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3. 広告表⽰プリンタシステム 「KadaPos /カダポス」

3.1 はじめに

⽇本学術会議地域研究委員会は,「「地域の知」の蓄積と活⽤に向けて」と題する提⾔の中 で,地域の問題を解決するため,地域に⽣きる⼈々が育んできた情報,知識,知恵を含む「地 域の知(本研究では地域情報と呼ぶ)」を収集し,それらを有効に活⽤することが必要不可

⽋であると述べている[3.1].すなわち有益な地域情報を収集し,収集された地域情報を,必 要とする⼈に適切に提供する仕組みを構築することが求められている.⾹川⼤学は,⾹川 県,四国学院⼤学,⾹川県⽴保健医療⼤学,⾹川⾼等専⾨学校と,「地(知)の拠点⼤学に よる地⽅創⽣推進事業(COC+)に関する協定書[3.2]」に合意した.上記の事業は,地域が 求める⼈材を育成し,若年層の地元定着の推進を⽬的としている.この事業においても,地 域に関する情報を収集するだけでなく,それらを必要とする学⽣に適切に提供することが 求められる.

我々は,地域情報を提供する広告表⽰プリンタシステム「KadaPos /カダポス(以下,カ ダポスと呼ぶ)」を開発した.カダポスは,学⽣が教育研究活動に⽤いるプリント⽤紙の裏

⾯に,学⽣の属性に応じた地域情報(地域の商店街の情報や,地域で開催されるイベント情 報,地域のプロスポーツ団体などの情報)を印刷することで学⽣に地域情報を提供するシス テムであり,学⽣は無料でカダポスを利⽤することができる.⾹川⼤学では,学⽣への主た る情報提供⼿段として,印刷物を⽤いた掲⽰板が多く設置されている.掲⽰板は,掲⽰スペ ースの許す範囲内であれば,多くの情報を掲載することができる.掲⽰板には,学⽣にとっ て有益な情報も掲載されているが,直接⾃⾝に関係ない情報(たとえば,学部 1 年⽣に就 活企業説明会の情報など)も多く掲載されており,掲載された情報から⾃⾝に必要な情報を 効率良く探し出すことは難しい.また⾃⾝に必要な情報が探し出せたとしても,その情報の 保管のためには,別途メモ書きや携帯情報端末のカメラ機能を⽤いた撮影などが必要にな る.したがって,学⽣にとって,印刷物を⽤いた掲⽰板は,学⽣が⾃⾝に必要な情報を適切 に取得し,それら情報を保管するという点において不⼗分であり,地域情報を適切に提供 し,取得する仕組みとしては必ずしも有効であるとはいえない.また,学⽣に情報を提供す る情報提供者は,情報の有効期限(たとえば,地域のイベントの開催に関する情報であれば,

地域のイベント開催⽇が情報の有効期限)が切れた情報を掲⽰板から削除しなくてはなら ない.情報提供者は,提供する情報の種類が多くなった場合や,学内の複数個所にそれら情

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が求められる.したがって,情報提供者にとっても,印刷物を⽤いた掲⽰板は,地域情報を 適切に提供する⼿段として必ずしも有効であるとはいえない.上記で述べた印刷物を⽤い た掲⽰板の,情報の管理(有効期限)に関する問題を解決するために,デジタルサイネージ が多くの⼤学で設置されている.デジタルサイネージには,情報の掲載期間を設けて情報を 管理する機能を有するものも存在しており,情報提供⼿段としては⼀定の効果を上げてい る.しかしながら,デジタルサイネージの多くは情報が動的に切り替わるため,1 つの情報 の提供(表⽰)時間は短く,印刷物を⽤いた掲⽰板と同様に情報の取得に関する問題,情報 の保管に関する問題については解決されていない.⾹川⼤学幸町キャンパス総合情報セン ターコンピュータ教室は,授業時間での利⽤以外でも,空き時間には学⽣の⾃習のために開 放されている.図3.1 は,⾹川⼤学幸町キャンパス総合情報センターコンピュータ教室(PC

教室1,PC教室2)の利⽤件数を⽰している.2008 年6 ⽉のピーク時には,1 カ⽉あたり

17,800 件の利⽤があったが,2013 年6 ⽉には,1 カ⽉あたり9,372 件とピーク時の約6 割 に減少しており,学⽣のコンピュータ教室の利⽤が年々減っていることが明らかになった.

図3.2 は,⾹川⼤学総合情報センターが調査した2016 年3 ⽉の総合情報センターWeb ペ ージへのアクセス端末種別調査の結果を⽰しており,アクセス端末の約 3 割がスマートフ ォンやタブレット端末など携帯情報端末からのアクセスであることが明らかになった.こ れらの結果から,⾹川⼤学の学⽣は,簡単な調べ物などやレポート作成においてはコンピュ ータ教室のコンピュータを利⽤せず,⾃⾝の所有するスマートフォンやタブレットなど携 帯情報端末を利⽤している実態が明らかになった.⾹川⼤学ではIC カード認証課⾦プリン タシステムを開発[3.3] し,2012 年4 ⽉から⾹川⼤学内4 キャンパスで学⽣に有料のプリ ントサービスを提供している.図3.3 は,⾹川⼤学総合情報センターに設置されたプリンタ

の2010 年から2014 年までのプリント枚数の推移を⽰している.⾹川⼤学では,2012 年4

⽉からそれまで無料であったプリントサービスを有料に切り替えたため,2012 年のプリン ト枚数は前年の約6割まで減少した.その後プリント枚数は増加に転じており,2014 年は ピーク時の約8割までプリント枚数が増加した.図3.4は,⾹川⼤学総合情報センター内に 設置された有料コピーサービスの2012 年から2014 年までのコピー枚数の推移を⽰してい る.コピー枚数は,2012 年は年間約300,000枚/年だったものが,2014 年は年間約400,000 枚/年と 3 割ほど増加している.これらから,学⽣は⾃⾝の携情報端末と紙を併⽤して⾃

⾝の教育研究活動をおこなっている実態が明らかになり,プリンタやコピーによる印刷物 は,学⽣が教育研究活動を推進するために必要不可⽋なツールであることが⽰された.カダ ポスによって印刷された印刷物は,学⽣の教育研究活動に利⽤されるため,学⽣が⼀定期間 にわたって保管する可能性がある.カダポスは,⼤学における主たる情報発信⼿段である掲

⽰板やデジタルサイネージなどとは異なる情報発信⼿段を学⽣に提供しており,運⽤を通 じて得られた結果から掲⽰板やサイネージを補完し,学⽣に有益な情報を提供する仕組み として⼀定の有効性があることが確認された.学⽣の属性に応じて裏⾯の地域情報を変更 できるため,地域情報を適切に必要とする学⽣に提供することが可能である.さらに,裏⾯

の広告をサーバ上で管理するため,情報の管理に関する問題を解決している.本稿では,広 告表⽰プリンタシステム「KadaPos /カダポス」について述べるとともに,⾹川⼤学におけ る実運⽤データおよびアンケートによる評価について述べる.

3.1

⾹川⼤学総合情報センターコンピュータ教室の利⽤者数推移

3.2

⾹川⼤学総合情報センターWebページへのアクセス端末種別調査

49 図3.3

プリント枚数の推移

3.4 コピー枚数の推移