経済産業省
燃料電池自動車実証研究 実施者:財団法人日本自動車研究所
燃料電池自動車用水素供給設備実証研究 実施者:財団法人エンジニアリング振興協会
定置用燃料電池実証研究 実施者:財団法人新エネルギー財団
JHFCプロジェクト
図 3-4-8 固体高分子形燃料電池システム実証等研究の実施体制
出典:平成15年度水素・燃料電池実証プロジェクトJHFCセミナー(2004年3月)資料を基に作成
燃料電池自動車実証研究では,財団法人日本自動車研究所(JARI)
注2)を中心として,
2002 年度から 2005 年度にかけて,国内外の燃料電池車および国内 12 箇所の水素供給 ステーションでの走行試験を行った。なお, 2004 年度には,愛知県で開催された万国博 覧会「愛・地球博」会場に 2 箇所設置された水素ステーションを使い,会場間の移動手 段として燃料電池バス 8 台による運行を行った。
燃料電池自動車用水素供給設備実証研究では,財団法人エンジニアリング振興協会
(ENAA)を中心として,水素供給ステーションの設置・運営および液体水素製造実証 研究を行った。この 2 つの実証研究は,水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC プロ ジェクト:Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)として,共同で進め られた。
JHFC プロジェクトは当初 2002 年度から 2004 年度までの 3 箇年の予定であったが,
1 年延長し 2005 年度まで続けられた(詳細は 3-4-2 節(2):水素・燃料電池実証プロ
注1) 平成15年度水素・燃料電池実証プロジェクトJHFCセミナー(2004年3月12日)資料
注2) 平成14年度は財団法人日本電動車両協会(JEVA)が実施主体となっていたが,平成15年7月1 日の財団法人日本自動車研究所(JARI)との統合化により平成15年度以降の実施主体はJARIとなっ ている。
ジェクト参照)。2006 年度からは,「燃料電池システム等実証研究」(第 2 期 JHFC プロジェクト)として引き継がれている。JHFC プロジェクトにおける FCV の実証走 行試験の状況については後述する。
また,定置用燃料電池実証研究では,財団法人新エネルギー財団(NEF)を中心に,
2002 年度から 2004 年度まで定置用燃料電池コージェネレーションシステムの実証研究 が行われた。そして,2005 年度からは,600 万円/台を上限として補助する「定置用燃 料電池大規模実証事業」へと移行し,日本全国で第 1 期,第 2 期あわせて 480 台が導入 された。2006 年度は 450 万円/台を上限として補助が行われ,777 台が, 2007 年度には 350 万円/台を上限として 930 台が導入された。(詳細は 3-6-1 節参照)
(13) 燃料電池関連の予算
2008 年 12 月 24 日に公表された経済産業省「平成 21 年度経済産業省予算の概要」よ り,燃料電池関連予算を抽出したものを 2008 年度予算と併せて表 3-4-8 に整理した。
また,2008 年 12 月 26 日に公表された内閣府「『平成 21 年度科学技術関係予算案に ついて』の公表について」より,燃料電池関連予算を抽出したものを表 3-4-9 に整理し た。定置用燃料電池大規模実証事業は 2008 年度で終了となっている。また,2008 年度 から「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」「革新的水素製造技術開発」が新規事業と して計上されている。
表 3-4-8 平成 21 年度:経済産業省の燃料電池関連予算(単位:億円)
平成20年度 当初予算
平成21年度要求額
(平成20年度補正額)
資源エネルギー関係
新エネルギーの推進・エネルギーの高度利用
1,137 1,244(135)
(内) 次世代自動車や燃料電池の技術開発・導入支援 221 297(30)
(内)クリーンエネルギー自動車等の導入促進補助
19 53(10)
(内)世界をリードする燃料電池の研究開発の推進
184 168(20)
(内)民生用燃料電池導入支援補助金
― 61
(内) 革新的な新エネルギー技術開発の促進 141 164(5)
(内) 革新型蓄電池の開発に向けた拠点整備
― 30
(内) 蓄電池の実用化に向けた技術開発の強化
29 26
出典:経済産業省「平成21年度資源エネルギー関係予算案の概要」(2008年12月)をもとに作成
表 3-4-9 優先度判定等を実施した科学技術関係施策の平成 21 年度予算案の 燃料電池関連予算(単位:億円)
平成20年度 平成21年度案 経済産業省 所管
水素貯蔵材料先端基盤研究事業 9.08 10.00
燃料電池先端科学研究事業 9.00 8.50
水素先端科学基礎研究事業 17.50 11.25
水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発 17.00 13.60 固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発 66.69 66.69
燃料電池システム等実証研究 13.00 9.88
定置用燃料電池大規模実証事業 27.11 ―
水素社会構築共通基盤整備事業 14.00 9.00
固体酸化物系燃料電池システム要素技術開発 13.50 12.00
固体酸化物形燃料電池実証研究 8.00 7.20
革新型蓄電池先端科学基礎研究事業 ― 30.00 次世代蓄電システム実用化戦略的技術開発
(系統連系円滑化蓄電システム技術開発・次世代自 動車用高性能蓄電システム技術開発)
53.00 43.10 文部科学省 所管
革新的水素製造技術開発 ― 0.1
出典:内閣府「『平成21年度科学技術関係予算案について』の公表について」(2008年 12月)をもとに作成
(14) 地方公共団体における取組み
表 3-4-10〜表 3-4-13 に地方公共団体における燃料電池関連への取組みを整理する。
表 3-4-10 地方公共団体における燃料電池関連への取組み(その 1)
青森県
2005年12月14日の電気新聞によると,青森県は12月13日,“あおもり水素エネルギー 創造戦略”をまとめた。将来的な水素エネルギー社会への移行を念頭に,原子力発電や風力 発電,農林水産資源などから水素を生産,FCの活用を通して県内産業の底上げを図ろうと する内容である。さらに戦略では水素製造にかかる固定資産税の減免や遊休公有地の貸与な ど公的支援の必要性を謳っている。また,CO2を排出しない水素製造を実現するために,原 子力発電から水素を取り出す技術の意義についても言及している。
秋田県注1)
燃料電池・水素関連産業の創出に向けて,ものづくりの技術を活かした取組みや,製品開 発や技術研究など,燃料電池関連産業分野への参入に取り組む県内企業を積極的にバック アップし,より具体的な産業創出に繋げるための推進組織として,2005年12月6日に「秋 田県燃料電池関連産業導入促進協議会」を設立した。
東京都
東京都では,2003年8月28日より,わが国で初めてFCバスが営業運行を開始した注2)。 運行台数は1台で,東京駅八重洲口−東京テレポート駅,または門前仲町−東京テレポート 駅の路線を1日数往復した。しかし,2004年6月,同バスと同じ構造のFCV用高圧水素タ ンクに水素洩れが発生したため,トヨタ自動車がFCBを回収したため運行を停止した。
その後,7月から運行を再開した。また,10月1日からは霞ヶ関や銀座三越前での運行を 行った。晴海ふ頭−勝どき駅前,銀座4丁目−東京駅の路線を1日1往復,晴海ふ頭−銀座 4丁目−四ツ谷駅の路線を1日2往復した。10月16日からはメーカからの引き取り要請に よって運行を休止したが,高圧水素タンクの交換および安全確認が行われ,12月21日より 門前仲町−東京テレポート駅での運行が再開され,営業運行試験の終了日である2004年12 月28日まで運行された。
この事業は都の「水素供給ステーションパイロット事業」ならびに経済産業省の「水素・
燃料電池実証プロジェクト」および国土交通省の「燃料電池自動車実用化促進プロジェクト」
と連携し実施された。FCバスはトヨタ自動車,日野自動車の「FCHV−BUS2」であった。
また2006年4月3日,「東京都再生可能エネルギー戦略」注3)を策定した。この中で,
「都内の水素供給ステーション施設を活用し燃料電池自動車の普及を図っていくとともに,
再生可能エネルギーを活用した水素供給のあり方について検討を進める」としている。
東京都 練馬区注4)
2006年12月より練馬区内の住宅に家庭用の燃料電池装置を設置する場合,上限10万円 として工事費の一部を補助する事業を開始した。
東京都 荒川区注5)
2006年5月,エコ助成金制度として,区民や事業者による環境に配慮した設備の導入を 支援するための助成を始めた。1kW級家庭用燃料電池装置については,助成限度額10万円 として設置経費の半額の助成補助が受けられる。2007年3月16日までに設置完了すること が条件。
つくば市
つくば市では,2005 年開通予定のつくばエクスプレス沿線で新エネルギー機器の導入の 促進を図るとともに,市民生活・地域社会と密着した新エネルギー研究開発の促進を図る構 造改革特別区域計画(つくば市新エネルギー特区)が平成15年8月に認定された注6)。こ の特区では,2019年ごろまでに400戸以上の家庭用燃料電池の導入を目標に掲げている。
特区では,電気事業法上の家庭用FCの設置に関する規制を一部緩和し,保安規定の届出と 電気主任技術者の選任を不要とする措置が取られる。また,不活性ガスボンベの常備義務も 撤廃される。
注1) 秋田県HPより
注2) 東京都広報資料等より
注3) 東京都「東京都再生可能エネルギー戦略−エネルギーで選びとる持続可能な未来―」2006.4
注4) 練馬区HPより
注5) 荒川区HPより
注6) 構造改革特別区域推進本部HPより
表 3-4-11 地方公共団体における燃料電池関連への取組み(その 2 )
山梨県注1)
平成20年2月,山梨県知事は,山梨大学が行う燃料電池研究開発へ支援・参画をおこな うと発表した。大学が建設予定の「ナノマテリアルセンター(仮称)」の土地の無料貸与や整 備費の補助,県職員を研究員として派遣するなど。この事業に対する支援を通じて産学官が 連携して燃料電池技術に関する研究開発を推進し,環境負荷の少ないクリーンエネルギー産 業の集積拠点を形成していきたいと考えている。
静岡県
静岡県は,燃料電池・水素エネルギーの先進県となることを目指し,2001 年に「燃料電 池・水素エネルギー研究会」を発足させた。県として何ができるか,何をなすべきかなどに ついて検討を行い,平成14年3月に報告書をまとめている。報告書では,県の取組みの試 案として,大きく①燃料電池の普及の促進,②研究開発の支援,③新産業の創出などの支援,
④燃料供給インフラ整備の検討の 4 項目を掲げている。④のインフラ整備の検討について は,国,民間企業等との連携により,水素供給ステーションやパイプライン等のモデル施設 についての検討,住宅団地等への燃料電池の導入支援を挙げている。平成15年度,それま での2年間の研究会の活動を基盤として,この分野に強い関心を持つ企業,大学,行政等を 対象とした会員制の「しずおか燃料電池・水素エネルギーパートナーシップ」を創設した注
2)。
また,平成15年3月に策定された「しずおか新エネルギー等導入戦略プラン」において,
2010年度までに燃料電池7.24万キロワットの導入を目指すとしている。更に平成17年度 からは,燃料電池の理解促進・普及啓発を図るため,県内の燃料電池関連企業の協力により,
高校生を対象とした「ECOエネルギー・スクール」を開催している。注3)
燃料電池の開発,利活用などの研究を目指し産学官が連携する「静岡燃料電池技術研究会」
の設立総会が2006年12月8日,静岡ガス総合技術研究所(静岡市駿河区)で開催された。
県,静岡工業技術センター,静岡大をはじめ,燃料電池の研究を進める飲料メーカ,部材供 給を目指す部品メーカなど20社前後の企業が参加する見込み。注4)
愛知県
平成17年2月に「愛知県水素エネルギー産業協議会」を設立した。地域分散型実証モデ ルの提案・検討,水素供給および燃料電池技術課題の各種研究会活動,プロジェクトの立ち 上げ,ならびに情報発信などの事業を行う。その一環として,愛知県は知多市,東海市と共 同で「知多地域水素インフラ活用研究会」を11月9日に立ち上げた。製鉄所や製油所,LNG 基地,都市ガス等水素供給インフラを活用した新エネルギーシステムの形成,在り方につい ての検討を行う。
FCVの普及に向け,官民一体となって関連プロジェクトを推進する「あいちFCV普及促 進協議会」が平成17年7月1日に発足した。愛知県や豊田市,常滑市,新日本製鉄,東邦 ガス,トヨタ自動車,大陽日酸が参加し,今後の燃料電池自動車に係るプロジェクトの企画 提案や普及啓発などの取組みを行うという。
また,平成17年11月,燃料電池の開発に取り組む地域中小企業に対し,試作品の特性評 価,技術相談・指導,情報提供,材料研究など,総合的な支援を行う窓口を設置し,地域産 業の競争力強化と新産業の創出に資することを目的とする「燃料電池トライアルコア」を,
愛知県産業技術研究所内に開設した。都道府県の試験研究機関が燃料電池に特化した技術支 援拠点を開設するのは,全国で初めてのことである。注5)
愛知県は2006年7月5日,名古屋市中区の県公館に設置した家庭用燃料電池の実証試験 の開所式を行い,「愛知県小型燃料電池実証試験」をスタートした。この家庭用FCは,日 本ガス協会が「愛・地球博」に出品したものを移設している。また,2006年8月には「あ いち臨空新エネルギー研究発電所」を開設した。愛知万博会場において長久手日本館などに 電力供給を行っていたプラントを,中部臨空都市(空港対岸部)に移設して実証研究の継続 をはかるもので,常滑市役所等へ電力を供給する。注6)
注1) 山梨県HPより
注2) しずおか新エネルギー情報HPより。
注3) 静岡県HP
注4) 静岡新聞オンライン記事(2006.12.7)より
注5) 愛知県HPより
注6) 愛知県産業労働部新産業課HPより