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4. アジア等各国における太陽光発電システム市場動向調査

4.1 太陽光発電システム導入動向調査

4.1.3 アジア等各国における主な太陽光発電関連政策一覧

第 4 章 アジア等各国における太陽光発電システム市場動向調査

4.1 太陽光発電システム導入動向調査

4.1.1 太陽光発電システムの単年導入量及び累積導入量推移と今後の見通し

・ 2011 年の新興国市場では、中国が前年比 5 倍増となる 2,500MW を導入、オーストラリアが前 年比 118.4% 増となる 837MW を導入、インドも前年比 6 倍増となる 300MW を導入した。一方 で、早くに成長がみられた韓国は前年比 19.4% 増となる 157MW の導入に留まった。

・中国の導入の牽引力となっているのは、 2009 年 7 月に開始された「金太陽(太陽光発電) 」モ デルプロジェクト、ルーフトップシステムの支援プログラム、国家による大規模発電所実証プ ロジェクト、 2011 年 7 月から開始されたフィードイン・タリフ制度である。系統連系形市場も 立ち上がりつつあり、 2011 年の累積導入量は 3,300MW と推定される。

・オーストラリアでは、再生可能エネルギー目標設定義務、リベート、遠隔地発電プログラムな どのほか、「ソーラー・シティ・プログラム」や「ソーラー・スクール・プログラム」により、

導入に弾みが付いている。州政府によるフィードイン・タリフ制度も市場拡大に貢献しており、

2011 年の導入は 837MW に拡大した。

・インドでは、国家として系統連系形及び独立形太陽光発電システムの導入施策を推進している。

太陽光発電を含む IT 産業のための優遇施策を実施し、産業育成も強力に進めている。大規模太 陽光発電システムの導入プログラムも開始されたことで、 2011 年の導入は 300MW に急拡大し た。

・韓国は、フィードイン・タリフから RPS 制度に移行し、導入の勢いは緩やかになっている。 2011 年の導入は 157MW に留まり、累積導入量は 812MW となった。

・そのほか、イスラエルや台湾でも導入が進み、 2011 年はそれぞれ 120MW 、 70MW となった。

〔今後の見通し〕

・中国では、第 12 次 5 ヶ年計画の下で太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を積 極的に進めている。 2015 年の導入目標を 20GW に設定したが、前倒しで達成される見込みとな り、目標の上方修正も検討されている。一方で、系統連系指針の整備や送電網の整備、インテ グレータの育成等の進展が課題となっており、その進捗が望まれる。

・インドでは、国家ソーラーミッション計画に則り、太陽電池製造技術開発や大規模発電所を含 む各種太陽光発電システムの導入促進が進められる。また、独自の導入計画を策定した州政府 が複数ある。しかし、認可プロセスや資金調達面で障壁があるため、しばらくは困難が続くと 予想される。また、国産品としての太陽電池製造を推進するための環境整備が課題である。

・これ以外の各国においても、国内市場創出や産業育成を狙った支援施策が進められている。太

陽光発電システム価格の下落と製造拠点の世界への分散化が進展し、これまで経済性の面で導

入が進まなかった地域も導入に取り組み始めた。今後、中南米地域や中東各国、アフリカ諸国

でもフィードイン・タリフ制度や補助事業などに支えられて普及が進展していく見込みである。

(単位:MW)

国 年 ~2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

オーストラリア

1

単年 - 6.7 8.3 9.7 12.2 22.0 83.1 383.3 837.0

累計 45.6 52.3 60.6 70.3 82.5 104.5 187.6 570.9 1,407.9

中国

1

単年 - 10.0 8.0 10.0 20.0 40.0 160.0 500.0 2,500.0 累計 52.0 62.0 70.0 80.0 100.0 140.0 300.0 800.0 3,300.0

韓国

1

単年 - 2.5 5.0 22.3 45.4 276.3 166.7 131.2 156.7

累計 6.0 8.5 13.5 35.8 81.2 357.5 524.2 655.6 812.3

マレーシア

1

単年 - 0.0 0.0 5.5 1.5 1.8 2.3 1.5 0.9

累計 - - - 5.5 7.0 8.8 11.1 12.6 13.5

イスラエル

1

単年 0.0 0.9 0.1 0.3 0.5 1.2 21.5 45.0 119.8

累計 0.9 1.0 1.3 1.8 3.0 24.5 69.9 189.7

インド

2

単年 - - - - 20.0 40.0 40.0 50.0 300.0

累計 - - - - 51.0 90.0 120.0 170.0 461.0

台湾

2

単年 - - - - 2.0 4.0 10.0 12.0 70.0

累計 - - - - 4.0 6.0 12.0 24.0 102.0

出典:※1 Trends in Photovoltaic Applications (TASK 1 Report IEA/PVPS、2012 年 9 月)

※2 各種資料から推定

4.1.2 各国政府やその他民間企業等の導入支援事業の内容及び当該事業による実績

(1) オーストラリアにおける太陽光発電普及方策

オーストラリアでは労働党による新政権が2007年11月に誕生して以来、再生可能エネルギー政策 を強化している。労働党は政権復帰の直後に京都議定書の批准を正式に決定し、地球温暖化及び環 境問題に取り組む方針を明らかにした。政府は気候変動対応政策の戦略として、①Mitigation(緩 和) :オーストラリアの温室効果ガス排出の削減、②Adaptation (適応) :気候変動への適応、③Global Solution(地球規模での解決)をあげている。政府は2010年からオーストラリアの炭素公害排出の 削減を更に促進するために、二酸化炭素削減に関する目標を決定した。政府の目標は、世界の全排 出者が温暖化ガスの大気中濃度を450ppmに抑制して、各国が気候変動リスクの軽減に公平に貢献 するのであれば、オーストラリアは排出量を2020年までに2000年レベルから25%削減するというも のである。この目標を達成できない場合でも、2020年までに2000年レベルの排出量の5~15%を削 減するとしている。この目標の下、連邦政府は2020年までに電力供給の20%を再生可能エネルギー に拡大する、再生エネルギー目標(RET)を設定している。

2009年8月にオーストラリアの連邦議会で、再生可能エネルギー(電力)修正法が通過した。同 法により、2020年までにオーストラリアが必要とする電力の20%を再生可能エネルギーによる発電 にすること、2010年における再生可能エネルギーによる電力量目標である9,500GWh/年を更に強化 し2020年までに45,000GWh/年とし、これを2030年まで維持することが決定された。2009年5月18日 には総額45億オーストラリア・ドル(AUD)を投資して、太陽光発電をはじめとしたクリーン・エ ネルギーの主導国になると発表した。低排出石炭技術に24億AUDを充当、16億AUDを太陽エネル ギー技術に投じ、4億6500万AUDの予算で先進研究とその成果の市場移転を支援するための機関

「Renewables Australia」を設立する。また13億6500万AUDを充当して、4つの系統連系形発電所(総 導入量1,000MW)を導入する「ソーラー・フラッグシップ・プログラム」の開始も盛り込まれてお り、大規模発電所の導入に弾みがつくことが期待されている。

同国政府はまた、再生可能エネルギー・ベンチャー・キャピタル基金に1億AUD(1億600万ドル)

の予算を割当て、うち6000万AUDを新規プログラムである新興再生可能プログラムに配当する計画 を発表した。再生可能エネルギー・ベンチャー・キャピタル基金は、初期段階にある再生可能エネ ルギー企業が、他のエネルギー企業と競合するための支援を行う。同予算の配当については、 Martin Fergason資源・エネルギー大臣から発表された。新興再生可能プログラムは、地熱、太陽エネルギ ー、風力、波力技術及び、これら技術のハイブリッド応用のクリエーター及びデベロッパーを対象 とする予定で、プログラムの管理は、オーストラリア再生可能エネルギー・センターが行う。

2012年7月1日には、温室効果ガスを排出する企業に負担を求める炭素価格制度(炭素税)が導入 された。同制度では、二酸化炭素など温室効果ガス排出が比較的多い企業に1t当たり23AUD (約1750 円)の支払いを求める。負担額は2014年にかけて毎年2.5%ずつ引き上げる。同制度導入を通じて再 生可能エネルギーの普及を促し、2020年までに1億6000万tの二酸化炭素排出量削減を目指す。2015 年7月には排出価格が市場の需要で決まる排出量取引制度(ETS)に移行する。

オーストラリアの太陽光発電システム市場は、州政府によるフィードイン・タリフ(FIT)制度

及びオーストラリア連邦政府の再生可能エネルギー目標(RET)のメカニズムにより、2011年上期

に急速に成長した。太陽光発電システムの供給・設置の効率化、太陽電池モジュール価格の継続的 下落及びオーストラリア・ドル(AUD)高により、国内のシステム設置価格は平均約6AUD/Wから 約4AUD/Wに下落した。この設置価格と、急上昇する電力価格により、太陽光発電は、オーストラ リアの多くの地域で住宅用太陽光発電システムのグリッド・パリティ(太陽光発電による電力コス トが既存電力レベルに到達すること)を実現している。

オーストラリア政府は、連邦レベルのFIT制度を設定することに関心を示しているが、現状では 対応を各州に任せている。

オーストラリアでは2011年に2010年比倍増超となる、837MWの太陽光発電システムが導入され た。累積導入量は1,407.9MWとなり、このうち系統連系形は約90%を占めている。表4.1.2(1)-1にオ ーストラリアにおける太陽光発電の普及施策の概要を示す。また、表4.1.2(1)-2にオーストラリアに おける太陽光発電システム市場の主要データを示す。表4.1.2(1)-3に、各州において実施または計画 中のフィードイン・タリフ制度の概要を示す。

表4.1.2(1)-1 オーストラリアにおける太陽光発電普及施策の概要

再生可能エネルギー

利用(導入)目標

・気候変動省による連邦再生可能エネルギー目標:45,000 GWh/年(2020年)

・電力供給における再生可能エネルギーのシェア:20%(2020年)

RPS制度 ・再生可能エネルギー目標設定義務(RET):電力供給における再生可能エネルギーの

シェア:20%(2020年)

太陽光発電導入目標量 なし

主要な導入施策

・再生可能エネルギー証書(REC)、ソーラーに関して優遇カウント(再生可能エネ ルギー目標(RET)達成の対象となっている電力小売業者は、SRESまたはLRETに より発行されるRECの購入が義務付けられる)

・ソーラー住宅・コミュニティ計画(SHCP):2009年6月に終了(2011年のシステム 未設置分には適用される)

・遠隔地発電に対する再生可能エネルギー利用支援プログラム(RRPGP)(2000~

2009年):ディーゼルから再生可能エネルギー源への転換を補助(一部の2011年に 設置されたシステムには継続して適用)

・大規模実証プログラム「Solar Cities」(ソーラー・シティ・プログラム)(2004~2013 年):都市部での大規模実証プログラムで7ヶ所の選定先を発表(サウスオーストラ リア州アデレード、クイーンズランド州タウンズビル、ニューサウスウェールズ州 ブラックタウン、北部準州アリススプリングス、ヴィクトリア州セントラル・ヴィ クトリア、ヴィクトリア州モアランド、ウェスタンオーストラリア州パース)

・国家ソーラー・スクール・プログラム(2008年7月~2015年6月):5万AUD(2kW)

・ソーラー・フラッグシップ・プログラム:2009年に1GWに相当する4基の太陽光発電 量システム導入のため入札を発表、第1ラウンドでは400MWの導入を目指す

・フィードイン・タリフ制度:一部の州において実施

補助金 ・ソーラー住宅・コミュニティ計画(SHCP):住宅用、8AUD/W

・遠隔地発電に対する再生可能エネルギー利用支援プログラム(RRPGP):50%まで

逆潮流 電力

買取制度と 買取価格

・フィードイン・タリフ制度:サウスオーストラリア、クイーンズランド州等が実施:

0.16~0.44AUD/kWh

・ネットメタリング制度:ヴィクトリア州、オーストラリア首都特別地区、北部準州 等

出典:各種資料から(株)資源総合システムが作成

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