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第3時における実践内容と授業分析

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第4節  第3時における実践内容と授業分析

 第4節では第3時の授業の実践内容と授業記録に基づく授業分析について述べる。なお,

第3時の学習指導案は巻末の資料に示してある。

1 本山のねらい

 第3時は,意思決定過程を分析するための準備段階として位置づけている。第1時と第 2時では参勤交代と鎖国を中心に,徳川家光が行った政治の概要を学習していった。第3 時では,その中でも鎖国政策の一環である「ポルトガル人の来航禁止」に焦点化する。島 原・天草の一揆という問題の発生に直面した徳川家光の状況を捉え,意思決定をする際の 選択肢を創造する。また,創りだした選択肢に対してそのメリットとデメリットを考える

ことが本四のねらいである。

2 二時の展開

 まず,教科書巻末の年表(4)と教科書62ページの鎖国が完成するまでの年表(5)を見て,1639 年の「ポルトガル人の来航を禁止」で鎖国が完成したことを確認した。次にポルトガル人 の来航禁止と島原・天草の一揆の関係に注目させ,島原・天草の一揆の概要についてパワ ーポイントを使って説明した。幕府軍が一揆勢を全滅させたことから「徳川家光はなぜそ こまでしたのか(全滅させたのか)」について考えさせ,徳川家光がキリスト教を恐れてい たことを推理した。

 主発問「なぜ,徳川家光はポルトガルの来航を禁止したのだろう?」の内容に入る前に,

当時の日本にとってポルトガルがどういう国であったかを確認した。まずポルトガルが日 本に初めて鉄砲をもたらした貿易国であり,フランシスコ=ザビエルを初めとする宣教師 を排出した国でもあることを確認した。

 ポルトガル人の来航を禁止した理由としては「キリスト教を入れない」という意見が挙 げられた。これは「ポルトガル人の来航禁止」のメリットである。反対にデメリットを尋 ねたところ,「世界からおいていかれる」「ポルトガルと貿易できなくなる」という意見が 出た。また,反対の選択肢については,「ポルトガル人との貿易を続ける」ことが挙げられ,

これについてもメリットとデメリットを考えさせた。

 第3時の前半では島原・天草の一揆という「問題の発生」場面についての概要を押さえ た。後半ではポルトガルの来航禁止とその反対の「選択肢の創造」を行い,両者のメリッ

トとデメリットを考える「未来予測」まで行った。

3 本時の授業分析

 第3時の活動内容は「なぜ徳川家光はポルトガル人の来航を禁止したのか」という問い を追求することで「選択肢の創造」と「未来予測」を行うことである。教師の「ポルトガ ル人の来航を禁止したのはなぜか。」という発問に対する児童の発言は,次の通りである。

「キリスト教が自分の領地に入って来ないようにした。」

「武士を中心とする政治に、邪魔な宗教の、キリスト教を排除した。」

「キリスト教信者が増えるのを恐れ、キリスト教信者の勢力が大きくなるのを恐れたか

ら。」

 匪蚕三璽・画・匿…工1]は,発問に対する答えとしてすべてにキリスト教を挙げてい る。キリスト教を恐れ,キリスト教が入って来ないようにしたというのが発言の内容であ る。これは言い換えるならばポルトガル人の来航禁止をするメリットである。そこで「反 対にデメリットは無いか。」と発問をした。その発問に対する児童の発言を次に示す。

「世界は進歩してるのに日本は進歩しなかった。」

「ポルトガルとの貿易ができなくなる。」

「人々の生活が苦しくなりました。」

  言18はポルトガルに限らず,諸外国との貿易を制限したこと全般に言えるデメリッ トである。ポルトガル人の来航を禁止によって鎖国は完成する。このことから,ポルトガ ル人の来航禁止そのものよりも,鎖国の完成を意識した発言であると考えられる。

 一方の画は,團と比べても発問に対して素直な回答である。授業者が予想し

ていた児童の回答もこれである。

  言20は貿易が出来ないことで人々の生活が苦しくなるというものであるが,根拠が 定かではないため授業ではあまりふれなかった。

 ここまでの活動では,徳川家光の「ポルトガル人の来航を禁止する」という選択肢に対 するメリットとデメリットを挙げることで「未来予測」を行った。この選択肢に対して,

「他の選択肢はなかったのか」「反対の選択もできたのではないか。」と発問した。その発 問に対する児童の発言は次の通りである。

「ポルトガル人の来航を禁止しないで、どんどん貿易を進める。」

  言21は,言い換えるならば「ポルトガルとの貿易を続ける」ということである。こ れは徳川家光の選択に対するもう一つの選択肢である。つまりここで「選択肢の創造」が

されたと言える。

 この「ポルトガルとの貿易を続ける」という発言に対して,「これのメリットとデメリッ トは何か」と発問した。その発問に対する児童の発言は次の通りである。

(メリット)

「食料や色んなものが伝わってくる。」

「新しい食べ物が伝わって、時代が進歩する。」

(デメリット)

「キリスト教が広まる。」

「島原天草一揆に続いて新たに一揆がまた起こってしまうかもしれない。」

「大名とかもキリスト教信者になるかもしれない。」

「キリスト教が広まって、知れ渡って、幕府のいうことをきかない者が出てくる。」

 團と匪招喚コは,貿易によって日本の文明が進歩するという内容のメリットである。

これはもう一つの選択肢のデメリット「日本は進歩しなかった」と対応しているものと考

えられる。

 國,匪i萱互ヨ,匪董:至ヨ,國,はデメリットである。團はここでのデメリ ットの本質であり,もう一つの選択肢のメリットである「キリスト教を入れない」とも対 応していると考えられる。他の発言もキリスト教が広まることに関連するデメリットの内 容である。 言25はキリシタンによる反乱, 言26と 言27はキリスト教が大名など にも広まるというデメリットを示している。

 ここまでの内容は板書に示した通りである(図3−3)。

AのデメリットとBのメリットが「貿易」で対応している。

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AのメリットとBのデメリットが「キリスト教」で対応している。

図3−3第3時の板書と選択肢におけるメリット・デメリットの対応

 徳川家光が選んだ「ポルトガル人の来航を禁止する」をA,新たに創りだした「ポルト ガルとの貿易を続ける」をBとした。AのメリットがBのデメリットと対応しており, A のデメリットはBのメリットと対応している。このことから,選択肢Aを選ぶことはキリ スト教の禁止を優先することであり,反対に選択肢Bを選ぶことはポルトガルとの貿易を 優先することになると言える。

4 本時の成果と課題

 第3時の活動では,選択肢Aに対してもう一つの選択肢Bを創りだし(「選択肢の創造」),

二つの選択肢のそれぞれメリットとデメリットを挙げた(「未来予測」)。

 しかし,それだけでは「未来予測」としては不十分である。意思決定に当面したものは,

どんな結果になるかをなるべく客観的に予想しなければならない(6)。すなわち,そのメリ ット・デメリットが人物にとってどのような結果をもたらすかを考えるまでが味来予測」

である。

 第3時の学習活動で挙げたそれぞれのメリットとデメリットに対して「それは徳川家光 にとってどうか」を宿題で考えさせた。代表的な児童の記述を以下に示す。

(Aのメリット)幕府を保つことができるのが  にとっては大変重要なこと そして キリスト教の信者をおさえ、反対するものがいなくなるというメリットの方が大きいの で家光にとっては良い政策。

(Aのデメリット) 光にとっては幕府を保つことが一番なので、さほど大切というわ けではないが、やはり、世界においていかれるのは、「鎖国」をした時点で承知だった はずなので、気にしてはいない。

(Bのメリット)家光にとっては、人々のくらしが豊かになる程、欲を求め、従ってい た人々も、反対しだす可能性が高くなるため、あまり良いことではない。むしろ幕府を 守れるほうが大切なのだと思う。

(Bのデメリット)幕府が長く続かなくなるのが 光にとって最大の脅威だと思うの で、デメリットの方がそうとう多い。そのためBは、あまり良い政策とはいいがたいの ではないだろうか

(Aのメリット)幕府の命令に従わないものが減り,安心して政治を行うことができる。

(Aのデメリット)新しい物が取り入れできなくなり、輸出することができなくなり、

金もうけできない。

(Bのメリット)どんどんポルトガルの文化などを、参考にして、政治に取り入れるこ とができる。

(Bのデメリット)また、島原・天草の一揆のような、戦いがおこるかもしれない。

國の記述には「幕府を保つことができるのが 光にとっては大変重要なこと」という

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