できるだけ研修生のための支出を節約している。それだけでなく、研修生たちに時間外作 業、休日作業、できる限り多くの作業を低時給でさせることによって、当初中国の送り出
し機関に支払った費用を取り戻すのである。
結果として研修生たちは日本に来る前に中国の送り出し機関に高額の保証金と手数料を 払ったのに、日本に来てまた日本企業に搾取されている。もともとは低賃金なのに、税金 をかけられた後いくら残るだろう。そして、健康保険もない。
JITCO
(国際研修協力機構)の研修制度の概要にこう書かれている。研修生は労働者ではないため、研修中に事故や疾病が発生した場合、労災補償は受けられない。このため、研 修中の事故・疾病に備え、民間保険‑の加入や研修に係る安全衛生対策を講じることが受 入れの条件となっている。 ※1
実際に問題が起こっているのは研修制度を悪用する日本の企業と中国の送り出し機関に 責任があるというより、むしろ研修制度自身には欠点があるだろう。
疑問三
なぜ研修生のパスポートは会社で保管しなければならないのか?
研修生のパスポート、登録証明書、通帳、印鑑等は本人が所持するべきものであるが、
実際に会社で保管することが非常に多い.筆者が知っている研修生の中でパスポート,壁 録証明書、通帳、印鑑は全部会社で保管され、登録証明書をコピーしてその裏側に会社の 電話番号を書いているものだけを持っている人が何十名いる。彼らは電気屋さんで買い物 する時に普通の買い物の人と違ってポイントカードが使えない。なぜならばポイントカー ドを作る時に身分証明書の提示ができないからである。身分証明書のコピーは認められな
うな特徴がある。
従業員総数(研修生を含めて)が100人以下または50人以下の小規模の家族企業が多い。
研修生に携帯電話の所持とインターネットの使用を禁止させる。研修生にたくさんの時間 外作業、残業、休日作業をさせるが、支払っている貸金が低い。プライバシーの時間でも 外出できる時間帯は決められている。別会社の研修生との付合いを遠慮させる。研修生が 行方不明になることを心配している。言い換えると研修生が安心する就労環境が整ってい
ない、研修生に支払っている時間外作業、残業、休日作業の給与が低いため、他社研修生 との情報交換を心配するから研修生に対していろいろな権利と自由を制限しようとしてい る。そのためにパスポート、登録証明書、通帳、印鑑等を会社で保管するような方法を考 えられたのである。
このような研修生に対する管理方法は不適切である。少なくとも身分証明書のような重 要な書類等を研修生本人に所持させるものである。研修生は日本に来てこのような待遇に
会わせられるのは決して研修制度の目的ではない。研修制度はこの実際状況を生み出す制 度上の問題があるのではないか。
疑問四
なぜ研修生に時間外作業、休日作業をさせているのか?そして研修生に時給 380円の給料を払っているのか?
ラーメン屋のアルバイトの時給が安くても 750円もらえる。研修生に支払う時給はただ 380円に過ぎない。三重県の最低賃金701円に対して380円の時給ははるかに低い。しかし 和歌山では時給200円に満たない事例※1もある。
研修生問題の一番多くは最低賃金違反である。
研修時間及び手当の適正な支払いについて、
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(国際研修協力機構)の研修制度の概 要にこう書かれている。週40時間を基準とする.時間外・休日研修は許されていない。研修手当は、研修生が日本滞在中の生活に要する実費(食費、衣料費・教養娯楽費・電話代 等のその他雑費)として支給されるもので、この研修手当は、受入れ機関が研修生本人に
直接、全額、毎月一定期日に支給しなければならないが、入国時に当座の生活資金として 研修手当の一部を支払うべきであるo口座払いをする場合には、本人の同意が必要である。
※2
『増補版 日本で学ぶアジア系外国人一研修生・技能実習生・留学生・就学生の生活 と文化変容』にはこのように書かれている。 「入国管理局は、研修と就労を明確に区別する
x'1 『時給300円の労働者一壊れる人権と労働基準』 2007年7月明石書店外国人研修生問題 ネットワーク編
28ページ
※2 JITCO研修概要http ://www.jitco.or.jp/system/seidoJkensbu.btml
との理由から、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働組合法等を研修には原則 として適用せず、しかも研修手当を実費弁償の範囲内(宿舎費・食費・交通費・小遣い等) と低額に指導している。しかしこれらは逆に、研修が、労働関係法規や労働省の監督を回
避して、外国人をより低賃金で就労させる窓口になりやすい環境をも作り出している。」 ※1 低賃金問題が頻繁に起こる原因は研修制度にあるo 『時給300円の労働者一壊れる人権 と労働基準』にこのように書かれている。 「生きるために犠牲者を生み出すシステム。更に 言えば弱者が弱者を生み出す構造。 ‑・・・人身売買もどきの稼業を恥とも思わない協同組合な る存在。 「私の理念は日中友好」などとのたまいながら時給300円の業者ルールを居直る政 治家。I‑・・・こうしたドス黒い実情を見て見ぬふりをする大手アパレルメーカー。 ‑‑何よりも、
カラクリがあることをどこかで感じながら、理解することを恐れていた「我々自身の責任」。
・.・・・・問題の根は深い。しかし、このシステムを許容してしまったとき、私たちは人間として の誇りさえも失ってしまうのではないのか。」 ※2
疑問五
なぜ研修生は仕事場でいじめられているのか?
いじめられているのはコミュニケーションが取れないからである。コミュニケーション が取れないのは日本語が分からなく、日本文化に対してよく理解できないからである。研 修生は日本で働いているなら日本語と日本文化理解の講習を受けるはずであるが、実際に 多くの研修生は日本語と日本文化理解の講習を受けていないばかりか、必要な社内研修も 簡単に説明を受けてすぐに作業に入ったのである。
研修生は安い労働力であると企業が認識している。すぐに作業に入った研修生たちは日 本語がしやべれないから意思の表示と伝達はうまくいかない。とくに始めて作業に入った
とき注意事項の認識不足と慣れないことによるミスを出してしまうと、すぐに先輩従業員
に怒られる。先輩従業員は研修生に対して理解と指導を与えるのではなく、機嫌しだいに 怒っている。これは決して楽しく働き安い雰囲気ではない。企業には従業員教育不足の責 任がある。このような雰囲気の中で三年間働くことは地獄のように感じられ、当然働く意 欲は高くない。企業は必要な従業員教育と人材育成のコストを削減すると、効率よく動く システムにはならない。
もともと受入れ機関は研修計画を立てて研修生を管理し、研修生のために研修指導員と 生活指導員を配置する必要あるが、現在単なる安い労働力として使っている。
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(国際 研修協力機構)の研修制度の概要によって、研修を実施するには、研修計画の内容が出発※1 『増補版 日本で学ぶアジア系外国人一研修生・技能実習生・留学生・就学生の生活と文 化変容』 p39‑40浅野慎一著 大学教育出版株式会社発行2007年10月
※2 『時給300円の労働者‑壊れる人権と労働基準』 2007年7月明石書店外国人研修生問題 ネットワーク編
20ページ
・38・
点である。そして実務研修を行う場合には、原則として研修総時間の3分の1以上の時間 を「非実務研修」に当てることが求められている。 ※1
これから研修生を受入れる機関は必ず研修生の言語研修、社内研修、そして従業員の教 育研修を行うことを必須条件として研修生を受入れる必要がある。そうしないと、研修生 が行方不明になり、賃金問題が激化し、人間関係悪化するなどさまざまなトラブルが発生 する可能性がある。
3.2研修制度の問題点のまとめ
研修生は研修目的ではなく、出稼ぎ目的の人が絶対的に多いため、多くの研修生は研修 制度を乱用している。
多くの中小企業、労働組合は単なる安い労働力として研修生を受入れて、研修生の人権 を侵害し、違法な手段で研修生たちを搾取している。中で、虚偽の書類を提出し、研修生
の資格変更手続きを行う企業もある。日本の中小企業、労働組合の多くは研修制度を悪用
している。
中国の送出し機関の多くは日本企業とぐるになり、内容不明確な契約で研修生を編し、
研修生を搾取している。そして多額料金をとる一方で、研修生に何もサポートをしていな い。中国の送出し機関は利益のために研修制度を悪用している。
本当の研修目的の研修生と出稼ぎ目的の研修生を区別せずにいるのが現状であり、実際 に研修生が"3K" (きけん、きたない、きつい)と言われる仕事を従事しているが、安心す る就労環境を整えているところが少ない。最低賃金法違反件数は年々増加している。
研修生の死亡、行方不明、不法滞在、それに研修生と企業と労働組合とのトラブルの件 数が年々増加している。
JITCO
(日本国際研修協力機構)の統計によると、 2007年4月から7月の間、日本で意外事故で死亡した研修生が15人、その中で9人が中国研修生。行方 不明になった研修生の人数は平成20年1月1日時点で3136人である。
現行研修制度は「生きるために犠牲者を生み出すシステムであり、さらに言えば弱者が 弱者を生み出す構造」 ※2である。
本来ならば、このような名目だけの研修生制度、技能実習制度で、その上低賃金という 問題も加わっているので、制度の中止を議論するのが正論だと思われる。しかし、日本の 産業界も少子高齢化という現実に直面し、労働力不足を補う手段が必要不可欠となってい る。そこで、研修生を労働者として扱い、労働基準法等を適用させることが望ましい。
研修制度の中止について、日本厚生労働省と経済産業省の意見が合わない。厚生労働省
※ 1JITCO研修制度の概要http ://www.jitco.or.jp/system/seido‑kenshu.htmi
※2 『時給300円の労働者一壊れる人権と労働基準』 2007年7月明石書店外国人研修生問題 ネットワーク編