(For the health of a baby: Why and how does placenta secrete estrogen?)
生水真紀夫
千葉大学大学院医学研究院生殖機能病態学,教授
生水真紀夫 (ショウズ マキオ)
千葉大学大学院医学研究院 生殖機能病態学,教授
履 歴 昭和 56 年 3 月 金沢大学医学部卒業 昭和 61 年 3 月 金沢大学大学院修了 平成 2 年 4 月
金沢大学医療技術短期大学・講師 平成 7 年 11 月
米国テキサス大学医学部・ダラス校留学 (Evan Simpson 教授、Paul C. MacDonald
教授)
平成 11 年 4 月
金沢大学医学部産婦人科・講師 平成 11 年 7 月
金沢大学医学部附属病院周産母子センター 助教授
平成 17 年 12 月
千葉大学大学院医学研究院生殖機能病態学 教授
生殖内分泌が専門です。大学院生のとき に、エストロゲン合成酵素欠損症の世界で 第一例目を発見したのがきっかけで、エス トロゲン合成酵素に関わるようになりまし た。数年来、「緊急帝切システム」や危機 的大量出血対策「コードむらさき」など、
院内救急体制の整備に取り組んで来まし た。現在は、当院の救急体制のリソースを 地域に解放することで母体死亡を減らすこ とを目指して、母体救命のための地域プロ ジェクト「プロジェクト ゼロ」に取り組 んでいます。
ヒトを含む高等な霊長類では、胎盤で大量のエストロゲンをつく ります。かつて、このエストロゲンは乳腺の発育や妊娠の維持に必 須と考えられていました。しかし、演者らの発見したエストロゲン 合成酵素(アロマターゼ)の欠損症の観察から、エストロゲンは妊 娠維持に必ずしも必須ではないことが明らかになりました。
実際、齧歯類などでは胎盤にアロマターゼが発現していません。
また、大部分の有胎盤類では胎盤アロマターゼの発現はわずかで す。胎盤に、アロマターゼが強く発現し、妊娠中に大量のエストロ ゲンを産生するのは、ほぼ霊長類に限られています。
では、霊長類の胎盤では、なぜ、何のためにエストロゲンを合成 するのでしょうか?演者らは、霊長類が胎盤でエストロゲンを産生 するようになった理由について、検討してきました。
その結果、副腎で産生されるアンドロゲン(デヒドロエピアンド ロステロン、DHEA)が鍵と推定しています。DEHA は、海外で はサプリメントとして頻用されている副腎性のステロイドホルモン で、アンチエイジング薬として人気があります。
演者は、霊長類の胎盤ー DHEA ーエストロゲン合成酵素の関係 を中心に研究を進めてきました。その結果、偶然と必然が交錯した 胎盤アロマターゼのゲノム進化の歴史が、おぼろげながら見えてき ました。この宇宙に存在するもので、形を変えないものはありませ ん。銀河も地球も、そして生物も、常に形をかえ「進化」します。
霊長類胎盤が、偶然の積み重ねとその結果生じる必然の帰結とし て、エストロゲンを産生するように進化してきました。「体の中で 育てる」ためにアロマターゼを進化させてきた生物の物語(仮説)
について、お話しさせていただきたいと思います。
教 育 講 演 市民公開講演 シンポジウム ワークショップ
教育講 演/ 市 民公開 講 演/シンポジ ウ ム/ワークショップ
教育講 演/ 市 民公開 講 演/シンポジ ウ ム/ワークショップ
5月1日(水)14:40 〜 15:50 第1会場(ホール)
教育講演 1
座長:島田真理恵(上智大学 総合人間科学部 看護学科)