• 検索結果がありません。

第 2 部 地質解析

2. 鉱床

アルゼンチンの中央部にはパンピア造山サイクルの変成した先カンブリア界の基盤が露 出し,脈状および層状の銀,鉛・亜鉛,金,タングステンの鉱化作用を伴っている。これ

らはSan Luis州およびCordoba州の丘陵地帯に広範囲に分布している。パンピア・サイ

クルの鉱化作用はパタゴニアの北部にも認められ,San Martin 鉱山におけるタングステ ン鉱化作用が知られているが,古生代の花崗岩類の貫入によってリモビリゼーションを受 けている可能性がある。塩基性および超塩基性岩体はCordoba州においてポディフォーム 型クロム鉱床を胚胎し,San Luis州のLas AguilasとCatamarca州のSierra de Fiambala においてニッケル・コバルト・銅鉱床を胚胎する。

ファマティナ造山サイクルのオルドビス紀の堆積岩層に関連しては広範囲な鉱化作用が 存在する。Jujuy州のPirquitas鉱山の錫鉱床,Jujuy州Sierra de la Rinconada-Santa CatalinaからCatamarca州Salar del Hombre Muertoの南にかけての金鉱床,Jujuy州 のEl AguilarやLa Rioja州のLa Helveciaにおける層状の銀・鉛・亜鉛鉱床,Salta州の La ColoradaやSan Juan州の Santa Elenaで発見された古生代の海底火山活動による金,

銅,鉛・亜鉛の塊状硫化物鉱床,Rio Negro州のSierra GrandeやJujuy州のZaplaで発 見されたシルル紀の堆積盆における堆積性鉄鉱床などが列挙される。

ペルム紀から三畳紀のゴンドワナ造山サイクルに関係する鉱化作用は主として多金属鉱 床であり,Las Picazasにおける金,鉛・亜鉛鉱床,Sierra Pintadaにおけるウラン,Santa Clara, El Portillo, Infiernilloなどの銅・モリブデン鉱床,Josefinaにおけるタングステン 鉱床などがその例である。これらは全てMendoza州に産する。

パタゴニア造山サイクルの鉱化作用は堆積盆-火山弧の発達に関係するものであり,マ グマの活動は南部大西洋の拡大に伴うものである。堆積性および化学的堆積プロセスに関 係する鉱化作用としては,Mendoza州およびNeuquen州におけるジュラ紀から白亜紀の 堆積盆およびSalta州における白亜紀の堆積盆での銅,ウラン,バナジウム鉱床が知られ ている。Mendoza州およびNeuquen州のRio Coloradoのカリ鉱床も白亜紀に生成した ものである。

海洋の拡大に関係する火成活動は,Santa Cruz 州において流紋岩コンプレックスに伴 う含金石英脈のCerro Vanguardia鉱床を生成した。

ジュラ紀の火成活動は42°S以南のパタゴニア地域に多金属型硫化物鉱床を生成してお り,Chubut州にLago Fontana, Corcovado, Los Manatialesなどの鉱床が存在している。

また,Mendoza州のEl Burrero鉱山のように高山地帯にマント型銅鉱床を生成している。

白亜紀の火成活動に関係する鉱化作用は,Neuquen州のCampana Mahuidaのような銅・

モリブデン鉱床と,Chubut州のHuemulesやNeuquen州のAndacolloのような金鉱床 である。白亜紀のSalta州におけるアルカリ質花崗岩の貫入は,カーボナタイトを伴い,

レアアース鉱床の生成をもたらした。

アンデス造山サイクルによる鉱化作用には化学的堆積性のものと火成活動によるものが

ある。前者はSalta州のTincalayuやSijesのような陸上堆積盆に形成された第三紀の硼 酸塩を含む蒸発岩鉱床である。後者は第四紀の同様な環境における塩湖の生成物であり,

Catamarca州のSalar del Hombre Muertoのようにリチウムが経済性を有するまで濃集 したものである。

連続的なマグマ弧の活動は第三紀末からポーフィリーカッパー鉱床を含む重要な多金属 鉱化作用をもたらした。漸新世の活動はSalta州のAcay-Organullo の多金属鉱化作用を もたらした。中新世~鮮新世の活動はアンデス造山サイクルで最も重要なものであり,ア ルゼンチンにおける銅・モリブデンと銅・金・モリブデンのポーフィリーカッパー鉱床を もたらしている。これらに関してCatamarca州のBajo de la Alumbrera,San Juan州の El Pachon,Mendoza州のParamillos Norte and Surが代表として挙げられる。この時 代のその他の鉱化作用としては,San Juan州のValle de Cura,Catamarca州のLaguna VerdeやSan Luis州のCarolinaのような鉱染,鉱脈,ストックワークの金鉱床が存在す る。一方,Jujuy州のPan de AzucarやMendoza州のParamillos de Uspallataのような 銀・鉛・亜鉛の鉱脈型鉱床も存在する。

更新世~完新世の火山活動は硫黄鉱床をもたらしており,Mendoza州のVolcan Overo やSalta州のLa Casualidad鉱床が存在する。また,この火山活動は地熱エネルギー資源 として重要性が高い。

鉱床分布図などは,第2部地質解析のところに掲載してある。

8.鉱山概要

アルゼンチンで現在稼働中の主要鉱山としては,Bajo de la Alumbrera(Cu, Au),Cerro Vanguardia(Au, Ag),Farrallon Negro(Au, Ag),El Agilar(Ag, Pb, Zn)などがあ る。

Bajo de la Alumbrera

Catamarca州に位置する銅・金鉱山。1997年に生産を開始した。

2003年は,銅約20万t(精鉱中銅量),金ドーレ約20 tを生産。鉱床はポーフィリー カッパー鉱床,埋蔵鉱量は1999年に見直されており4.6億(品位t Cu 0.77 %,Au 0.95 g/t)

で,マインライフは15年とされた。

Minera Alumbrera社が同鉱山を操業する。2003年6月にはXstrata社がMIM社を買 収したことで,同社のメジャーシェアを取得した。また,2003年初めにはマイナーシェア の売却交渉も進み,1 月には Rio Tinto 社所有の 25 %権益がカナダ Wheaton River Minerals社に売却された。BHP Billiton社の25 %権益も売却され,現在Wheaton River Minerals社が12.5 %,Northern Orion社が12.5 %を保有している。鉱区については,開 発当初からの契約で州鉱山公社YMADが所有している。

開発当初,州への権利金について鉱山側と州政府との間でその算定方法について争議が あったが,2000年12月の同州議会は連邦政府鉱業投資法第22条が定める上限3 %を母 数とすることで合意した。

銅精鉱は,韓国,日本,スペイン,フィンランド,ドイツ,カナダ,ブラジル,インド などに出荷されている。

Cerro Vanguardia

Santa Cruz州に位置するCerro Vanguardia金・銀鉱山は,1998年から試験操業,1999 年から本格操業に入っている。鉱床はジュラ紀中期の浅熱水含金・銀石英脈。マインライ フは 15年とされている。6 つの露天掘で採掘し CIL・精錬してドーレを生産している。

2003年の生産は金約7 tであった。露天掘で年間粗鉱量657千tを採掘している。2002 年末での残存鉱量は9.1百万t(Au 9.2 g/t,Ag 128 g/t)とされている。

権益比率は,AngloGold社46.25 %,Perez Companc社46.25 %,州鉱業公社Formicruz 社7.5 %であったが,2002年に,Perez Companc社の権益をAngloGold社が9千万USD で買収した。

Farallon Negro

Catamarca 州にある鉱山公社 YMAD が操業する金山。浅熱水金鉱床で品位 Au 5~7

g/t。1999年から導入したヒープ・リーチングによってAu年約0.3 tを生産する。Farallon Negro鉱脈の鉱量枯渇の状況下,1986~91年に実施されたJICA-MMAJ資源開発協力基 礎調査(1986~89年:アルトデラブレンダ地域,1990~91年:ファラジョンネグロ地域)

により北側のAlto de la Blenda鉱脈の南東延長にEsperanza鉱脈を把握した成果を受け て延命した。

El Aguilar

El Aguilar鉱山は,アルゼンチン唯一の鉛・亜鉛生産鉱山である。ボリビア国境に接す

るJujuy 州の中央部,標高4,000~5,000 mの高地に位置する。操業開始は 1936年でこ れまでの既採鉱量は約4千万t,品位Pb+Zn 12 %。1986年当時の埋蔵量は470万t(Zn 7.3 %,Pb 5.6 %,Ag 120 g/t)であった。近年の生産量は,粗鉱生産57万t/y(Pb 3.2 %,

Zn 6.92 %,Ag 67 g/t),精鉱生産量が亜鉛74,500 t/y(Zn 49.5 %),鉛18,200 t/y(Pb

76.0 %)でほぼ一定水準を維持している。鉱床はSEDEX型の塊状硫化物鉱床である。当

初の露天掘から坑内掘(ブロックケービング)に移行しており,鉛-銀精鉱と亜鉛精鉱が 生産されている。亜鉛精鉱は一部Rosarioにあるプラントに,鉛-銀精鉱はJujuyにある プラントに送られている模様である。2001年には12百万USDを投資して,新規の選鉱 プラント,燃料のディーゼルから天然ガスへの転換を完了し,約 2,000 t/d の鉱石を処理 している。鉱山を操業する Compania Minera Aguilar 社の権益比率は Rio Tinto 社

(33.33 %),ボリビア系Comsur社(66.67 %)となっている。同山は今後約5年分の埋 蔵量を有している。

最近の鉱業投資としては,Barrick社がVeladero金・銀鉱床プロジェクト(San Juan 州)の開発に着手したことがトピックスとして挙げられる。また,アルゼンチン鉱業庁の 2003年の発表によると,今後,鉱業投資の顕著な伸びが予測されている。具体的なプロジ ェクトとしては,Veladero (San Juan州,金・銀),Pascua-Lama(San Juan州,金・

銀),El Pachon(San Juan州,銅・モリブデン),Agua Rica(Catamarca州,銅・金・

モリブデン),San Jorge(Mendoza州,銅・金)などの新規プロジェクトの開発が想定 されている。

Pascua-Lama

チリ第III州とアルゼンチンSan Juan州に跨る第三紀の金・銀鉱床で,チリから続く El Indioベルトに属する。1994年にBarrick社が権益を買収した。その後の探鉱により,

買収当時の埋蔵金量1.8百万ozが現在の17百万ozにまで増大している。初期投資約10 億 USD とされ,酸化鉱はシアンリーチングにより金・銀ドーレを生産し,硫化鉱は浮遊 選鉱により金・銀を含有する銅精鉱を生産する予定。年産80万ozをキャッシュコスト85

USD/ozで計画している。採掘はチリ側で始まり,Pascuaピットは1次クラッシャーから

地上および坑内コンベヤーによりアルゼンチン領内の Rio Turbio に位置する選鉱場まで 運搬される。鉱山キャンプと磨鉱プラントもまたアルゼンチン側Rio Taguasに建設が予 定される。現地までのアクセス道路(アルゼンチンSan Juan~Valle de Cura間)の建設 は2000年第4四半期に完成している。

1997年の政府間の合意によるPasuca-Lama議定書により,国境に関係のない操業が可 能になり,その後,2000 年には議定書の根拠法となるチリ-アルゼンチン 2 国間鉱業統 合条約が発効されている。当初は,本プロジェクトが真っ先に,この2国間条約の恩恵を 受けるものと考えれていたが,折からの金価格低迷もあり,開発が先延ばしにされてきた。

今後,近隣のVeladero鉱床(同じくBarrick社が権益を所有する)との共同開発の検討,

通貨の下落に伴う投資額やコストの再評価の必要もあり,2004 年の前半に F/S の終了,

2005年の建設開始,2008年の生産開始といったスケジュールを目標としている。

Veladero

アルゼンチンSan Juan州,Pascua-Lama鉱床から6 kmほど東,標高5,000 mに位置 する。ジュニアカンパニーの探鉱活動に 1994 年 Barrick 社が参入し,1999 年には Homestake社が参入した。2002年のBarrick社とHomestake社の合併により,現在は Barrick社が100 %の権益を所持する。探鉱の結果鉱量は増大しており,1999年当初で金 量5.3百万ozであったが,現在は金量8.3百万ozになる。2002年10月にF/Sを終了し,

初期投資4.55億USD,年産金量53万oz,銀1百万oz,キャッシュコスト155 USD/oz で生産を開始する見込みである。マインライフは15年,2006年からの生産開始を目標と

関連したドキュメント