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第 9 章 主要投資インセンティブ

12. 会計及び監査制度

(1) 会計制度 

マレーシアの会計基準には、Malaysian Financial Reporting Standards (MFRS)と Private Entity Reporting Standards (PERS)の2つがある。MFRSは国際財務報告基 準(International Financial Reporting Standards:IFRS)と同じ基準であり、マレーシ アでは2012年1月より従来のFinancial Reporting Standards(FRS)に代わって導入さ れている。PERSは国際会計基準(International Accounting Standards:IAS、IFRSの ベースであり、現在のIFRSの一部となっているもの)がベースとなっており、2006年よ り導入されている。

MFRSとPERSの主要な違いの例には、①PERSには特別損益区分があるがMFRSには ない、②棚卸資産について、PERSでは後入先出法が認められるがMFRSでは認められな いなどがある。

上場会社や金融機関などは MFRS の適用が義務付けられている。それ以外の企業は PERS の選択が可能となっている。上場企業は、決算日から 4 ヵ月以内に同取引所への監

査済財務諸表、四半期決算日から 2 ヵ月以内の四半期報告書(監査不要)の提出が義務付 けられている。

財務諸表はマレー語または英語での表記が可能で、表示通貨はマレーシアリンギと定め られている。

(2) 監査 

マレーシアの全ての株式会社と外国法人の支店は、会計監査人の監査を受けなくてはな らないと会社法(Companies Act 1965)で定められている。また、年次株主総会で承認を 受けた年次報告書をマレーシア会社登記所(CCM)に届け出ることが義務付けられている。

株主総会は、事業年度末から原則 6 ヵ月以内に開催し、損益計算書、貸借対照表、会計監 査人の監査報告書を提出する。株主総会開催から 1 ヵ月以内に、株主総会で提出した書類 をマレーシア会社登記所に年次報告書として提出する。清算期間中の企業は、会計監査は 免除となる。また、駐在員事務所は監査の対象外である。

会計監査人には、マレーシアにおける会計監査人として認定されている会計監査会社を 任命しなくてはならない。マレーシアの監査基準は、国際監査基準と同等である。

(3) 税務調査 

マレーシアには、Tax AuditとTax Investigationの2種類の税務当局による税務調査が ある。定期的に実施されるのが Tax Audit で、租税回避の疑いがある際などは Tax Investigationが実施される。

Tax Auditは、調査開始にあたって事前に納税者に対して通知が行われる。原則として、

内国歳入庁は賦課年度末から6年以内に更正賦課を行うことができる(2013年度予算案に より、2014年1月1日以降は5年以内に変更となる)。但し、詐欺や故意の不履行、納税 者の怠慢や裁判所が決定を下した場合は除く。過少申告があった場合にはペナルティーが 課される。

納税者が故意に租税回避を行おうとしている場合や、税法などで規定されている意図的 租税回避行為を行ったことが明らかに証拠となって疑われる場合には、Tax Investigation が実施される。実施にあたっての事前通知はない。Tax Investigationの場合、過少申告に 対するペナルティーはTax Auditよりも高いペナルティー率となっている。

101 図表  12‑8    過少申告の際のペナルティー 

申告書提出期限後、

自己修正申告が行われるまで ペナルティー

60日以内 10%

60日超 6ヵ月以内 15.5%

6ヵ月超 1年以内 20%

1年超 3年以内 25%

3年超 30%

自己的な申告

(Tax Audit通知受領〜Tax Audit開始の間) 35%

Tax Audit中の発見 45%

再違反 45%+再違反の度に10%加算

(最大100%)

(注)Tax Audit中に過少申告が発見された場合、税法では追徴税額の100%がペナルティーとして課され

るが、実際は税務当局長官の裁量により45%で容認される場合が多く散見される

(出所)KPMG資料等より作成

ひとくちメモ (15): GST の導入 

2013 年 12 月時点、税制で最も注目されているのが GST(物品・サービス税)の導入である。現在の売上 税とサービス税を廃止し、代わりに導入することが検討されている。しかし、GST の導入については企業 の対応不足などによる反対意見が多く、過去に延期が続いていた。当初、2007 年に導入される予定だった が、2006 年に当面の導入延期が発表された。その後、2009 年 12 月に法案が国会に提出されたが、2010 年 10 月になって再び導入延期が発表された。 

2013 年 10 月 25 日に発表された 2014 年度予算案によれば、GST は 2015 年 4 月 1 日より導入される予定 で、税率は 6%になる見込みである。米、砂糖、調理油などの生活必需品や、住宅購入時、一般の電気料 金(最初の毎時 200 キロワット分のみ)、水道料金、公共交通機関、政府提供の諸サービスには適用されな い。 

導入に伴い、低所得世帯向け支援策「1 マレーシア・ピープルズ・エイド(BR1M)」の対象者に、一時支 援金として 300 リンギを支給する。年度で支払われていた BR1M は、500 リンギから 650 リンギに増額され る。また、全納税者の所得税率の 1〜3 ポイント引き下げや、個人所得税率の見直しに加え、法人所得税に ついても、2016 年より標準 24%、中小企業 19%へ 1 ポイント引き下げられる。 

一方、野党連合は GST 導入に反対しており、予算案の対案を発表している。予算案対案では、GST を導 入する代わりに国防費の抑制や、金融資産売却時の利益に対するキャピタルゲイン税の導入や、不動産譲 渡益税を 2007 年時点の水準(取得後 5 年以内の売却は 30%、6 年以上経過時は 5%)に見直し、印紙税を 5%に引き上げることなどを盛り込んでいる。 

ひとくちメモ (16): マレーシアの移転価格税制の特徴   

近年の税制改正の中で、企業にとって最も影響が大きいのが移転価格税制の導入である。マレーシアでも 2009 年に大原則が発表され、納税者の責任において、関係会社間取引に関する価格設定は適正に行うべし との旨が通達された。2012 年 5 月に移転価格税制のルールができ、同年 7 月には 500 ページのガイドライ ンが公布された。このガイドラインでは、2009 年に遡って、関係会社間取引について文書での規程が義務 化された。 

 

マレーシアの移転価格税制に係る考え方は、OECD モデルと基本的には同じである。但し、利益率のベン

チマーキングにおいて、他国とは異なり、類似会社にマレーシア国内企業のみとすることが望まれる旨が ガイドラインに記されている。国外の企業は比較対象として認められないことがあるため、類似会社がな いケースもあるようだ。 

 

また、業績の変動が激しいセクターもあるため、他国では直近数年を平均したものをベンチマークとする ケースが多いが、マレーシアの場合は直近 1 年単位(year by year)とされている。 

 

類似会社を探すには、登記所に提出された財務報告書を参考にする。当該データは登記所のウェブサイト からもダウンロードできる。但し、1 件あたり 10〜20 リンギ(約 300〜600 円)を要する。類似会社数に 係る縛りは特にない。通常、類似会社の平均利益率に対して、上下に一定程度のレンジを設けることがあ るが、マレーシアの税務当局は、「中心値から高い利益率であるべき」との考えがあるようである。 

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第13章 用地取得 

1.土地制度 

マレーシアの土地は、基本的に州の管轄下にある。土地の所有は、州当局の認可を得て 登記を行う。すべての土地は、永久使用権付の土地(自由保有権、Freehold Land)とリー ス権付の土地(借地保有権、Leasehold Land)に分かれている。リース権は99年以下と定 められており、30年、60年、99年などがある。工業団地では60年となっている例が多い。

どちらの土地であっても、売買が可能である。

土地は使用目的が定められているため、用途以外での使用はできない。使用目的は変更 可能な場合があるが、相当な時間を要する。住居用地は外国人の個人名による登記が可能 だが、商業用地や工業用地、農業用地の登記にあたっては、現地法人の名義で行う必要が ある。いずれの場合も、手続きは弁護士が土地の売買契約書作成や見直し、土地の名義変 更手続などを行う。弁護士の費用は、2005年弁護士報酬令(Solicitors’ Remuneration Order 2005)によって取引価格に基づいて算定され、売り手か買い手のどちらか一方より徴収す る。また、不動産登記には印紙税がかかる。マレーシアでは外国人による不動産の取得を 積極的に受け入れているため、諸経費が低く抑えられているのが特徴である。

また、取得した不動産を実際の事業に使用する場合は、自治体当局からの建築物使用許 可(Certificate of Fitness:CFまたはCertificate of Completion and Compliance:CCC)

が必要となり、不足している場合は事業許可を得ることができない。事業所は正しい土地 区分の土地に立てられた各種基準に適合する建築物である必要があるため、土地の取得に あたっては土地区分を、既存の建物取得にあたっては建築物使用許可が出ていることをそ れぞれ確認する必要がある。

図表  13‑1    土地に関する手続きにかかる費用(弁護士費用、印紙税) 

不動産取引価格 弁護士費用 不動産取引価格 印紙税

〜15万リンギ 1.0%(最低300リンギ) 0〜10万リンギ 1.0%

15万超〜100万リンギ 0.7% 10万超〜50万リンギ 2.0%

100万超〜300万リンギ 0.6% 50万リンギ超 3.0%

300万超〜500万リンギ 0.5%

500万超〜750万リンギ 0.4%

750万リンギ超 交渉次第(0.4%以下)

(出所)各種資料より作成