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つの重要な段階

ドキュメント内 世界遺産の文化的景観 (ページ 48-81)

管理プロセスにおける重要な段階

管理プロセスに関する 8 つの重要な段階

 管理の取組の準備には多くのアプローチがある。すなわち、

図に示す管理プロセス全体は、相互に関係する8つの段階に 分けられる。

管理プロセスに関する 8 つの重要な段階

第1段階  アプローチに関する合意形成と取組の計画策定 第2段階  文化的景観とその価値に関する理解

第3段階  共有する将来ビジョンの創出

第4段階  管理の目標の定め、最適な時期や取組の課題を調 査すること:体制を整え、調整するために管理計 画を利用すること

第5段階  管理戦略に関する選択肢を把握し、合意を形成す ること

第6段階  管理戦略の実施を調整すること 第7段階  モニタリング・評価・順応的管理 第8段階  計画の更新時期や改訂時期を決定すること  こうした諸段階は、管理プロセスに一般的な指針をもたら すよう、時系列に沿って並べてある。ただし、管理プロセス は非常に多様であり、こうした一連の段階は、主要な利害関 係者からの提案に応じて、その時々の状況に合わせて調整し ていく必要がある(下記の第1段階の検討を参照)。

参考文献等

UNESCO, 2005. Operational Guidelines for the Implementation of the World Heritage Convention.

詳細をえるためには、以下のような文献がある。

Lee Thomas and Julia Middleton, 2003. Guidelines for Management Planning of Protected Areas. Best Practice Protected Area Guideline Series No. 10, Adrian Phillips, Series Editor. (Cardiff: World Commission on Protected Areas (IUCN) and Cardiff University, 2003).

特に、プロセスの概要はpp.23〜24に、計画策定前の 段階についてはp.25を参照。

第 1 段階  アプローチに関する合意形成と取組の計画策

 この初期段階では以下のことが重要である。

▪重要な利害関係者が初期段階に関与し、計画策定プロセ ス全体や計画の実施を通じてこうした関与が継続する方 法について合意に達すること。

▪すべての利害関係者からの合意を得ることによって、明 瞭な計画策定プロセスをデザインすること。

▪利害関係者の参加を得ること。

▪管理の調整や運営、関係機関を明確にすること。

▪計画の策定および実施における役割と責任を明確にする とともに、必要に応じて、具体的に把握すること。

▪計画策定チームのメンバー。

▪幅広い人びとに伝わるコミュニケーション戦略を策定す ること。

重要な利害関係者の関与と計画策定プロセスにおける合意 形成

 前述のように(「基本理念」参照)、計画策定プロセスの一 部として、すべての利害関係者間で合意を結んだり、合意に 達することは重要である。特に、地域社会や、所有権および 資源利用を通じて遺産管理に責任を直接負う人びと、また意 思決定や取組を通じて遺産に影響を与えうる人びとにおいて はその重要性が高まる。こうした利害関係者の結びつきは、

長期にわたり遺産の価値に関与する関係を築き、持続可能な ものにするための手がかりとなる。管理計画を作成するプロ セスは、人びとに価値とその保護の方法についての対話を促 すものであり、多くの場合、計画そのものよりも重要となる。

なぜなら、そうした策定プロセス自体が意識啓発につながる とともに、人びとが計画に先立って管理のなかで生じる課題 の解決策を主体的に検討できるようにするためである。世界 遺産の景観のすべての構成要素の保全において必要な社会 的・政治的支援を構築するためには、コミュニティの結びつ きが不可欠である。数年間の取組を通じて、所有者や利用者、

法規、コミュニティ、来訪者といった景観に関わるすべての 利害関係者のあいだで合意に達する必要がある。

 「ハドリアヌスの長城の世界遺産(英国)/ローマ帝国の 国境線(2005年以降、ドイツ・英国の国境を越えた資産と して世界遺産リストに記載)」の事例研究が示すように、登

文化的景観管理の枠組み

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ハドリアヌスの長城の世界遺産(英国)/ローマ帝国の国 境線(2005 年以降、ドイツ・英国の国境を越えた資産と して世界遺産リストに記載):

管理計画策定における参加プロセス

 イングリッシュヘリテージは、世界遺産であるハドリアヌ スの長城の保全とアクセス、持続可能な経済利用、地域社会 の利益とのあいだのバランスを保つための政策を打ち出すた め、1993年に管理計画を作成した。この計画は、1996年に 完成版が刊行される以前に、幅広く市民の意見を聞いた後、

すべての主要な利害関係者が関わる一連の作業部会により作 成された。

 計画の成功は、単に政策の受け入れやすさだけでなく、目 標についてコンセンサスを得られていたことにもよる。その ための取組は、計画策定と計画の実施に利害関係者が関わり、

利害関係者を代表する管理計画委員会を設置し、計画の堅持 と実施を容易にするための調整組織を設けることを通じてお こなわれた。この調整組織は、持続可能なアクセスと地域経 済への貢献に焦点をあてた「ハドリアヌスの長城の観光パー トナーシップ」と密に連携した。計画は2001年に改訂され た。それは、利害関係者間の協力が増えたため、1996年の 計画よりも詳細な施策を策定することが可能になったためで ある。

 管理計画委員会は管理計画のチェック機関としての機能を 保持しているが、調整組織と観光パートナーシップは、新た

ハドリアヌスの長城(英国) ©Judith Herrman

録された景観の重要性を理解し、成功する管理計画の策定プ ロセスを通じた取組をおこなうなかで、関心があるすべての 人びとや組織が参加することが非常に重要となる。実際に、

計画策定プロセスに人びとや組織が関わるための戦略を立案 することは有益である。こうした参加戦略では、すべての関 係者を把握し、参加の仕組みを示し、さらにそうしたプロセ スの各段階を示すことが必要である。

 世界遺産登録について初めて論議された地域では、関心を もつすべての市民、特に登録に反対だったり意思を決めかね ている市民が、計画策定プロセスに参加できることで、時間 をかけてでも合意が形成されるだろう。コミュニティの価値 の範囲を顕在化させるとともに、景観のなかの複数の価値(考 古学的価値、歴史的価値、文化的価値、美的価値、経済的価値、

精神的価値、科学的価値)について、関係者がさらに理解を 深めるための機会である。ある地域では、まず第一に地元住 民が参加する。ほかの地域では、どのように価値を守る必要 があり、文化的景観における価値の表現が潜在的に顕著な普 遍的価値をもつかどうかについての地域、国、国際社会のな かでの対話が必要である。しかし、いずれにせよ、世界遺産 の文化的景観では、顕著な普遍的価値の言明によって示され た価値や属性を主として管理していくことが必要だと理解し なければならない。

わかりやすい計画策定プロセスの設計

 合意は、管理の計画策定の方法論に必要であり、文化的景

観の価値の把握、評価、保護のそれぞれの段階に含まれる。

主要な利害関係者と有意義な対話をおこなう機会を設けるよ うなアプローチを仕掛けていくことが重要である。プロセス の初期はこうした段階の一部として設定されることが必要で ある。

 計画策定プロセスはサイトが単独の所有者や設計された庭 園の管理者などによるものか、調整が必要な複数の所有者に よるものか(フィリピン・コルディリェーラの棚田群、フラ ンスのロワール渓谷など)で異なってくる。複数の利害関 係者がいるサイトでは、英国・南ウェールズのブレナヴォン 産業用地の事例研究で示されるように、協議やコミュニティ 参加に関するより複雑なプロセスが必要である。アフリカの 一部における伝統的な計画策定はコミュニティの会合である

「バオバブの木の下」、つまり議論や合意形成に達するまで続 く中心的な場での議論によっておこなわれる。こうした文化 的慣習を理解し、それを計画策定プロセスに組み込んでいく ことが重要である。スウェーデンのエーランド島南部の農業 景観やイタリアのチンクエ・テッレは参加型の計画策定の事 例として挙げられる。

利害関係者の関与を得ること

 利害関係者や管理チームのメンバー、あるいは参加したり、

仕事をおこなったり、責任を負う人びとの関与を高めていく には数年かかる。何らかの関与がない場合、管理のプロセス はさらに困難になり、平凡であったり曖昧なものになる可能 な組織である「ハドリアヌスの長城遺産有限会社」(HWHL)

に含まれた。この会社は非営利会社で、ハドリアヌスの長城 の持続的な経済的利用を促進するために設置された。考古学 的価値や景観的価値、環境的価値を保護し、持続可能なアク セスや教育、世界遺産のインタープリテーションを促進させ るため、同組織によって、世界遺産の管理がおこなわれる。

HWHLは、現在(2009年初頭)、管理計画委員会に代わって 世界遺産の管理計画第3版を完成させようとしている。

Christopher Young

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