は高いといえる.
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