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に関しては、調査用紙の最終ページの 1 枚を使って、「利用されている作業機・装置・炉、

ドキュメント内 第7章 1872 年ドイツ帝国営業調査の構想 (ページ 61-68)

第9章 1882 年ドイツ帝国職業=営業調査の成立

この 13 に関しては、調査用紙の最終ページの 1 枚を使って、「利用されている作業機・装置・炉、

等々の目録」として鑿岩機から燈用ガス施設での蒸溜器に至る 19 類・計 93

もの機種を挙げた表を添 え、そこに該当機種の数量を記入するようになっている。例えば、最も種類数の多いその第6

類の繊 維業関連の機械・装置には以下の 19

種が列記され、その数量申告が求められている。

梳毛機 梳蓧機 粗紡糸梳機 粗紡機

紡錘(素材別) 絹用巻枠

ジャカード式織機 ジャカード紋紙なし織機 レオン商品用紡績機 リボン織機

209 撚糸機 ボビンレース編機・編細工機 ボビネット編機 刺繍機

多縫針式刺繍機 靴下編機 メリヤス編機 イギリス式丸編機 フランス式丸編機

やはり、ドイツ営業統計にあっては経営体の就業者構成と並んで物的設備面への調査は不可欠の契 機とみなされている。この関心はプロイセンにおける 1819 年営業表以来のものといえるが、その工 場表にあっては工場施設の他の物的機械・道具・装置面での表示には偏りと不足が顕著であった。基

礎資料として利用された税記録にはそうした面での記載がなかったからである。拡充委員会での検討

ではこの面の抜本的改革がなされた。既に述べたように、工学・技術面での専門家の知識を動員した 機械・装置面での調査項目の詳細さはセンサス様式の統計調査のレベルを逸脱し、モノグラフィー的 調査といえるものであった。これは72年調査が構想止まりに終わった要因のひとつでもあった。こ れを簡易化したところに75年営業調査が実施しえた。調査用紙のあった物的側面への調査項目は質 量共に全般的営業センサスとしてほぼ妥当な線に戻っている。当時のドイツ全体における商工業経営 での物的側面での構成、その生産力水準をみる上で貴重な情報を提供することができたといえよう。

しかし、圧倒的多数の中小の営業経営がこの調査枠から外されたために、そこでの報知獲得には失敗 した。従い、この 82年の調査にこそその面での挽回が求められたはずである。だが、それへの取組 みを回避したのが 82年営業調査であった。

その原因は容易に推察される。82 年調査は職業調査をメインテーマとし、また農業経営調査を組 み入れることによって生じた調査枠全体の膨らみを抑える必要から、狭義の営業調査の枠を縮小する ことを余儀なくされた結果である。このために、調査用紙で大きなスペースを取る作業機・道具・装 置への質問設定を省略せざるをえなかった。確かに、ドイツで最初の独立した経済センサスとしてそ の歴史的意義が高く評価されるべきものが 82年営業調査ではあるが、ひとつの欠陥にこの物的設備 面での調査項目の不自然な委縮を抱えているといわざるをえない。

おわりに

調査終了後の 6月末に各国統計局長が招集された会議において、今回の職業=営業調査は国民各層 からは必ずしも歓迎されず、

共感をもって迎えられることはなかったとの報告があった。しかし、各

地でとくに著しい妨害はなく、顕著な障害もなく解決したとのことであった。また、多くの場所では 調査業務への国民の自主的参加が得られなかったとされる。さらに、規定や実施要綱が複雑で理解し づらい、調査書式が細かすぎて実際的ではない、こうした不平・不満も少なくはなかった。しかし、

市町村当局の尽力によってこうした困難をひとつずつ克服していったとある。その際、

帝国統計庁の 用意した今回の調査員と市町村当局(ないしは調査委員会)への指示は難局打開に大きな役割を果し たとされる。27)当然のことながら、こうした職業や営業についての直接調査が国民各層に必ずしもス

ムースに受け入れられなかったことが窺える。それを克服するだけの熱意が調査当局、とくに現場の 市町村当局にみられたというのが帝国統計庁側のいい分であろう。

本文中に引用したリューメリンの表明にもあったように、また帝国統計庁自らが「いかなる外国も こうした詳細かつ信頼性のある―ある程度の誤差を含むとしても―ものとして職業統計を保有して いない」28)と自讃しているように、確かに 19 世紀 80 年代に職業統計と営業統計を他国にはないセン サス形式で作成しえたことのもつ意義は大きい。統計後進国ドイツがその遅れを取り戻し、ヨーロッ パ諸国でも最も充実した統計作成体制を備えることになった証左としてこの 1882年調査を位置づけ ることができる。

統計の近代化は人口センサスの成就を端緒にはする。しかし、人口センサスがいわば人口集団に関 する外延的な数量把握を主眼に置き、そこにある標識だけでは国民の社会階級・階層別構成について の内包的かつ立体的映像を獲得するには不十分である。これに対し職業=営業調査は生産力と生産関 係の両面からドイツの社会経済構成に迫ろうとする試みである。これを独立センサスとして実施する には統計作成にまつわるより以上の理論的技術的難問や統計作成を支える行政上と財政上の制約に 直面せざるをえないが、それらが 82年調査において克服されたということができる。プロイセンや 関税同盟での営業表作成、関税同盟統計拡充委員会での検討、また帝国形成後の3度の人口センサス 208

計作成のための綱領が決議され、また個別営業経営に関する調査と労働者のために諸制度に関する調 査のための書式も定められている。これをもとにして各国の営業のあり方を比較可能にする統計作成 を目指すことにはなったが、その原案の是非を最終的に判断できる専門家不足のため結論を得るまで には至らなかった。翌73年のウィーンでの世界博覧会・国際審査会の小委員会でも営業統計が検討 され、そこでも72年構想が検討素材となり、基本的方向としてそれに沿った調査の原案が作成され たが、

小委員会の力量不足から国際的認可までは届かなかった。しかしながら、こうした検討の中で

営業統計を農業や他粗生産部門を加え産業統計として拡大させ、しかも各部門の特徴的な営業を選別 し業種(また職種)の細目数を減らし簡素化を計りながら、国際比較を可能にする営業統計作成を志 向する、こうしたことが一般的理解となっていった。

上の第8

章でみた

75年改定委員会のエンゲル案はこうした流れを受けて、全般的営業統計と特殊 統計や個別調査報告(モノグラフィー)との間には一線が引かれるべきであり、「1871 年提案はいく つかの点ではこの境界線を越えてしまったことは否定できない」として、営業分類・調査項目・調査 方法・総括の 4 点に渡り簡略化を趣旨とした営業統計の再構築案として提示されたものである。75 年営業調査は調査そのものとしては失敗例に属するが、こと比較的大経営用の調査紙にあった物的側 面への質問項目に限ってみれば、そうした検討を踏まえた上で統計調査としては納得のゆくレベルの ものへと整理されていた。

5.82 年営業調査は関税同盟統計拡充委員会で当初構想された大経営用の営業調査用紙にあった

「Ⅰ.経営形態と人員関係」に重点を置いたものになり、その「Ⅱ.機械と器具」における「A.動 力源と原動機」への質問の簡略化、また「B.作業機と器具」に関する詳細な質問の除去が行なわれ ている。さらに、75 年調査での大経営用調査紙の物的設備面に関する質問項目に較べても大幅な簡

易化で際立ったものとなっている。営業体の物的生産手段への調査は項目 10 に限定され、使用原動

力とそれへの連動機、また蒸気関連設備の2 点に絞った最小限の報知獲得に留まっている。確かに、

作業機と器具に関する調査項目の当初の構想がその内容と分量の両面で上の全般的営業調査の枠を

越えているのは明白であり、

多くの営業経営者にとり過酷な負担となり調査への嫌悪感を抱かせる原 因となったであろうことは容易に予想された。また、その集計・総括が調査側に多大な労力を強いた であろうことも明白である。75 年調査の場合ですら、簡易化されたとはいえ、物的設備面での回答 は被調査者にとってはかなりの負担であったと思われる。そうした意味では、1882 年営業調査は調 査者と被調査者のいずれにとっても困難な側面を避けて通った調査といえるし、集計・公表も過大な

負担なしに終了している。

25)また、今回の調査の主眼が社会的諸階級における労働者階級の構成把握 にあったとすれば、その目的は職業統計調査で果されることになる。とはいえ、営業体の利用する物 的作業機や装置に関する表示は経営統計にとって重要な要素であり、これを営業種や経営規模別分類 と組み合わせ、なおかつ統計調査として無理のない形でどのように調べ上げ表示してゆくか、これは 営業統計に固有の課題である。82 年調査が作業機や装置に関する質問をすべて削除したことはやは りゆきすぎであり、営業調査の重要契機を欠落させたものと批判されよう。

というのは、この 82年調査の次の 95年調査では物的設備面の調査枠が拡大され、使用作業機への 詳しい調査が復活しているからである。26)95年の職業=営業調査の営業調査用紙にある全 14 項目の設 問の内の3 項目を取って以下の質問がなされている。

11.動力源(10種)と回転機・原動機、また蒸気罐・蒸器・蒸気船・帆船の利用の有無 12.利用機械(7種)の作業能力(馬力)

13.利用作業機・炉、等々

この 13に関しては、調査用紙の最終ページの 1

枚を使って、「利用されている作業機・装置・炉、

等々の目録」として鑿岩機から燈用ガス施設での蒸溜器に至る 19 類・計 93

もの機種を挙げた表を添 え、そこに該当機種の数量を記入するようになっている。例えば、最も種類数の多いその第6

類の繊 維業関連の機械・装置には以下の 19

種が列記され、その数量申告が求められている。

梳毛機 梳蓧機 粗紡糸梳機 粗紡機

紡錘(素材別) 絹用巻枠

ジャカード式織機 ジャカード紋紙なし織機 レオン商品用紡績機 リボン織機

ドキュメント内 第7章 1872 年ドイツ帝国営業調査の構想 (ページ 61-68)