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その他,意見,要望について

3.教材の評価結果

3.5  その他,意見,要望について

肯定的な意見としては,「可能ならさらに詳しい内容説 明があるともっとよい/カイコハンバーグはぜひ食べてみ たい/説明も分かりやすかった/図などもたくさん使ってビ ジュアルに伝わってきて面白かった」などが寄せられた。

要望としては,「ゴキブリの画像はやめてほしい/用語につ いて詳しい説明をして欲しい/実験の説明は紙面上だと大 まかに書くと分かりづらい」などが寄せられた。(表9参照)

4.まとめ

2007年度は,2006年度に中学校・高等学校の教諭対象 に行ったアンケート項目とほぼ同内容で,中学生・高校生 を対象としてアンケート調査を行った。本調査は,回答者 がアンケートに答えるに当たり,インターネット上から webサイト(http://www.viva‑insecta.com/)を開き,内容が

多岐にわたる本教材「昆虫をモデルとした中等理科実験プ ログラム」を通覧して評価させた。このため多大な時間を 要する。このこともあって,2006年度は18件,2007年度 は12件の回答にとどまった。しかし,これらの協力的な 回答者による批判的な評価や意見は,教諭用試用版として の本教材の開発や更新にとって貴重な指針となるといえよ う。

生徒による教材評価の傾向を以下に示す。

第一に評点による評価全体をみると,「内容全般」「取扱 方法」ともに,大半の項目について生徒の評点が教師の評 点よりも高い傾向がみられる。これは,中学校や高等学校 の教師が常に学習指導要領との連関において,教材開発を 検討する傾向にある反面,生徒はまったく自由に自らの知 的好奇心において教材を鑑賞する。新たな知識理解や科学 的なものの見方を発見した喜びに新鮮な驚きを感じて評価 しようとするからではないか。しかし一方で,「01:地球 の運動と昆虫(季節と昆虫)」と「07:絹とカイコの歴史」

に対する生徒の評価が,相対的に低い評価にとどまってい る。例えば「07:絹とカイコの歴史」についてみると,内 容の観点からは生徒にとって「絹織物」は死語に近いもの で興味関心がうすいこと,また取扱方法の観点からは,17 項目のすべての項目に映像による動画が設定され,生徒に とって鑑賞時間も長く拘束されることなどから厳しい評価 に連動したとも考えられる。

第二に「内容構成」の評価については,ハンバーグ,ア メンボやホタルなど子どもたちの日常的な好物や子どもの ころから良く知っている身近な昆虫を題材にしたテーマが 高い評価を得ている。「08:昆虫を食料として考える」が とくに突出して高い評価を得たものであるが,これについ ての自由記述意見をみると,食糧問題・栄養・おいしさな どの言葉が散見される。このことから,生徒は理科教師と は異なる身近な生活上の視点による教材観や興味関心を 持っていることが分かる。2006年度の教師対象のアンケー トでは,「07:絹とカイコの歴史」が最上位の評価を獲得

表8 自由記述回答・生徒 難易度

Table 8. Free description answers/student, Difficulty.

a 高3:難易度にバラツキがあり,やや難しいものが多かっ たように見える。×

b 高3:やさしいのもあれば,難しいのもある。○×

c 高3:単語の難易度が高いと感じました。×

d 高3: 難易度は適当だと思いました。○ ただ,グループ で話し合うなど,CD-ROMではできそうもないよう な探究活動も行わないとこれを学習した意味がない ので,そこの部分も補えるような何かがあればいい んじゃないかと感じました。△

e 高3: ホタルの光の話のところで,ATPや複雑な化学反応 の話が出てきて,少し内容が難しいと思います。×

f 高3: 少し難しい所もあったが,解説もわかりやすく,内 容もおもしろかった。○

h 高1: たまに難しい語が出てきて分かりづらい箇所がある。

×

i 高1:丁度よいと思う。○

j 中2:とても分かりやすいと思います。○

k 中1: 難易度は,中学生が分かるくらいのむずかしさです。

L 中1: どちらかというとむずかしい。大まかな内容は理解 できても,細かい内容は難しい。×

表9 自由記述回答・生徒 その他,意見,要望

Table 9.  Free description answers/student, Others(opinions, de-mands).

a 高3: 可能なら,さらに詳しい内容説明があるともっとよ いと思う。△

b 高3:ゴキブリの画像はやめてほしい。×

d 高3:カイコハンバーグは,ぜひ食べてみたいです。○

e 高3:説明も分かりやすかったですが,図などもたくさん 使ってビジュアル的にも伝わってきてとても面白 かったです。○

h 高1:用語について,詳しい説明をして欲しい。×

L 中1: 実験の説明は紙面上だと大まかに書くと分かりづら い。×

DVD教材の教育現場における活用とその評価 177

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したが,もとより現在の中学生や高校生は「絹」の存在や 有用性にほとんど関心を持たなくなっているとも考えられ る。このことから,本教材を教師が活用する際にも,内容 構成をより現代化するなどの工夫がいっそう求められよ う。

第三に「取扱方法」の評価については,「06:アメンボ はなぜ水面に浮いていられるのか」が最も高い評価を得て おり,次に「08:昆虫を食料として考える」,続いて「05: ホタルの光はどんな光」の順に高い評価となっている。こ れらのテーマ名は,学習者に対する質問や問題提起の形式 をとっており,学習のねらいが明確である。生徒は各項目 の画面を順にたどっていけば,いつの間にかその疑問を解 決し,問題の意味を理解することになる。このような問題 解決型の教材が生徒の興味関心を高めることは自明のこと であろう。

例えば,「06:アメンボはなぜ水面に浮いていられるのか」

の内容構成は4画面の基本項目からなり,各画面にいくつ かの画像が配されている。これらの画像をクリックすると アニメや映像による補足説明がなされ,しかもこれらの映 像は生徒の知識理解の速度に合わせて,左から右に順にク リックしていくことにより,学習内容が次第に深まるよう に仕組まれている。次から次へと疑問が解決して行く過程 で,生徒の知的好奇心が満足するものと考えられる。また,

「08:昆虫を食料として考える」をみると,全体の内容構 成が13項目と多いものの,前半を理論学習とし,後半を 実験学習として,後半に動画を集中的に設定している点が 注目される。このような取り扱い上の操作性が生徒の高い 評価につながったものといえよう。

第四に各テーマの自由記述回答をみると,教師による回 答に比べて圧倒的に肯定的な意見や感想が多く,大半の テーマに対して自由記述の意見・感想をていねいに述べて いる。例えば,「04:オスとメスの出会い」「08:昆虫を食 料として考える」では,そのほとんどが肯定的意見・感想 であると同時に,「斬新で面白かった/内容も取り扱いもと てもおもしろく,とても役立った。/実験方法が面白かっ た。・興味をそそられた。・画面が変わるたびに「なぜ?」

が少し解決して行く感じが得られて面白い。」など,学習 の成果,喜びさえ感じさせる記述が多く見られる。

第五に難易度についての自由記述による意見をみると,

難易がほぼ半々であり,高校生や中学生の自学自習教材と しても十分使えるものであることが分かった。その他の意 見・要望についても,生徒の自習用教材とする上で,とく

に問題となる指摘はなかった。しいて言えば,用語解説を 充実させることやゴキブリの扱いを工夫することなどであ ろう。

なお,09〜18のテーマについては,12名の回答者のう ち6名の評点による回答にとどまったため,次回の調査に サンプル数を増やして合わせて分析考察を行うこととし,

今回は考察対象から割愛することにした。

今後の課題として以下の三点を挙げたい。第一は本調査 結果をもとにして,本教材の利用対象を教諭に限定せず,

生徒にまで拡大することが大切である。第二は,そのため 生徒の思考活動に適合すべく,個々の教材内容をいっそう 簡潔に分かりやすくし,取扱方法をさらに簡便なものとす るよう工夫することである。第三は,中学校・高等学校の 教師が,本教材を授業の教材として利用するに当たっては,

上記アンケート結果を参考として,生徒の実態に合わせて その興味関心に即応するよう配慮する必要があることであ る。

(謝辞)

最後に,本教材の視聴には急いでも4〜5時間程度かか ると思われる。教材をていねいに視聴,点検していただき,

かつアンケートにご回答いただいた皆様に心から御礼申し 上げる。

1) 本研究の目的は,昆虫行動をモデルとした中等理科実験プ ログラムを開発することにある。さらに,それを完成させ

てDVD‑ROMによる映像教材として用いることにより,中

学生や高校生が科学的思考体系の形成,科学技術開発に必 要な基礎教養力,生活や環境問題に取り組むための論理的 判断力・決断力等,各種問題に的確に判断・反応・対処で きるよう,彼ら自身が持つ潜在的な能力を引き出すための 教育プログラムである。

2) 菅沢茂,「CD‑ROM教材の教育現場における活用とその評価」

(科学研究費補助金(基盤研究(B)18300263,2006〜2008)

に基づく研究,研究分担者),『東京農工大学大学教育ジャー ナル』第3号,pp.35‑52,(2007)

3)2007年度実施のアンケート本文について表10に示す。

4) 「昆虫行動をモデルとした中等理科実験プログラム(2002〜

2008試用版)」の教材そのもの,及び各内容項目や音声,

画像展開,動画,拡大画像の工夫の有無についてまとめた 一覧表は,インターネット上で「viva insecta!」のホームペー ジに掲載している。

(2008年11月22日受付)

178 菅沢  茂・普後  一・濱野 國勝・島田  順・金勝 一樹・馬場眞知子

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