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において は、 述結鎖に酸化還元活性なビオローゲンを有す るビスインターカレータ2について述べた。 この化合物はDNAの電

ドキュメント内 新規な機能をもつ核酸結合性小分子の研究 (ページ 31-44)

気化学的ラベル化剤として分子設計したものである。 DNAは通常の

ー172-状態、では酸化還元不活性 であるので

2

でラベルして、

DNAの分析に

電気化学的な高感度検山を導入しようというものである。

2のDNAとの結合能は、 従来の2価のピスインターカレータ と同 程度で あった。 結合 の塩基選択性は、

1とは逆に、 非常に弱いがAT

選択性 であることがわかった。 もちろん 、 この違いは、 これらのピ スアクリジンの連結鎖の迷いによるものと考えられる。 即ち、

1と

は異なって2の述結鋲のピオローゲンは

、 pHに関係なく 2つの正電

荷をもつので、 アク リジン部位のp Kaが かなり低くなり、 中性の状 態では2のアタリジンはプロトン化していない 。 従って比較的極性 の低いイ ンターカレータとしてふるまうのでAT選択的となっ たと 考えられる99 )。 その上、連結鎖のピオローゲンは、構結合性分子(グ ルーブパインダー) として静電的に DNAの溝に結合するので、 比較

的構造の柔らかいATに宮む部位に結合しやすくなる100 )。

また、 その結合モードは、 予想した通り ピスインターカレーシ ョ ンによっていることが、 粘度j商定その他の手法によって明らかにな

った。 また、 具体的な速度論の検討は 行なっていないが、 ピスイン ターカレーシ ョ ンのためか2の解離速度は比較的遅く、 ゲル電気泳

lli}J

(同程度の結合定数を有するエチジウムブロミドやキナクリンは

複合体として泳動せず、 DNAと解離して反対の方向に泳動する)や ゲルろ過を行なっても複合体は完全に解離すること はな かった。 こ

れは DNAのラベjレ化剤としては不可欠な条件である。

7江気化学的空� ill)Jをサイクリ ックボルタンメトリーによって 検討し た結来、

2は複合体形成後も酸化還元活性である

ことが わかり 、 先 の結合力と併せて考えて、 ラベル化剤として最低限の性質は有して

1ることカf明らかになった。

さらに、 この定位から2のDNA との相互作用に関する情報も得る

ー173-ことが できた。 複合体形成に伴って、 その還元電位は、 負にシ フト した。 このことから、

2

DN Aに結合 すると還元され難くなること

がわかった。 即ち、 複合体にとって、 還元状態は好ましくないこと を示す。 言い替えると、

2とDNAの結合は、

主に静電的な相互作用

に支配されてい るので、

2

が送元されてその正電荷がlつ減ると結 合定数は大きく減少するということである。

このように、 酸化還元活性な DNAリガンドはDN Aのラベjレ化だ けでなく、 結合様式のプローブとしても利用できることがわかった。

この酸化還元活性リガンドの DNAの光切断試薬としての利用 につ いても第3章中で述べ た。 ここでは2の同じ酸化還元活性を酸素の j還元的活性化に使った。 可視光の照射を引き金としてアクリジンか らビオ ローゲンへ電子を供給し、 ビオローゲンのl電子還元体を効 半的に生成させた。 対照実験から、 このDNA切断には分子内の電子 移動が関与しており、 さらに稔々の阻害剤共存下での切断効率から 活性酸素が実際の活性栓であることが示唆され、 こ の反応機構が支

持された。

この栓の(分子 内の光誘起電子移動反応、のからんだ)反応機構に よる DNAの切断は、 これまで には報告されてい ない。 この結果は、

例えば、 その励起状態の酸化電位を考えた上で増感剤を選べば(増 感知lのほとんどは複素環であるのでDNAに結合するものが多いであ

ろう)、 好みの波長の光でDNAを切断することのできる 試薬を設計 できることを示している。

このよう に、 酸化還元活性を DNAリ ガンドに導入した だけで、

DNAの高感度検出プローブ以外に、 様々な機能を発揮すること がわ かり、 非r;1�.に興味深い性質を有する試薬を右IJることができた。

-174-第4章では、 第3章で合成した電気化学活性プロ ーブの実用面を 考えて 、 その弱点を克服することを考えた。 具体的 には、 塩基配列 選択的な結合を期待して、 DNA認識部位としてオリゴヌクレオチド を用いた。 さらに、 感度向上を考えて酸化還元活性部位としてフエ ロセンを導入した。

期待した通り、 この酸化還元活性オリゴヌクレオチド5、

6は、 特

異的にターゲットシークエンスと3本鎖複合体を形成することがわ かった。 しかもその結合定数は2S ocでは109---1010M.1という非常に

強いもので、 これま でに知られているDNAリガンドの中で最も高い 親和性を有するもののlつに分類され得ることが明らかになった。

非共有結合によ り試料を可逆的にラベルすること を考えたとき、

高感度分析になればなるほど、 つま り、 分析対象が貴重で測定試料 の量が少なくなればなるほど、 ラベル化斉iJはターゲットに対し て強 い結合力を安水される。 なぜならば、 この場合のラ ベル化は、 平衡 反応、で あり、 2分子がl分子となる反応であるのでその結合率には 波度の項が直接かかってくるか ら である。 従って、 例えば、 fm 01レ ベルの検出を行ないたい場合には、 少なくとも1013 ---1 014M.lの結合 定数が必要になる。 辺北'は、 ここまで結合定数が大きくなると 、 そ の波度によっては、 分析後、 分析対象分子とプローブとの 分離が困

難になるわけであるが、 オリゴヌクレオチドの複合体形成反応のよ うにエ ントロピ一変化の大きい反応においては、 温度の調節によっ て結合定数を大きく変化させることができ、 結合生成のオン/オフが 可能で ある。 従って、 オリゴヌクレオチドは貴重な微量分析用のプ

ローブとしては以過な'1生伎をもっていると考えら れる。

また 、 オリゴヌクレオチドをフエ ロセンでイl多飾することによ って その結 合力は、 わずかではあるが増大することがわかった。 対流ボ

-175-ルタンメトリーの結果より、 フェ ロセン部分は比較的疎水的な環境 中に存在していることが示唆されたので、 フエ ロセンはDNAのメジ ャーグルーブの中 に入っていると考えられる。 従って、 この安定化 は恐らくフエ ロセンと核酸塩基との疎水的相互作用か、 または連結

鎖が関与した水素結合によるものではないかと考えられる。

検出実験においては、 予心iii 的な般討ながらfm 01オーダーの検出が 可能なことが示された。 これ はラジオアイソトープにも匹敵する値 であり、 本法が実用的にも迎用で き得る非常に簡便なDNAの検出法 となり得ることを 示している。

今後は、 佐合体の安定性についてさらに熱力学的な検討を加え、

DNA検出の選択性や再現性など、 本法の実用化に関わる諸問題を解 決していかなければならないであろう。

遺伝病やガン発生のメカニズムを解明するには、 遺伝子(DNA) そのも のに関する情報を得なければならない。 この認;哉から、 ヒト

遺伝子解析プロジェクトに代表されるように、 世界的に様々な生物 の遺伝 子解析が行なわれている。 このような時代のニーズの中 、 特 定遺伝子を切断し 、 また電気化学的に検出する新手法は、 非常に有 用なt支祈fとなると考えられる。

以上、 本論文では、 遺伝子操作技術にとってはま さに主役そ のも のであ る切断試薬と検出試薬の開発について述べた。 これらの試薬 は、 もちろん 、 まだかなり基礎的なレベルのものではあるが、 その 分子設計の忠ftUは 、 いずれもこれまでにはない新規性のあるも ので あると硲信している 。 今後の機能性DNAリガンドの分子設計におい て、 こ れらの新規試薬が、 ささやかなりともその指針になることず できれば幸いである。

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