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◆第4章

ドキュメント内 山 崎 明 子 (ページ 75-87)

「狭あい道路整備事業」と「区内全域の 道路網計画による細街路整備」に関する

区レベル分析

4 「狭あい道路整備事業」と「区内全域の道路網計画によ る細街路整備」に関する区レベル分析

4.1 区内全域の生活道路網計画の進捗状況

防災性向上のためには、個別建て替え敷地の前面道路拡幅という個別問題と してだけではなく、災害時に有機的に機能する道路ネットワーク整備として考 えることが重要である。そこで、各区が区内全域を対象として、どのような「道 路ネットワーク計画」を策定しているか、またその計画の詳細度、具体性、継 続性はどのようになっているのかを、アンケート回答内容から分析した。

その結果、「生活道路のレベルまでの区内全域道路網計画を策定済み」とする 区は、1996 調査の8区から、2009 調査の12区へと、大きな広がりをみせた(表 3-2)。また、「地区内の主要道路」、「主要な区画道路」、「区画道路」といっ た、詳細な生活道路のレベルまでの路線指定を行い、具体化を図っている区が、

3 区から7区へと倍増した。さらに、「生活道路レベルまでを含む詳細な道路ネ ットワーク計画を策定し、具体の路線や整備方策までを指定」している7区の うち6区が、それを都市計画マスタープランに位置づけており、そのうちの4 区が、改定時にもその内容を継承していく方針であることがわかった。(表4-

1、右端)

都市におけるきめ細かな道路ネットワークの実現は、個々の建物・路線・街 区ごとの更新時における合意形成の積み重ねであり、持続的な施策がなければ、

実現不可能である。区ごとの独自の基準で、生活道路レベルまでを含めたきめ 細かな将来像を道路網計画に描き出し、住民参加の下で都市計画マスタープラ ンに位置づけることは、道路網計画が継承されていくことであり、重要な意味 をもつ。

1996 調査時点と比較して、2009 調査時点では、道路網計画が、その詳細度、

具体性ともに向上した。また、ほとんどの区で、都市計画マスタープランに道

路網計画を盛り込んでいることがわかった。さらに、そのうちの大多数が「改 定時にも計画を継承していく」と答えたことから、計画の将来的な継続性も向 上しており、きめ細かな道路ネットワークの実現可能性が高まったといえる。

表4-1 区内全域道路網計画の策定状況の変化

(1)2009 調査の結果

(2)1996 調査の結果

千 代 田 区

○ ○ ○ ○

港 区

○ ○ ○ ○ ○ ○

文 京 区

○ ○

目 黒 区

○ ○ ○ ○

大 田 区

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

世 田 谷 区

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

杉 並 区

○ ○ ○ ○

豊 島 区

○ ○

北 区

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

練 馬 区

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

足 立 区

○ ○

葛 飾 区

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

補 助 幹 線 道 路 幹 線 道 路

都 市 計 画 の マ ス タ ー プ ラ ン で の 位 置 づ け の 有 無

改 定 時 に お け る 道 路 網 計 画 継 承 の 有 無

2009 年度 調査 時点

そ の 区 画 道 路 主 要 な 区 道 路 地 区 内 の 主 要 道 路

新 宿 区

世 田 谷 区 ○ ○ ○ ○

杉 並 区 ○ ○ ○ ○

豊 島 区

板 橋 区

練 馬 区 ○ ○ ○ ○

足 立 区

葛 飾 区

都 市 計 画 の マ ス タ ー プ ラ ン で の 位 置 づ け

(策定作業中)

(策定準備中)

(策定作業中)

(策定準備中)

(策定準備中)

(策定準備中)

(策定作業中)

1996 年度 調査 時点

そ の 幹 線

道 路 補 助 幹 線 道 路

地 区 内 の 主 要 道 路

主 要 な 区 道 路

区 画 道 路

4.2 市街化の歴史的経緯に即した細街路整備手法の分類と変遷

これまで、細街路整備にかかわる現状の問題点および取組の実態を、①2項 道路判定問題(第三章第一節)、②狭隘道路整備事業(第三章第二節)、③生活 道路網ネットワーク計画(第四章第一節)の3つの側面から、調査結果に基づ き分析した。

本節では、これらの結果を、各地域の市街化の歴史的経緯に即して分類する。

すなわち、細街路整備の現状は、それぞれの地域の歴史的経緯に大きく規定さ れているのではないか、東京区部における近現代の都市基盤形成の経緯のうち、

幕末の江戸市街の外側で、特に細街路の形成に関係が深いと考えられる経緯に 着目して、整備のあり方も考えるべきではないか。このような観点から、市街 地形成の歴史に立脚した次の市街地類型により、細街路整備にかかわる現状の 問題点および取組実態との関係について考察する。

第一に幕末の江戸市街の外側で 1900 年ごろから 1925 年にかけて急速な市街 化が進んだ第 1 次スプロール地域、第二に 1910 年代から 1945 年ごろまでの耕 地整理等(耕地整理、土地区画整理、建築線計画、土地改良)区域、第三に関 東大震災の翌年から 1930 年にかけての震災復興区画整理区域、第四に 1948 年 から 1969 年にかけての旧緑地地域指定区域である。なお、上記第一の地域は、

戦後の木賃アパート地域として無秩序開発が進行した第 2 次スプロール地域と 一致している(図1-1)。

そこで、上記第一から第四の区域図を重ね合わせた図4-1を基に、各区の 区域過半を占めている「歴史的経緯による市街地類型」と、「細街路の現状の問 題点」および「整備に関する取り組み状況」の対応関係を、表4-2に整理、

分類した。

※1~※4は、本文中の「市街地形成の歴史に立脚した市街地類型」の、

第一から第四に対応している。

出典;参考文献1-1)および4-1)の掲載図により重ね合わせを行った。

図4-1 東京23区の都市基盤形成に影響を及ぼした歴史的経緯

1910 年代から 1945 年頃までの耕地整理等(耕地整理、土地区画整理、建築線計画、土地改 良)区域※2

1924 年から 1930 年の震災復興区画整理施行区域※3 1900 年代から 1925 年頃の第一次スプロール地域※1

1948 年から 1969 年の旧緑地地域指定区域※4

表4-2 市街化経緯に即した細街路整備取組み状況分類と変化

1996 調査

2009 調査

1996 調査

2009 調査

千代田区 事業無

中央区 事業無

江東区

台東区

○→ ○

墨田区

○→ ○

文京区

○→ ○

港区 事業無

品川区

渋谷区

豊島区

○→ ○ ○

北区

○ ○

中野区

○→ ○

荒川区

○→ ○ ○

杉並区

○→ ○ ○

世田谷区

○→ ○

練馬区

○→ ○

足立区

○→ ○

大田区

葛飾区

○→ ○ ○→ ○

江戸川区

板橋区

○ ○

都市基盤形成に影響 を及ぼした 市街化の歴史的経緯

区名

細街路の問題 細街路整備の重点施策

建て替え敷地 の前面道路

の問題

道路 ネットワーク

の問題

個別建て替え時 の4m未満解消が 進んでいる《スポッ ト的細街路整備先 行型(本文中)と

対応》

生活道路網計画 の具体化が進ん でいる《エリア的細 街路整備先行型

(本文中)と対応》

旧・江戸

「震災復興 区画整理」

1924年~1930年

上記以外

「スプロール地域 」 第一次;1900~1925年 第二次;高度経済成長期

新宿区

「耕地整理等」

1910年代~1945年頃、

「旧・緑地地域 」 1948~1969年

○ ○

目黒区

表4-2において「建て替え敷地の前面道路の問題が有」とは、『4m未満接 道住宅戸数の全住戸数に対する割合が高い』(図1-2で区部平均以上)という ことである。4m未満接道住宅戸数割合が相対的に高いということは、これら の敷地における建築確認の際に、その接道する路線が未判定の場合は2項道路 等の判定作業が求められ、第3章第1節で述べた判定問題の発生頻度も確率的 に高くなることが考えられる。また、第3章第1節第4項で述べたとおり、判 定問題の存在がまちづくり部門にマイナスの影響を及ぼしていることを鑑みる と、判定問題の発生確率が高いと考えられる「建て替え敷地の前面道路の問題 が有」の地区は、まちづくり推進上も困難な要素を抱えていると見ることがで きる。

並びに、表4-2において「道路ネットワークの問題が有」とは、「震災時通 行可能道路率注4-1)が低い」(区部平均以下)ということである。「震災時通行可 能道路率が低い」ということは、災害時の緊急車両の通行に困難な要素を抱え ていると見ることができる。

同様に、細街路整備の重点施策のうち、「個別建て替え時の4m未満解消が進 んでいる」とは、『2004 年から 2006 年までの3カ年における拡幅整備済件数の 4m未満接道住宅戸数に対する割合が高い』(図3-9が区部平均以上)ことを 意味し、「生活道路網計画が進んでいる」とは、2009 調査時点で、『生活道路レ ベルの路線指定と具体化方策を行っている』ことを意味する。

この結果、市街地の成り立ちに共通項のある地域グループごとに、問題点と 対応策の間に一定の関係性がみられた。すなわち、旧・江戸の街として都市の 骨格が形成され、震災復興区画整理施行区域を含む地域グループ(台東・墨田・

文教・港)では、細街路の問題に目立つものはないが、狭あい道路整備事業を 導入している4区中3区で、4m未満の解消が特徴的に展開されている。これ は、例えば谷中地区のように、関東大震災でも第 2 次世界大戦でも被災を免れ た限定地区において、4m未満細街路の解消が、重点的に取り組まれているこ との現れと考えられる。

2度にわたるスプロール(図1-1)の影響を色濃く受けた地域グループで は、個別敷地の前面道路の問題が特に目立つ地域グループ(新宿・品川・渋谷・

ドキュメント内 山 崎 明 子 (ページ 75-87)

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