モルモットを用いた能動的全身性アナフィラキシー(ASA)試験及び受身皮膚アナフィ ラキシー(PCA)試験、マウス-ラット PCA 試験、ウサギを用いたASA 及びPCA 試験を GLP適用で実施した。
また、前期及び後期第 II 相臨床試験で認められたミリプラチン懸濁液投与後に一過性に 発現する好酸球数増加(2.7.4.4.2参照)の機序を解明するために、ウサギ、モルモット、ラ ット及びマウスを用いた静脈内及び皮下投与試験、非担癌及び担癌ラット(Donryu)又は 正常ラット(CD(SD))を用いた肝動脈内投与試験及びヒト好酸球を用いた遊走化試験を いずれもGLP非適用で実施した。なお、ASA及びPCAの評価では惹起に速やかな静注曝 露が必須のためミリプラチンエマルション製剤を、好酸球数の増加機序解明検討では速や かな静注曝露が不要であったためミリプラチン懸濁液を用いた。
(1) モルモット能動的全身性アナフィラキシー試験【表2.6.7.17-1参照】GLP適用 Hartley系モルモットに週1回、合計2回、ミリプラチンエマルション製剤を1及び5 mg/
匹の割合で静脈内投与する群、及びミリプラチンエマルション製剤の5 mg/匹をFCA投与 部位に皮下投与する群を設けた。投与量は試験実施時の推定臨床用量及びその 5 倍量とし
た。最終投与2週間後にミリプラチンエマルション製剤の5 mg/匹を静脈内投与して惹起し た結果、全身性アナフィラキシー反応は陰性であった。
(2) マウス-ラット受身皮膚アナフィラキシー試験【表2.6.7.17-2参照】GLP適用
BALB/c及びC3H/Heの2系統のマウスを用いて、ミリプラチンエマルション製剤を0.06
及び0.3 mg/匹の割合で、3週間間隔で、合計2回静脈内投与する群、及びミリプラチンエ
マルション製剤の0.3 mg/匹を水酸化アルミニウムゲル(Alum)と混合して3週間隔で2回 腹腔内投与する群を設けた。投与量は最大臨床用量及びその 5 倍量とした。最終感作の 7 日後に感作マウスより得られた血清をCD(SD)系ラットに皮内投与し、翌日、ミリプラチン エマルション製剤の3 mg/匹を静脈内投与して惹起した結果、受身皮膚アナフィラキシー反 応は陰性であり、マウスに対してIgE産生能を有しなかった。
(3) モルモット受身皮膚アナフィラキシー試験【表2.6.7.17-3参照】GLP適用
Hartley系モルモットに週1回、合計2回、ミリプラチンエマルション製剤を1.2及び6 mg/
匹の割合で静脈内投与する群、及びミリプラチンエマルション製剤の6 mg/匹をFCA投与 部位に皮下投与する群を設けた。投与量は最大臨床用量及びその5倍量とした。最終投与2 週間後に得られた血清を別のモルモットに皮内投与し、4時間後にミリプラチンエマルショ
ン製剤の6 mg/匹を静脈内投与して惹起した結果、受身皮膚アナフィラキシー反応は陰性で
あった。
(4) ウサギ抗原性試験【表2.6.7.17-4参照】GLP適用
NZW系ウサギに3週間間隔で合計2回、ミリプラチン懸濁液を2.4及び6 mg/kgの割合 で静脈内投与した。投与量は最大臨床用量及びその2.5倍量とした。初回感作の6週間後に ミリプラチンエマルション製剤の12 mg/kgを静脈内投与して惹起した結果、能動的全身性 アナフィラキシー反応は陰性であった。初回感作の6週間後に得られた血清をHartley系モ ルモットに皮内投与して4時間後にミリプラチンエマルション製剤の12 mg/kgを静脈内投 与して惹起した結果、受身皮膚アナフィラキシー反応は陰性であった。
(5) 好酸球数増加機序解明検討1(ウサギ、モルモット、ラット及びマウスにおける静注・
皮下投与時の血中好酸球推移の検討)【表2.6.7.17-5参照】GLP非適用(参考資料)
NZW系ウサギ、Hartley系モルモット、CD(SD)ラット及びBALB/cマウスに3週間間 隔で合計2回、ミリプラチン懸濁液又はヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル(懸濁用液)
を静脈内又は皮下投与した。静脈内の投与量はウサギ及びラットで6 mg/kg(最大臨床用量 の2.5倍)、モルモット及びマウスで12 mg/kg(最大臨床用量の5倍)、皮下投与の場合はい
ずれも12 mg/kg(最大臨床用量の5倍)とした。1週間に2回の頻度で血液を採取し、血液
中好酸球の推移を確認した。その結果、ウサギにミリプラチン懸濁液又は懸濁用液を静脈 内投与した場合、投与 10 日後を最大とする血液中好酸球数の一過性の増加が認められた。
また、ラットでもミリプラチン懸濁液又は懸濁用液を静脈内投与した場合、投与 7 日後を 最大とする血液中好酸球数の一過性の増加が認められた。一方、皮下投与では、いずれに おいても好酸球数の増加は認められなかった。また、初回感作の42日後(ウサギ)又は45 日後(ラット)に得た血清を用いてミリプラチン-EAを抗原とするELISAを実施した結果、
ウサギでは抗ミリプラチン抗体(IgG)が認められたが、ラットでは陰性であった。
(6) 好酸球数増加機序解明検討 2(非担癌、担癌ラット肝動注における血中好酸球推移の 検討)【表2.6.7.17-6参照】GLP非適用(参考資料)
非担癌及び担癌ラット(Donryu)又は正常ラット(CD(SD))にミリプラチン懸濁液の
0.4 mg/匹又は懸濁用液を肝動脈内投与し、血液中及び骨髄中の好酸球の推移を確認した。
投与量はミリプラチンの懸濁可能な最大濃度と、ラットに技術的に肝動脈内投与可能な最 大液量から0.4 mg/匹(最大臨床用量の1/2)とした。その結果、いずれのラットでもミリプ ラチン懸濁液で血液中及び骨髄中好酸球数の一過性の増加が投与 7 日後に認められた。ま た、正常ラットを用いた検討では、ミリプラチンの投与 3 日後に肝臓動脈近傍への好酸球 浸潤及び投与7日後に骨髄中 IL-5陽性細胞(T細胞)の増加を認めたが、これら以外に血 液学的検査、血液生化学的検査には異常は認められなかった。なお、担癌ラットより得た 肝臓及び肺には IL-5、IL-3、GM-CSF、IL-2、IL-4、IL-6、INF-γ及び TGF-β1 などのサイ トカインmRNAの上昇がなく、正常ラットの血清中IL-2、RANTES、IL-1β及びTNF-αの 有意な蛋白発現及び抗ミリプラチン抗体の産生も認められなかった。
(7) 好酸球数増加機序解明検討 3(ヒト好酸球を用いたミリプラチンによる遊走化能の検 討)【表2.6.7.17-7参照】GLP非適用(参考資料)
ヒト好酸球を用いてミリプラチン、ミリプラチン懸濁液、懸濁用液、活性体であるDPC、 ミリスチン酸又はステアリン酸の好酸球遊走化能の有無を検討した。被験物質をDMSOで 溶解した後、培地で希釈して、ミリプラチン、DPC、ミリスチン酸及びステアリン酸は0.2
µg/mL、懸濁用液は 0.001%として細胞走化性測定培地に添加した。作用部位での最終作用
濃度は、上記濃度の約1/100であった。その結果、ミリプラチンを含むすべての化合物でヒ ト好酸球の遊走化は認められなかった。
2.6.6.8.2 併用投与毒性試験
(1) ラット併用毒性試験(2週間)【表2.6.7.17-8参照】GLP適用
ミリプラチンと臨床で併用される可能性が高い薬剤との相互作用の有無について検討す るために、ミリプラチン懸濁液12.5 mg/kg(投与液濃度:2.5 mg/mL、投与容量:5 mL/kg)
を雄の Crj:CD(SD)ラットに単回皮下投与し、全身曝露させた条件下で、解熱鎮痛剤(フル
ルビプロフェン)、制吐剤(塩酸グラニセトロン)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラ ミン)、ステロイド剤(コハク酸プレドニゾロンナトリウム)、抗生物質(塩酸セフォチア ム)、肝臓疾患用剤(強力ネオミノファーゲンシー)を最大臨床用量で1日1回、2週間反
復投与した。
死亡発現及び一般症状での異常はなく、体重、摂餌量、剖検及び器官重量ではいずれの 併用群においても併用投与による影響は認められなかった。塩酸ジフェンヒドラミンとの 併用で血液凝固能への影響、フルルビプロフェンとの併用で血漿蛋白分画への影響が認め られたが、いずれも軽微な変化であり、その他の関連パラメータには影響がなかったこと から、いずれの薬剤についてもミリプラチンとの併用による明確な相互作用はないものと 考えられた。
2.6.6.8.3 活性体 DPCの毒性試験
ラット及びイヌを用いた単回皮下投与毒性試験、ラットを用いた反復皮下投与毒性試験 並びにマウスを用いた小核試験を実施した。
活性体 DPCは、ミリプラチン懸濁液の肝動脈内投与後、ミリプラチン懸濁液から緩やか に放出され、蛋白などとの反応により速やかに消失することから、動物及びヒトの循環血 中では極めて低濃度で存在すると考えている(検出限界以下のため検出できない)。従って、
DPC の毒性試験では、その量的な考察は困難であり、質的把握を目的として実施した。本 来、全身曝露での安全性評価を実施するため、静脈内投与による毒性検討が妥当であるが、
DPC は生理食塩液に対する溶解度が低く、十分な投与量が確保できないことから、静脈内 投与での毒性試験は困難と考えられた。そこで、高曝露を得るために、メチルセルロース を用いた水性懸濁液とし、代替経路である皮下投与により毒性試験を実施した。更に、ラ ットを用いた反復皮下投与試験で糖尿病様変化が発現したことから、 DPC の臨床での曝露 形態に昀も近い肝動脈内投与を選択し、ラットに投与可能な昀大量を投与して糖尿病様変 化発現の有無を検討する試験を追加実施した。
なお、DPC の遺伝毒性を評価するために実施した小核試験については、ガイドラインで 示された腹腔内投与を選択した。
2.6.6.8.3.1 単回投与毒性試験(皮下投与)
ラット及びイヌに DPC を単回皮下投与し、投与後 14 日間観察した。なお、対照として 0.5%メチルセルロース水溶液 /生理食塩液の投与群を設けた。
(1) DPCのラット単回皮下注毒性試験【表 2.6.7.17-9参照】GLP適用
雌雄の Crj:CD(SD)ラットにメチルセルロースを用いた DPCの水性懸濁液( DPC懸濁液)
を 5、10、20 mg/kgの投与量で皮下投与し、投与後 14日間観察し、単回投与毒性を検討し
た。なお、対照として 0.5%メチルセルロース水溶液投与群を設けた。
雄の 10 mg/kgで 5例中 4例、20 mg/kg群で全例が、雌の 20 mg/kg群で 5例中 2例が死亡 したことから、概略の致死量は雄では 5~10 mg/kg、雌では 10~20 mg/kgであった。
症状では、 10 mg/kg 以上の群で下痢、爪先歩行、円背姿勢、自発運動減少及び眼瞼下垂 などの症状が投与後 4 日以降に認められ、症状の認められた動物のうち多数例が投与後 5