5.アスファルト混合物価格の現況
6. アスファルト混合物価格への 業界視点の検討
1)アンケートの概要
ここまで述べてきたアスファルト混合物の価 格(プライス)やコストの特色に関する分析は、
筆者の仮説に基づくものであるが、ここでは商 取引の当事者である製造及び販売サイド(アス ファルト混合物メーカー)が価格やコストの特 色をどのように考えているかをアンケートによ り探り、結果を整理する。アンケートの概要は 表 10の通りである。
同表の調査対象選定基準については、社団法 人日本アスファルト合材協会の法人会員全社で
あり、17 社が該当する。同会員数は合併等に より多少は減少傾向にあるが、17 社の保有す る工場(共同企業体参加含む)によるアスファ ルト混合物製造量は我が国の同製造量の 70 〜 80%を占めるものと推測される。よって、17 社でほぼ業界全体の考え方を捉えることが可能 として選定した。
また、アンケートの回収率は 100%を示して おり、アンケートとしては極端な高率ともいえ るが、社団法人日本アスファルト合材協会の全 面的な協力をいただき、配布の前に説明会を開 催するなど、事前の協力要請を徹底したことに よるものである。
表 10 アンケートの概要及び回収結果
2)アスファルト混合物価格の決まり方
これよりアンケート結果をとりまとめるが、
まず、アスファルト混合物価格の決まり方の特 色については以下の通りである。
①夜間価格の設定
昼間出荷価格に対して夜間出荷(22 時〜5時 など)価格は割増額を要求しているか否かに関 しては図6の通りである。
同図によると、「総じて昼間価格に定額割増 している」が 64.7%と回答の中心を占めている が、「地区・工場によりまちまちである」(29.4%)
のほか、「総じて昼間価格に定率割増している」
(5.9%)も散見された。
メーカーの価格政策で若干の違いはある が、一般的には、夜間価格設定は昼間価格に 定額割増している。
図6 夜間価格の設定方法
②現場持込価格とプラント渡し価格
現場持込みのケースとプラント(工場)渡し のケースを比較して価格にどのような関係性が あるかを聞いた結果は図7の通りである。
これによると、「総じて現場持込み価格はプ ラント渡し価格+運搬費で設定」が 52.9%で最 も高く、次いで「総じて現場持込み価格とプラ ント渡し価格に明確な関係性はない」(29.4%)、
「地区・工場によりまちまちである」(17.6%)
の順となっている。
前述第2章2)「現場持込価格とプラント 渡し価格」において、実態として「プラント 渡し」は、ユーザーが当該工場の得意先でな い(所謂 一見客 )ケース、何らかの事情で 当該工場に買いに来るケースなどがあり、工 場は看板価格(希望価格)での販売を貫き、
値引きに応じないことが多いことなどに触れ たように、実勢価格では「現場持込み価格と プラント渡し価格は別個の市況」と筆者は捉 えているが、本設問の回答結果は「総じて現 場持込み価格はプラント渡し価格+運搬費で 設定」が1位となった。価格設定はあくまで コストに見合う法を選択するメーカーが多い ことを示すと共に、同一ユーザーを前提とし て比較した回答であると推測される。
図7 現場持込価格とプラント渡し価格の関係
注記) 回答率は小数点第2位以下四捨五入処理(単純合 計は 99.9%)
③大口取引価格と小口取引価格
大口取引(300 〜 3,000 程度)と小口取引(例 えば 30 〜 50 t程度)の価格設定比較について は(図8参照)、「同一ユーザーであれば総じて 価格は変わらない」(64.7%)が「同一ユーザー であっても総じて大口取引の方を安く設定す る」(5.9%)を大きく上回っている。「その他」
(11.8%)に関しても「物件により交渉するが、
基本的には価格は変わらない」といった内容が
記されていた。
アスファルト混合物の商慣行では、小口価 格割増という考え方が定着しておらず、同一 車輌による同一ユ―ザーへの価格は、取引数 量による差異がないのが一般的である。
図8 大口取引と小口取引の価格の違い
④大型車価格と小型車価格
大型車現場持込みと小型車現場持込みの価格 設定比較については(図9参照)、「総じて小型 車持込み価格は、大型車持込み価格+小型車と 大型車の運搬費較差で設定」が 64.7%と突出し ており、「総じて大型車現場持込み価格と小型 車現場持込み価格に明確な関係性はない」「地 区・工場によりまちまちである」がそれぞれ 17.6%にとどまっている。
車輌の違いは運搬費というコスト差に直結 するが、メーカーの多くは運搬費較差を反映 する形(小型車割増)で価格を設定している。
但し、実勢価格の較差水準は前述表9にみる 通り、地区によりバラツキが目立つなど、必 ずしも車輌の違いによるコスト較差が同プラ イス較差と金額で一致することを意味してい ない。
図9 大型車現場持込みと小型車現場持込みの価格の違い
注記) 回答率は小数点第2位以下四捨五入処理(単純合 計は 99.9%)
⑤再生材価格の設定
アスファルト混合物の新材価格に対して再生 材価格をどのように設定しているかについては
(図 10参照)、「総じて定額割引の考え方で設定 している」が 64.7%を占めており、「地区・工場 によりまちまちである」(29.4%)を大きく上回 っている。また、「総じて定率割引の考え方で 設定している」は皆無であった。
一般的には、再生材価格は新材価格から定 額割引をして設定している。但し、新潟地区 など価格差のない地域もみられるため、「地 区・工場によりまちまちである」の回答も 3 割程度占めたものと推察される。
図 10 再生材価格の設定方法
⑥ 新材価格と再生材価格(プライス較差とコス ト較差)
新材価格と再生材価格の市況を全国的に比べ てプライス較差(新材−再生材)とコスト較差
(新材−再生材)が一致しているか否かを聞い た結果は図 11の通りである。
これによると、「自社工場の出荷エリアの内、
プライス較差とコスト較差が概ね一致している 地区は僅か(3割未満)である」が 35.3%と最も 高くなっており、次いで「自社工場の出荷エリ アの内、殆どの地区(7割超)においてプライ ス較差とコスト較差が概ね一致している」「自 社工場の出荷エリアの内、約半数(3割〜7割)
においてプライス較差とコスト較差が概ね一致 している」が共に 23.5%で続いている。「その他」
(11.8%)は主に再生材の原価形態が多様である ことが回答されており、「わからない」(5.9%)
に近い内容であるものと読み取れる。
新材価格と再生材価格を比べてプライス較 差(新材−再生材)とコスト較差(新材−再生 材)が一致しているか否かについては、メー カーによって見方が分かれており、明確な傾 向が出ていない。本アンケート結果のほか、
当会調査経験を踏まえると、回答率1位の「プ ライス較差とコスト較差が概ね一致している 地区は僅か(3割未満)である」の見方が優勢 であるように推定される。
図 11 新材価格・再生材価格比較(プライス較差とコ スト較差の一致・不一致)
⑦工場の選択(他社工場と自社工場)
自社の工事部門が舗装工事を施工する際にア スファルト混合物を使用する場合、出荷可能エ リアに自社工場が所在している場合には、他社 へ注文することなく、自社工場からの出荷(自 家消費)が優先されるか否かを聞いた結果は図 12の通りである。
同図によると、「例外なく自家消費が優先さ れる」が 56.3%となっており、「原則として自家 消費が優先されるが、事情により一部例外もあ る」(43.8%)を若干上回っている。他社工場が 選択されるケースは供給体制など工場側の都合 に起因する理由によるものであった。
一般的には、出荷可能エリアに自社工場が 所在している場合には、他社へ注文すること なく、自社工場からの出荷(自家消費)が優 先される。
図 12 自社工事部門が施工する際のアスファルト混合 物工場の選択
注記) 回答率は小数点第2位以下四捨五入処理(単純合 計は 100.1%)
3)ストレートアスファルト価格の決まり方
①ストアスの単価適用期間への意見
石油元売会社によるストレートアスファルト 仕切価格の決定方法のうち、単価適用期間が3 ヶ月であること(他の石油製品は1ヶ月)に対 する意見としては(図 13参照)、「混合物メー カーにとって適当な期間である」が 52.9%と過 半数を占めており、以下、「ユーザーの立場で 評価(又は回答)出来ない」(23.5%)、「現状よ りも期間を長くしてほしい」(17.6%)、「現状 よりも期間を短くしてほしい」(5.9%)の順と なっている。
ストレートアスファルト仕切価格の単価適 用期間3ヶ月という慣行に関しては、ユーザ ーである混合物メーカーの大勢には受け入れ られているものと考えられる。
図 13 ストアスとその他石油製品の単価適用期間の違 いへの意見
注記) 回答率は小数点第2位以下四捨五入処理(単純合 計は 99.9%)
② ストアス単価決定根拠期間と販売時点のタイ ムラグへの意見
石油元売会社によるストレートアスファルト 仕切価格の決定方法のうち、原油価格、為替変 動等の決定根拠となる期間と販売時点にタイム ラグ(4ヶ月前〜1ヶ月前)があることに対す る意見としては(図 14参照)、「同期間よりも タイムラグを短くしてほしい」「ユーザーの立 場で評価(又は回答)出来ない」が共に 35.3%で トップであり、次いで「混合物メーカーにとっ て適当なタイムラグであると思う」(23.5%)、
「同期間よりもタイムラグを長くしてほしい」
(5.9%)が続いている。
次に、石油元売会社が平成 21 年度より相次 いで上記タイムラグ(4ヶ月前〜1ヶ月前)を 2ヶ月短縮(2ヶ月前〜1ヶ月前)させる動き が出ていることに対してどう評価するかに関し ては(図 15参照)、「混合物メーカーにとって 期間短縮は望ましい」が 35.3%と最も高くなっ ており、「混合物メーカーにとって期間短縮は 望ましくない」(23.5%)、「どちらでも変わら ない」(23.5%)を上回っている。また、「ユー ザーの立場で評価(又は回答)出来ない」(11.8