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6.3.2 用途別の容積率指定制度の導入可能性について用途別の容積率指定制度については、容積率規制はあくまで利用可能な容積率の上限を定め るものであり、必ずしも地域の床供給・需要ニーズに合ったものである必要はない(指定をして も必ず利用されないといけないわけではない)ため、いずれの地区においても導入自体は可能で あるが、導入することで効果が見込まれる地区について述べることとしたい。
用途別の容積率指定制度の導入目的は端的に言えば都心への住宅立地の促進にある。つまり、
現在オフィス用途が支配的となっている地区において住宅に認められる容積率を増やすことで、
都心居住を進め、職住近接による生産性の向上、通勤混雑の減少などの効果を狙うことにある。
第 2 章で示したオフィス用途が支配的(オフィス/住宅比>1)となっている地域で、容積率 規制がオフィスと住宅の床構成を歪ませている=容積率充足率が 100%を超えている地区につ いては、用途別の容積率指定制度の導入によってオフィスの過剰供給と住宅の過少供給を是正 し、社会的効用を高める可能性がある。しかしながら、どういった地域に住宅立地のニーズがあ るかについては十分に分析できていないため、実際に用途別の容積率指定制度を活用する地区 はさらに限られることになる。
なお、都心部への住宅の立地は都心部の住宅の価格を下げ、郊外からの住み替えを促進するこ とに繋がり、ひいては電車通勤における混雑の緩和という正の外部性を持つものと考えられる43。
この点については現在どこに居住している者がどこに通勤をしているのか、というデータを 用いた詳細な分析が必要となる。例えば港区、中央区などの大企業で働く人たちは郊外からの通 勤ではなく、単距離の電車交通・バス交通を利用するであろうし、総武線、常磐線、中央線など の郊外から都心部へ向かう路線の目的地については、明らかに郊外から通勤していると考えら れる。路線ごと、駅ごとのデータ等を用いて詳細な分析を行う必要があるが、総論としては都心 居住が混雑緩和により外部性を高める、ということは間違いないと言えよう。
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の集積をもたらすことにより、推定結果に内生性バイアスを生じている可能性もある。
また、公示地価の変動に含まれるであろう、高容積なオフィスに大企業が集積することによる 地域ブランド力の向上の効果は、他地域からの移転という金銭的外部性に過ぎず、容積率緩和の 根拠とはなり得ない。企業活動の詳細な情報を用いた分析など、更なる分析が必要である。
また、第 5 章の実証分析に関して、オフィス・住宅の延床面積の近隣外部性に影響するのは混 雑・渋滞の発生量であるが、本論では集中交通発生量を被説明変数としており、交通発生量と交 通容量の関係から導かれる交通混雑・渋滞については分析できていない。今後は、発生交通量と 渋滞の関係を明らかにしたうえで分析を行うことが必要である。
なお、第 5 章において述べた通り、平成 20 年から 30 年にかけて勤務・業務に係る集中交通 発生量が大幅減少している。減少の理由は明確ではないが、例えば ICT 技術の発展等により対 面での業務を行う必要性が無くなるなど、勤務・業務に必要な交通に変化が生じている可能性が ある。もし、集中交通発生量の減少が対象期間で発生した特定の要因によるものではなく、今後 も同様な減少傾向が続くのであれば、交通容量に対応した交通量のコントロールという容積率 規制の根拠自体にも見直しが必要である可能性もある。今後、これらの社会状況の変化について 詳細な分析が行われ、行政的な連続性と社会状況に応じた規制のドラスティックな見直しの双 方からの議論が行われることを期待する。
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謝辞本稿の執筆にあたっては、福井秀夫教授(まちづくりプログラムディレクター)、から丁寧な ご指導をいただくとともに、森岡拓郎専任講師をはじめとするまちづくりプログラムの先生方 から貴重なご意見をいただきました。心から感謝申し上げます。
また、貴重な社会人学生としての一年間を共に過ごし、切磋琢磨した同期の皆さまからは多く の励ましをいただきました。このような機会を作っていただいた人事院及び国土交通省の各担 当者にも感謝します。
さらに、ご多忙中にも関わらず、各種の情報提供にご協力いただきました東京都、国土交通省 の皆様には、ここに感謝の意を表します。
なお、本稿における見解及び内容に関する誤り等については、全て筆者に帰します。また本稿 における考察や提言は筆者の個人的な見解を示したものであり、所属機関の見解を示すもので はないことを申し添えます。