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3. 米州における太陽光発電システム市場動向調査

3.2 太陽光発電システム導入動向調査

3.2.3 米州における主な太陽光発電関連政策一覧

第 3 章 米州における太陽光発電システム市場動向調査

3.1 太陽電池生産動向調査

3.1.1 太陽電池モジュール輸出入量推移と今後の見通し

(1) 太陽電池モジュール輸出入量推移

・アメリカにおける太陽電池モジュール出荷量は、米国エネルギー省( DOE )によると、 2011 年 は前年比 42.6% 増となる 3,772MW であった。グリーンニューディールの下、太陽光発電システ ムに対するインセンティブが奏功して住宅用から電力事業用に至るまで需要が拡大した結果 と考えられる。

・ 2011 年のアメリカからの太陽電池モジュール輸出量は、前年比 18.7% 減となる 794MW となっ た。これまで中南米地域はもちろんアジア、ヨーロッパ、アフリカなどに向け輸出を行ってき たが、国外メーカーとの競争が激化していることや、内需が順調に拡大していることもあり、

輸出量を落としている。 この結果、 2011 年の出荷量に占める輸出比率は 21.0% まで落ち込んだ。

・ 2011 年のアメリカにおける太陽電池モジュール輸入量は、前年比 91.7% 増の 3,324MW と急増 した。国内太陽電池メーカーが事業再構築を終えて事業拡大に向かっていたが、急速に成長し た中国太陽電池メーカーの低価格攻勢を受けて、システムインテグレータが輸入品の採用をさ らに増やしたことがうかがえる。

〔今後の見通し〕

・米国商務省( DOC )は、 2012 年 12 月 7 日、米国が中国から輸入する結晶シリコン太陽電池セ ルに対する反ダンピング税( AD )及び不当な補助金に対する相殺関税( CVD )賦課命令を発 令した。この関税は、モジュール化の有無に関わらず課せられ、税率は企業により異なり約 24

~ 255% の幅となっている。この影響により、アメリカ製太陽電池モジュールの出荷量が増える 可能性もあるが、アメリカの太陽電池生産能力は米国内の需要に比べて低いことから、輸入量 が大幅に減少することはないものと考えられる

・一方で、オバマ政権は、再生可能エネルギー製品の輸出にも意欲的である。商務省を中心に再

生可能エネルギー・エネルギー効率輸出イニシアチブを策定し、米国輸出入銀行によるプロジ

ェクトへの融資を利用して太陽電池モジュールの輸出を強化している。このイニシアチブが継

続されれば、ある程度の輸出量は確保されるものと考えられる

出荷量 3,772,075 kW

輸出量 793,939 kW

輸入量 3,323,865 kW

0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 3,000,000 3,500,000 4,000,000

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

生産量及び輸出入量(kW)

太陽電池モジュール輸出入量推移

出典:Annual Energy Review 2012 (DOE/EIA)

(2) 応用別太陽電池出荷量(2011年)

(単位:kW)

応用 結晶Si型 薄膜Si型 集光型Si型 合計 シェア 系統連系形集中配置太陽光発電システム 631,662 85,855 43,568 761,085 26.0

系統連系分散配置太陽光発電システム 2,067,059 82,610 3,279 2,152,947 73.6 独立形住宅用太陽光発電システム 7,322 83 270 7,675 0.3 独立形非住宅用太陽光発電システム 3,460 1,908 0 5,369 0.2

合計 2,709,503 170,457 47,117 2,927,077 100.0

出典: Solar Photovoltaic Cell/Module Shipments Report 2011 (DOE/EIA)

系統連系形集中配置 太陽光発電システム

26.0%

系統連系分散配置太 陽光発電システム

73.6%

独立形住宅用太陽光 発電システム

0.3%

独立形非住宅用太陽 光発電システム

0.2%

用途別太陽電池出荷量

応用別太陽電池 出荷量 2,927,077kW

( 2011 年)

(3)  分野別太陽電池出荷量( 2008 年~ 2011 年)

(単位:kW)

合計 シェア

住 宅 用 719,134 35,078 - 754,212 25.8 467,165 221,245 173,989 公共・商業

施設用 1,347,861 49,521 1,665 1,399,047 47.8 908,224 282,273 253,852

産業用 10,846 2 1,884 12,732 0.4 48,208 43,446 51,493

電 力 用 631,662 85,855 43,568 761,085 26.0 243,947 53,636 35,819

交 通 用 - - - 534 9,100

合計 2,709,503 170,457 47,117 2,927,077 100 1,667,543 601,134 524,252 出典:Solar Photovoltaic Module/Cell Manufacturing Activities 2008~2009 (DOE/EIA)

集光型

Si型 2009年

合計 2010年

合計

   Solar Photovoltaic Cell/Module Shipments Report 2010~2011 (DOE/EIA)

2008年

分 野 結晶 2011年 合計

Si型

薄膜 Si型

住 宅 用 25.8%

公共・商業 施設用 47.8%

産 業 用 0.4%

電 力 用 26.0%

分野別太陽電池出荷量

分野別太陽電池 出荷量 2,927,077kW

( 2011 年)

3.1.2 太陽電池出荷額推移

(1) アメリカにおける太陽電池出荷額推移

モジュール セル モジュール セル 結晶Si型 4,290,698 1,136,827 5,370,231 1,625,437

薄膜 875,127 17,548 556,987 48,457

集光型 26,844 18,980 63,130 51,769

合計 5,192,669 1,173,355 5,990,348 1,725,663

※W:1社のため公表せず

出典:Solar Photovoltaic Module/Cell Shipments (DOE/EIA)

(2) アメリカにおける太陽電池平均価格推移

モジュール

セル

モジュール

セル モジュール セル モジュール セル 結晶Si型 3.80 2.80 2.89 1.72 2.03 1.15 1.63 0.98

薄膜 2.82 1.03 W W 1.68 1.35 1.28 0.73 集光型 5.74 0.68 W W 2.66 0.48 1.32 0.36 合計 3.49 1.94 2.79 1.27 1.96 1.13 1.59 0.92

※W:1社のため公表せず

出典:Solar Photovoltaic Module/Cell Shipments (DOE/EIA)

2008年 2009年 2010年 2011年

平均価格

(ドル/Wp)

平均価格

(ドル/Wp)

平均価格

(ドル/Wp)

平均価格

(ドル/Wp)

26,380 W

3,342,702 3,431,594 2,489,666 2,771,343

826,657 W

2008年 2009年 2010年 2011年

出荷額

(1,000ドル)

出荷額

(1,000ドル)

出荷額

(1,000ドル)

出荷額

(1,000ドル)

3.2 太陽光発電システム導入動向調査

3.2.1 太陽光発電システムの単年導入量及び累積導入量推移と今後の見通し

・2011 年のアメリカ国内市場は、前年比 56.0%増の 1,432MW であり、累積導入量は 3,966MW と なった。

・アメリカの太陽光発電システム導入は、連邦政府が住宅用、産業用、電気事業用などの太陽光 発電システムへの税額控除や経済復興対策として米国復興投資法(ARRA)の下で補助金など を提供してきたことや、各地のシステムインテグレータが第三者融資や電力購入契約(PPA)

などのメニューを提供していることで大きく進展している。

・各州レベルの導入促進策(バイダウン、リベート、発電量ベース・インセンティブ、ネット・

メタリング、RPS、再生可能エネルギー証書など)は以前からの太陽光発電システム導入の牽 引力となっており、中でもカリフォルニア州は、「カリフォルニア州ソーラーイニシアチブ

(CSI) 」により導入拡大を図っている。

・ニュージャージー州、ニューヨーク州、コロラド州などでも、州政府の独自の普及施策により、

太陽光発電システムの導入が拡大しつつある。

・カナダでは、2009 年 9 月よりオンタリオ州がフィードイン・タリフを開始したことにより、導 入が進展している。導入条件に州内産品調達要件が設定され、国内外の太陽電池メーカーの同 州への投資が活発化している。2011 年は前年比 48.8%増となる 278MW を導入した。

・メキシコでも徐々に導入が進んでおり、2011 年は前年比 16.1%増の 6.5MW を導入した。

〔今後の見通し〕

・引き続き、各州の普及インセンティブによる太陽光発電システム導入拡大が見込まれる。とく に RPS 制度に基づく電力事業用プロジェクトの導入が増えると思われる

・連邦政府では、税額控除の期限を 2016 年まで 8 年間延長することとした。電気事業者も対象と なっており、数 10~数 100MW 規模の大規模太陽光発電所が導入されつつある。

・州政府に加えて、 「グリーンニューディール」の旗頭の下、連邦政府が太陽光発電システム支援 策を打ち出し、導入拡大に貢献している。オバマ政権は 2 期目に入り、引き続き太陽光発電を 含む再生可能エネルギーへの支援が期待されている。

・一方、オイルシェールなど従来型エネルギー源の活用が進むことで、太陽光発電の利用促進に 影響を与える可能性もある。

・中国製太陽電池モジュールに対する反ダンピング提訴により、これまで太陽電池モジュールの

低価格化が進展していたが、課税が認められると太陽電池モジュールが値上がりする可能性が

あり、普及の進展に影響が及ぶ可能性がある。

(単位:MW)

年 ~2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

アメリカ

単年 - 100.8 103.0 145.0 206.5 338.0 447.5 918.0 1,432.0 累計 275.2 376.0 479.0 624.0 830.5 1,168.5 1,616.0 2,534.0 3,966.0

カナダ

単年 - 2.1 2.8 3.8 5.3 6.9 61.9 186.5 277.6

累計 11.8 13.9 16.7 20.5 25.8 32.7 94.6 281.1 558.7

メキシコ

単年 - 1.1 0.5 1.0 1.1 1.0 3.2 5.6 6.5

累計 17.1 18.2 18.7 19.7 20.8 21.8 25.0 30.6 37.1

出典:Trends in Photovoltaic Applications (TASK 1 Report IEA/PVPS、2012 年 9 月)

3.2.2 連邦政府や各州別、その他民間企業等の導入支援事業の内容と実績

(1) 米国・連邦政府における太陽光発電普及方策

米国では、 2009年1月にオバマ新政権が誕生して以来、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた 施策が強化されている。同政権は、再生可能エネルギーによる発電容量と製品の製造能力を2012 年までに2倍にするという政策目標を掲げていることから様々な施策が展開されている。 2010年に は景気対策法「アメリカ復興投資法(ARRA) 」による導入が進み、年間の太陽光発電市場は918MW となった。2011年の市場は、連邦政府による税額控除をはじめとした施策と州政府による再生可 能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)によって牽引され、太陽光発電システムの導入量は 1,855MWと、前年の918MWから大きく成長した。2011年の導入量のうち776.2MWが第4四半期に 導入されたが、これは米国財務省(DOT)による補助金制度が2011年末で終了するために駆け込 みで設置が集中したためである。なお、1,855MWの分野別内訳は、商業用が800MW、電力事業者 用が758MW、住宅用が297MWであった。 2011年末における米国の太陽光発電システム累積設置容 量は3,954MWとなった。州レベルでは、カリフォルニア州で542MW(2010年258.9MW) 、ニュー ジャージー州で313MW (2010年137.1MW) 、アリゾナ州で273MWが導入された。 8州において50MW 超の導入が報告された。また、2011年に完了した10MW超の太陽光発電プロジェクトは28件であ った。米国で稼働中の10MW超太陽光発電所の設置容量は、2012年時点で60基・計1,951MWとな った。2012年には27基・1,081MWが新たに設置された。

ARRAにおいては、再生可能エネルギー、スマートグリッド、省エネルギー投資等への支援、

技術開発、融資保証プログラム、製造者向け税額控除等、グリーン雇用を創出するための様々な 支援施策が打ち出された。このなかで、DOTは、金融収縮が継続する経済環境のなかで再生可能 エネルギー・プロジェクトを支援するために、投資税額控除制度(ITC)の代替策として、 「税制 補助制度1603条項」により再生可能エネルギー・プロジェクトの稼働開始時に30%の補助金を交 付する支援施策を開始した。総額約8000億ドルの同制度において、2011年10月までにこの施策の 支援を受けた太陽エネルギー関連プロジェクトは計1,301件に上る。なお、同制度は、当初は時限 立法で定められた2010年末で終了する予定であったが、1年間の延長が2010年12月に決定され、

2011年12月まで実施された。

連邦政府による太陽光発電システムの中心施策は、太陽光発電システムの導入者に向けたITC である。ITCは、 2006年から開始され、商業用系統連系形太陽光発電システム向けに30%の法人税 額控除が、住宅用系統連系形システム向けには30%の税額控除が適用される。この制度は2008年

12月末までに稼動するシステムが対象であったが、 2008年10月に金融安定化法の一環として8年間

の延長が決定され、2016年末までに稼動するシステムが対象となった。同時に制度の見直しもあ り、個人向けに設定されていた上限(2,000ドル)が撤廃された。また、対象外であった電力事業 者に対しても適用されることになり、電力事業用市場の成長に寄与している。

また、5年間の加速償却(修正加速度原価回収法、MACRS)も主要な連邦支援施策である。ITC は、住宅用及び商業用太陽光発電システムのいずれにも適用されるが、 MACRSは商業用太陽光発 電システムにのみ適用される。

ITCの恩恵を高めさらに利用しやすくするため、 2009~2012年に稼働を開始する太陽エネルギー

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