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(3-56) これにより,ある時点(例えば現在)の既発見油田規模分布と総試掘井数がその半分の

ドキュメント内 エネルギー資源 と 経済 (ページ 144-149)

時点の既発見油田分布がわかれば,発見確率pi が未知でも,各クラスの究極油田数Fi , すなわち究極油田規模分布が求められる。こうしてFi が求まれば,それを式(3-46)に代 入して,各クラスの発見確率pi も求められる。この方法の優れた点は,究極油田規模分布 の推定や過去の再現だけでなく,将来の任意の時点の油田規模分布予測が,その時点の総 試掘井数(または総発見数)W を与えるだけで行えるということである。

3.3.2.3. 確率論モデルによる究極油田規模分布予測

上記の手法を世界の油田規模分布に適用して,究極油田規模分布の推定を試みる。た だし,世界全体の試掘井数は信頼できる統計がないため(試掘井の定義も国により異な る),ここでは総既発見油田数(採算性のない極めて小規模なものも含める)を用いる。

発見数/試掘数:「成功率」(POS: Probability of Sucsess)が一定であればどちらを使 っても同等である。ただし,発見確率piの持つ意味は異なってくる。W に総試掘井数を 使用しているときは,pi は新たに1坑試掘した時のクラスi の残存1油田あたりの発見確 率で,したがって,これにクラスi の残存油田数を掛け合わせれば,その試掘に対するク ラスi の油田の発見確率になる。これに対し,W に総既発見油田数を使用すると,pi

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クラスi の残存油田数を掛け合わせたものは,新たに 1 油田(採算性のない極めて小規模 なものも含む)発見した時,その油田がクラスi に属する確率を示す。W に対応する油田 に採算性のない極めて小規模なものも含めることが重要であるが,ここでは統計的に信頼 できる下限のクラス11以上の総油田数を用いた(これより小さい発見は統計からの脱漏 が多い)。 図 3-7 に示すように統計上は,POSは徐々に上昇してきているが,試掘井数の 統計は信頼性が低く,1990年代末のPOSの急上昇などは試掘数の把握漏れに起因する可 能性がある。IHS社(旧Petroconsultants社)の統計は最も信頼され,BP統計などもこ れに基づいているが,情報収集専業のPetroconsultants社をIT企業のIHS社が1996年 に買収して以降,公表情報のみに依存し,試掘など公表されにくいデータの劣化が懸念さ れている。

図 3-7 世界(米国を除く)の試掘数・発見数・成功率(POS)の推移(データ出典:IHS社)

また,米国では,歴史・立地・法税制などの違いにより採算限界がクラス6付近にあ り,油田数もそれ以外の世界全体より多く,ここでは示さないが,別々に解析する必要が ある。 以下はすべて米国を除いた議論である。このモデルを世界(米国を除く)の油田 発見実績に適用し, 2012年末と総油田数がその半分の1984年,および1/4の1970年の 3時点(2本の式(3-53))について解析した。その結果を表 3-3 と図 3-8 に示す。

こうして推定した究極油田規模分布は,油田クラスに対して油田数の対数をプロットす るとほぼ直線に乗り(図 3-8),フラクタル(べき乗分布)であることを示している。したが

0%

10%

20%

30%

40%

50%

0 500 1000 1500 2000 2500

1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 POS

number of discoveries / wildcats

World Oil Field Discoveries (excluding US)

new-field wildcat discovery (class 11-28) probability of success

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って,中小規模油田での実績のべき乗分布の直線からの乖離は,それらのクラスではまだか なりの未発見油田が地下に残されていることを示しており,それが探鉱ポテンシャルに他 ならない。なお,発見が飽和に達した(油田数に変化がない)クラス28~25では究極油田 数は既発見油田数と同じとなり,発見率pi は求まらない。3時点のデータを比較している ので,1970-84と1984-2012の 2 種類の究極油田規模分布が,式(3-56)を用いて求まる。

この手法では各クラスの残存 1 油田あたりの発見確率pi は時間が経過しても一定であると いう仮定に基づいている。もし実際には,この値が時間(探鉱の進行)と共に変化するので あれば,この過程に基づいた各クラスの究極油田数や発見確率が時期の異なる2種類の推 定で異なるはずである。しかし,表 3-4 および図 3-8 では,2種類の推定値の組はよく一致 していて, pi は時間が経過してもほぼ一定であることを示している。

表 3-4 世界(米国を除く)の油田規模分布の実績と究極油田規模分布の推定

(データ出典:IHS社) クラス 11-28(W ) 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 実績(Fi 1,Fi 2)

2012 12595 1308 1015 730 428 233 122 61 27 17 15 6 1 1 1984 6298 736 600 468 314 176 106 52 24 14 15 6 1 1 1970 3149 371 326 263 190 99 69 39 19 11 15 5 1 1 究極油田数(Fi )

1984-2012 3303 1946 1063 493 260 125 63 27 18 15 6 1 1 1970-1984 22940 2044 1193 547 446 149 59 26 15 15 6 1 1 発見率( pi × 1,000,000)

1984-2012 40.0 58.5 92.1 161 179 300 279 330 247 - - - - 1970-1984 5.2 55.2 79.1 136 79.8 198 349 424 413 - - - -

ただし図 3-8 では,1970-84年データに基づく推定ではクラス16が,1984-2012年では クラス15が直線から上方に外れている。現在,米国陸上以外では,概ねクラス 14付近が 採算限界だが(地域・国などにより異なるが),探鉱が進行し残存大規模油田が減少すると,

小規模油田も狙うようになる。このため後期には小規模油田の発見確率(pi)が上昇するた め,規模別発見確率一定を仮定している本モデルでは,それらのクラスの pi が過小評価,

逆に究極油田数が過大評価になる。特にクラス15以下では,後期の既発見油田数が前期の

147

2倍を超え(残存油田数が減少したのに発見が増加),式(3-56)によるFi およびpi の解 が計算上は負になる。しかし,時間の経過(探鉱の進行)と共にグラフの直線部分が左上に 伸びて(過大評価が修正されて)きていて,3.1.3 の定性的考察とも併せて,小規模部分も 含めて究極油田規模分布はフラクタル(べき乗分布)であることを裏付けている。

図 3-8 究極油田規模分布(上)と残存1油田あたり発見確率(下)の推定 1

10 100 1000 10000

11 13 15 17 19 21 23 25 27

Field Number

Field Class

Field Size Distribution and

Estimated Population

2012 actual distribution 1984 actual distribution 1970 actual distribution

estimated population(1984-2012) estimated population(1970-1984)

0 0.0001 0.0002 0.0003 0.0004 0.0005

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

Discovery Probability

Field Class

Calculated Discovery Probability

1984-2012 1970-1984

148

なお,図 3-8 で実績の左側部分は放物線(parabola)に近い形状である。正規分布の確率密 度関数は,確率変数をx ,その平均をμ ,標準偏差をσ とすると,次式となる。

/

(3-57) この確率密度(頻度)の対数は右辺の指数部分,すなわちxの二次関数(放物線)になる。

横軸は埋蔵量の対数に相当するので,この小規模部分は対数正規分布で近似されることに なる。これが,母集団が対数正規分布だという主張(Kaufmam et al.,1975, Lee, 200ど)

の根拠である。しかし,大規模部分は明らかに正規分布より頻度の高い「ファット・テール」

であり,Laherrere(1996, 2000)は放物線とフラクタルの結合“parabolic fractal”と呼んで いるが,実はこの分布はフラクタルの母集団からのサンプリングで導けるのである。

なお,図 3-8(上)で注意すべきは,このグラフでは縦軸は各クラスの油田数(の対数 値)であって,図 3-3 のような順位N(あるクラスより大規模な油田数)ではないという ことである。しかし,フラクタル(次元)は式(3-28)のように,順位Nで定義されている ので,図 3-8(上)のように,縦軸に油田数の対数値を取った時の直線もフラクタルであ ることを以下に示す。

埋蔵量は体積(三次元)なので,R ≣ αr 3 と定義して(αは定数)式(3-28)に代入して 書き換えると順位N は次式になる。

(3-58) 最大油田クラスの埋蔵量をR 0とし,その順位を1とすると,次のようになる。

(3-59) 次に,各クラスの油田数をnとし,図 3-8(上)のようにその対数の油田クラスに対す るプロットが直線となるときについて考え,これが(3-57)に対応するかを検証する。油田 クラスをk(特定の値の時はK ),最大クラス(ここでクラス28)をK 0とし,次のよう にクラスを再定義する。

′ ≡

(3-60)

′ ≡

(3-61) クラスk’ の油田数nk’ の対数の油田クラスに対するプロットが直線となるとき,直線の傾

149 きを ‐βとすると,次のように表現される。

log

(3-62) (3-63) クラスK’ の順位NK’(K’より大きな油田の数)と油田数nK’ の間の関係は次の通り。

(3-64) これを,連続系に変換し,式(3-63)を代入する。このとき各クラスは,上限および下限を クラス代表値(幾何平均)の両側に半クラスずつ離した幅 1 クラスの区間とみなす。ただ し,最大クラスについては,離散系ではそれより大きな油田は存在しないが,連続系では この区間も確率的に評価され,油田数は1未満とはいえ0ではないため,最大クラスがそ れら全部を受け持つと考え,大規模側については無限大まで積算対象とする。すなわち,

式(3-63)を ‐∞ からK’ 1/2 まで積分したものが,クラスK’ の順位NK’( K’ より大き な油田の数)となる。

1 1

0

(3-65) 式(3-61)を使ってクラス表記を戻す。

(3-66)

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