表5−1=DHAおよびリノール酸投与によるラット腎臓・脳の脂肪酸エタノー ルアミド量の変化
飼料 Y加脂質
旨肪酸
フ増減
表5−2:DHAおよびリノール酸投:与によるラット腎臓・騨のモノアシルグリ セロール量の変化
飼料 Y加脂質
旨肪酸
フ増減
DH:A
↑↓18:0 18:2 リノー
去̲
↑↓
表中の矢印は、contro1と比較した場合の、モノアシルグリセローール量の増 加、減少の傾向を矢印で示してある。
DH:A添加食は、腎臓の!8:0(モノステアロイルグリ心向ール)、18:
2(モノリノレオイルグリセロール)を減少させた。
脳のモノアラキドノイルグリセロール量に、各グループ間での有意差は認め
られなかった。
ただし、各測定値のばらつきが非常に大きく、栄養条件以上に変化させる原 因がある可能性がある。たとえば、技術面の未熟さ(抽出操作など)や測定方 法・物質が不安定なため測定時に変化し一定の値が得られないなどが考えられ
る。
(6)リン脂質の脂肪酸組成
DHA添加食とリノール酸添加食では、脂肪酸組成を変化させるカがどの ように違うかを調べるため、腎臓と脳の脂肪酸組成を分析した。
表5−3=DHAおよびリノール酸投与によるラット腎臓・膨の脂肪酸組成の
変化
飼料 Y加脂質
無論酸
フ増減
↑↑ 20:5 22:6 22:5n・6
DHA
↑ 16:0 18:2 20:1 22:5n・3 20:5 22:5n・3↓ 18:0 18:1 18:2 20:4 22:4 22:5n・6
↓↓ 20:4 多2:4
↑↑ 20:5 22:5n・3
リノー ↑ 18:2 22:5n・3
ル酸 ↓ 18:1 22:4 22:5n・6 22:5日目6
↓↓
DHA添加食の場合は、エイコサペンタエン酸の増加が見られ、アラキドン 酸、ド灘サテトラエン酸の減少が見られた。一方、リノール酸添加食の場合は、
腎臓においてリノール酸、エイ灘サペンタエン酸の増加が見られ、オレイン酸、
ドコサテトラエン酸の減少が見られた。脳が腎臓に比べて変化が少なかったの は、脳の脂質代謝が栄養状態にあまり左右されないことを示している。
(7)脂肪酸レベルとアナンダミドおよびモノアラキドノイルグ リセロール量との関連性
動物組織でアラキドン酸含有のリン脂質が分解を受けたときに、アナンダ ミドやモノアラキドノイルグリセロールは生成される。したがって、リン脂質 のアラキドン酸組成が減少すれば、アナンダミドやモノアラキドノイルグリセ
ロールも減少すると考えられる。今回の実験結果では、DHA添加食でリン脂 質のアラキドン酸組成が減り、脳のアナンダミド量も同時に減少し、腎臓にお いても減少する傾向が見られた。しかし、モノアラキドノイルグリセロール量 には変化が見られなかった。これは、モノアラキドノイルグリセロールの定量
技術から生じる測定値のばらつきのため変動が測定できなかったとも考えられ る。しかしながら、モノアラキドノイルグリセロールは、リン脂質全体ではな くボスファチジルイノシトールから生成するという報告がある。リン脂質のア ラキドン酸組成が減少しても、ボスファチジルイノシトールのアラキドン酸は 変化しなかったために、モノアラキドノイルグリセロールも減少しなかった可 能性は充分考えられる。
(8)食餌脂肪酸の効果
食事中の脂肪が分解されてできる脂肪酸は、体内で中性脂肪やリン脂質など につくりかえられる。脂肪酸の中で、私たちの体内でつくることができないも のが必須脂肪酸である。その中のn・6系脂肪酸(リノール酸系)の一つである リノール酸を添加した食餌とn・3系脂肪酸(α一リノレン酸系)の一つである DHAを添加した食餌を食べさせたラットで、リン脂質の脂肪酸組成を調べた 結果、DH:A添加食でアラキドン酸組成が減少していた。また、今回の投与の 条件では、脳に存在するカンナビノイド受容体のリガンドとされるモノアラキ ドノイルグリセロールの量は、食餌(DHAおよびリノール酸添加食)の違い によって左右されなかったが、アナンダミドの量は食餌によって減少したこと により、変動することがわかった。カンナビノイド受容体のリガンドは、生体 内における具体的な機能などまだよくわからない点も多いが、生理的に何らか の重要な役割を担っている可能性がある。今後、その生理的機能が明らかにな った揚合には、今回示されたような食餌脂肪酸による生体内リガンドの量的変 動が、機能を制御する上で重要な意味を持つと思われる。
6.要約
(1)二次元TLCで展開することにより、同じサンプルから脂肪酸エタノ ールアミドとモノアシルグリセロールが分離定量できることが明らかと
なった。
(2)ラット臓器(腎臓・脳)中のリン脂質では、DHA添加食でアラキドン 酸の減少が顕箸であったが、モノアラキドノイルグリセロール量に、
有意差は認められなかった。
(3)ラット脳中において、DHAおよびリノール酸添加食共にアナンダミ
ドの減少が見られた。
7.参考文献
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2) 杉浦隆之他:細胞工学(清水孝雄・成宮周監修) Vol.17恥.57
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3) 奥山治美・安藤i進:脂質栄養学シリーズ1脳の働きと脂質14−18 (1997) 学会センター関西学会出版センター
4) 五十嵐脩・菅野道廣:脂肪酸栄養iの現代的視点125(1998)
光生館
5) 阿部久美子:n−3系脂肪酸含有リン脂質の生理作用と物性に関する研