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第 9 章 主要投資インセンティブ

5. 外国人駐在員の雇用制限

外資企業は、訓練されたマレーシア人が不足している分野では、外国人を雇用すること が認められている。但し、マレーシア国民の雇用を保護し、マレーシア国民が様々な職で 訓練をされ、技能・技術を向上させるためにも、外資企業が派遣できる外国人駐在員の人 数、期間などに制限が設けられている。

外資企業では、払込資本金額に応じて就労できる外国人の枠である「外国人ポスト」が 決められている。例えば、製造業では、払込資本金額 200 万ドル以上で永久的に外国人を 配属することができる「キーポスト」を含む10ポストが自動的に認可される。また、期限 付きの「タイムポスト」として、中間管理職や専門職向けに10年の「エグゼクティブ・ポ スト」、技術職向けに5年の「ノンエグゼクティブ・ポスト」が認可される。外国人ポスト の申請先は、事業内容によって異なる。なお、政府が育成に注力したい分野・業務などで は、認可が下りやすい模様。

2 年以上滞在する駐在員は雇用パス(Employment Pass)という管理職及び専門職向け の就労ビザを取得する必要がある。雇用パスの取得には、月額の最低給与が 5,000 リンギ 以上、雇用契約期間は最低2年間、最低資本金などの条件がある。

図表  10‑2    雇用パス取得のための最低資本金の要件 

1 100%マレーシア資本 250,000リンギ

2 マレーシア資本と外資の合弁 350,000リンギ

3 100%外国資本 500,000リンギ

4 流通や飲食店を営む外資企業 1,000,000リンギ

(出所)入国管理局ウェブサイト等より作成

図表  10‑3    払込資本金額ごとの外国人ポスト、キーポストの人数と期間 

外国人ポスト キーポスト 200万ドル以上 10人 うち5人 20万ドル以上、200万ドル未満 5人 1人以上

20万ドル未満

外資企業の払込資本金が50万リンギ以上の場 合、キーポストが認められる場合がある。ま た、最長10年のエグゼクティブポストと、最 長5年のノンエグゼクティブポストが認められ る場合がある。これらタイムポストは最終的 にマレーシア人に引き継がれる必要がある

1,000万リンギ以上 3人

100万リンギ以上、

1,000万リンギ未満 1人

販売・サー ビス業

経営統括本部(OHQ)、国際調達センター

(IPC)、地域流通センター(RDC)などのス テータスを取得している企業は、必要に応じ て雇用枠が認められることになっている

払込資本金額 備考

製造業

最大10年間、エグゼクティブポスト(管理 職)に就ける。ノンエグゼクティブポスト

(技術職)は5年

各投資案件がもたら すメリットに応じて 認められる

 

(出所)入国管理局ウェブサイト等より作成

図表  10‑4    外国人ポストの承認を行う省庁  1 製造業

2 製造業関連サービス(OHQ、IPC、RDCなど)

3 ホテル・観光業 4 研究・開発

5 マルチメディア・スーパー・コリドーステータス保有企業 マルチメディア開発公社(MDeC)

6 公立病院の医者と看護師

7 高等教育を行う政府機関の講師・教師 8 公共部門の契約ポスト

9 公共サービス委員会や関連官庁から依頼された業務

10 銀行・金融・保険 中央銀行(Bank Negara Malaysia:BNM)

11 証券市場 証券委員会(SC)

12 上記以外 外国人委員会(EC)

マレーシア投資開発庁(MIDA)

公共サービス局(PSD)

 

(出所)入国管理局ウェブサイト等より作成

ひとくちメモ (13):規制緩和をにらみ、コンビニ各社が進出を検討中 

2013 年 7 月、ハラル食肉加工サウジ・コールド・ストレージ社は、マレーシアに投資を計画している日 本のコンビニエンスストアチェーンと交渉を行っていることを明らかにしたとの報道があった。企業名は 明かされなかったが、その日系コンビニエンスストアチェーンは、当初クアラルンプールに 5 店舗を設立 し、その後クアラルンプール以外の地域にも店舗を増やす計画であるという。 

現在コンビニエンスストアは外資参入禁止業種に指定されているため 1%も出資することはできず、進 出する場合は地場企業などによるフランチャイズでの展開となる。しかし、コンビニエンスストアは将来 的に外資 30%まで認められるとの観測もある 

マレーシアに既に進出している日系コンビニエンスストアは、セブンイレブンとサークル K サンクスの 2 社である。セブンイレブンは、セブンイレブンジャパンが完全子会社化している 7‑Eleven Inc.運営の元、

地場企業が 1,383 店舗を展開している。サークル K サンクスも 2012 年、地場企業と合弁で Circle K  (Malaysia)社を設立しており、2013 年 11 月に 1 号店をオープン、その後 3 年間で 300 店を出店する計画 である。ミニストップは 2011 年に駐在員事務所を開設しており、ファミリーマートは 2 年以内の進出を見

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第11章 許認可、進出手続き、撤退方法 

1.許認可  (1) 製造業 

<出資規制・ライセンス>

製造業に関しては、ほとんどの業種で100%外資で参入することができる16

但し、1975年工業調整法(Industrial Co-ordination Act 1975)により、株主資本17が 250万リンギ以上、または75名以上の常勤従業員を雇用している製造業者は、製造業ライ センスを取得する必要がある18

なお、2008年12月1日以降、新規の事業、並びに既存のライセンスを受けた製造業者 又はライセンスを受けていない製造業者による事業の拡大・多様化については、原則とし て、自動的にライセンスが付与されることとなった(但し、安全・治安、健康、環境、宗 教に関連するもの、及びサバ州・サラワク州におけるもの等は除く)19

<管轄官庁>

マレーシア投資開発庁(Malaysian Investment Development Authority, MIDA)が製造 業ライセンスを管轄している。MIDA では、製造業ライセンスに加えて、投資優遇措置や 外国人労働者の就労パス、関税等の相談をすることができる。

なお、MIDAは、国際通商産業省(Ministry of International Trade and Industry, MITI)

の下にある政府機関である。

(2) 非製造業 

非 製 造 業 の 許 認 可 に つ い て は 、 従 前 は 、 外 国 投 資 委 員 会 (Foreign Investment

Committee:FIC)が管轄していたが、2009年に「外国投資委員会投資ガイドライン」(FIC

Investment Guideline)が廃止された。

現在は、銀行業、保険業、流通取引サービス業等のように、事業の内容によってライセ ンスが必要になる。

16 JETROウェブサイト。

17 Shareholders’ Fundsのこと。企業の払込資本金、剰余金、払込剰余金残高、利益処分勘定残

高の総計と定義されている(MIDAのウェブサイト)。

18 「Guidelines and Procedures For Automatic Issuance of Manufacturing License」(MIDA)

19 同ガイドライン。

<流通取引サービス業>

流通取引サービス業は、国内取引・協同組合・消費者省(Ministry of Domestic Trade,

Co-operative and Consumerism:MDTCC)が制定した「流通取引サービスにおける外資参

入に関するガイドライン」(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia)によって規制されている。

ここでいう「流通取引」とは、「商品やサービスを、サプライチェーンを通じて、最終消費 者や仲介者に供給する活動」と定義されている。流通取引サービス業には、卸売業者、小売 業者、フランチャイズ等が含まれる。但し、製造業者は含まれず、またマレーシア投資開 発 庁 か ら 特 別 な ス テ ー タ ス を 認 め ら れ た 会 社 、 国 際 調 達 セ ン タ ー (International Procurement Centres:IPC)、地域流通センター(Regional Distribution Centres:RDC)、

経営統括会社(Operational Headquarters:OHQ)等の地域拠点も、流通取引業者に含ま れない20

同ガイドラインは産業の公正かつ秩序ある発展や、ブミプトラの経済分野へのさらなる 参加を目的にしていることから、流通取引業を行う会社においては、業種に応じ、ブミプ トラの取締役を選任することや、マネジメント層を含むあらゆる階層で、マレーシアの人 口構成を反映した人員とすること等が求められている21

また、事業内容に応じて、外資の上限が設定されている。