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ϕ 不変テンソル付き変形環

ドキュメント内 志村多様体の整モデル (ページ 53-58)

SK(G, X)xにおける完備化を記述したい.そのためにG0=Ax[p]ϕ 変テンソル付きの変形環として得られる形式的滑らかな完備局所環を考え,それと比 較することにする.

引き続きMW =D(G0)(W)とおく.命題5.10で示したように{s0α}の固定部分群 G0GL(MW)の連結簡約部分群である*28.このとき次が成り立つ(証明は[Kis10, 1.4.3 (4)]を参照せよ).

補題 5.13 Mk:=MW W k=D(G0)(k)のフィルトレーション Fil1k := Fil1D(G0)(k)D(G0)(k)

G0W k を経由する指標µ0:Gm GL(Mk) によって定まる.すなわち,あ る直和分解Mk = Fil1k⊕Nk が存在して,それに対応する指標µ0:Gm GL(Mk)

µ0(z)Fil1kz倍で,Nk上idで作用する)はG0W k⊂GL(Mk)を経由する.

補題の条件を満たす直和分解Mk = Fil1k⊕Nk を固定する.このときW 加群の直 和分解MW = Fil1W⊕NW であって,Fil1W Wk= Fil1k,NW W k=Nkが成り立 ち,さらに対応する指標µ:GmGL(MW)G0GL(MW)を経由するようなも のが存在する.

G0 の普遍変形環の記述(付録A.3)を思い出そう.NW MW の固定部分群を Pとおく.PGL(MW)の放物型部分群であり,その冪単部分群をUとかき,

Uの単位元での完備化をUˆとおく.このときRuniv := Γ( ˆU,OUˆ)G0の普遍 変形環と自然に同型になる.以下ではRuniv上の普遍変形をGRuniv とおく.

次にϕ不変テンソル{s0α}付き変形環について考えよう*29G0におけるNW の固 定部分群P0◦ ⊂G0は放物型部分群となる([Kis10, 1.1.1]).この冪単根基をU0◦ おき,U0◦の単位元における完備局所環をRunivG0 とおく.構成より次が成り立つ.

命題 5.14 RunivG0Runivの商であり,W 上形式的に滑らかでその相対次元は dimU0◦ = rankW gr1LieG0

となる.

RunivG0 加群MRunivG0 :=MW W RunivG0 を考える.また,{s0α} ⊂MW の像としてテ ンソルの集合{s0α,Runiv

G0 } ⊂MRuniv

G0 を定める.このとき各s0α,Runiv

G0RunivG0 上の自明

*28本稿のG0[Kis10]ではGW とかかれる.

*29[Fal99]ではTateサイクルという概念が導入され,本稿のϕ不変テンソル付きの変形環は,Tate サイクル付きの変形環とよばれている.

なクリスタルからの射1 D(GRunivRunivRGuniv0 ) を与えることがわかる([Kis10, 1.5.4]).

L の素元 π L をとり,E(u) W[u] π の最小多項式とする.W 代数 W[u, E(u)n/n!]n1(FracW)[u]p進完備化をSとおく*30Sϕ(u) =up 満たすFrobeniusϕをもつ.またu 7→π により定まる全射S → OLの核は自然 なPD構造をもつ(例えばγn(E(u)) =E(u)n/n!となる).

このとき次が成り立つ(証明は[Kis10, 1.5.8]および[Kis17, (E.1)-(E.4)]を参照 せよ).

命題 5.15 p >2とする.$:Runiv→ OLRuniv →RunivG0 を経由することと,次 の条件は同値である:ϕ不変なテンソルの集合{˜s0α} ⊂D(G$)(S)で,以下を満た すものが存在する.

(1) ˜s0αs0α∈MW =D(G0)(W) の持ち上げである.

(2) ˜s0αD(G$)(OL)への像をs0α,OL とおくとき,

s0α,OL Fil0(D(G$)(OL)) が成り立つ.

(3) (˜s0α)の固定部分群G0S GL(D(G$)(S))は連結簡約部分群である.

命題 5.16 L0Lの有限拡大体とする.また射$: Runiv → OL0 が与えられたと し,Λ0 := Tp(GRuniv Runiv,$OL0)(1)とおく.さらにGal(Qp/L0)不変なテンソ ルの集合{sα,´et,$} ⊂Λ0⊗ であって次を満たすものが存在すると仮定する.

(1) {sα,´et,$}の固定部分群はGL(Λ0)の連結簡約部分群を定める.

(2) 比較同型

Λ0Zp Bcris

=

−→MW W Bcris

で,sα,´et,$s0α∈MW にうつる.

このとき$:Runiv → OL0Runiv→RunivG0 を経由する.

証明 必要ならLおよびFracW をとりかえることで,L0=Lの場合に帰着できる.

G$ :=GRuniv Runiv,$OLとおく.

*30このSは付録Bでも用いられる.

Breuil–Kisin加群M0 :=M(Λ0)を考える.Step 3の議論と同様にGal(Qp/L) 変な射sα,´et,$:ZpΛ0⊗ϕ不変なテンソルs0α,M0 M0⊗を定め,さらにテンソ ルの集合{s0α,M0}の固定部分群はGL(M0)の連結簡約部分群になることがわかる.

定理B.6よりϕM0をさらに係数拡大したM(M0)についてフィルトレーション を保つϕ同変同型

M(M0)−→= D(G$)(S)

が存在する.特にϕs0α,M0 から底変換によりϕ不変なテンソル˜s0α D(G$)(S) が定まり,{s˜0α} の固定部分群はGL(D(G$)(S))の連結簡約部分群になる.あとは {˜s0α}が命題5.15の仮定(1)(2)を満たすことを示せば十分である.

D(G$)(S)D(G0)(W) (MW W Bcris)においてs˜0αD(G$)(S)s0α にうつることがわかる.よって仮定(1)を得る.また定理B.5 (2)2つ目の同型は フィルトレーションを保つので仮定(2)が満たされることもわかる.よって命題5.15 より主張がしたがう.

Step 5. RunivG0 によるSK(G, X)の完備局所環の記述

SK0(GSp,H±) x に お け る 完 備 化 を Uˆx0 と お き ,Uˆx0 ,→ SpfRuniv

SK0(GSp,H±) 上の普遍アーベルスキームに伴うp 可除群から誘導される射とす

る.Serre–Tateの定理(定理A.36)より,アーベル多様体Ax の変形と,p可除群 G0 = Ax[p]の変形は等価である.また Ax の変形には Ax の偏極とシンプレク ティック・レベル構造が一意的に持ち上がる.よって,Uˆx0 ,→SpfRunivは閉埋め込 みである.

SK(G, X)xにおける完備化をUˆx とおき,その既約成分でx˜の像を含むものZとおく.これにより閉埋め込み

j:Z ,→Uˆx ,→Uˆx0 ,→SpfRuniv

を得る.特に,Z はアフィン形式スキームであり,Z = SpfRZ とかける(RZRunivの商である).RZW 上形式的に滑らかであることを示せば定理5.4の証明 は完了する.

命題 5.17 jSpfRGuniv0 ,→SpfRunivを経由する.

証明Runiv →RZ,Runiv →RunivG0 はともに全射なので,次を示せば十分である:

L0Lの有限拡大体とする.任意の射 $:Runiv → OL0Runiv RGuniv0

を経由する.

F の有限拡大体F0 E を任意にとる.F0 ,→ E ,→v Qpv とかく.F0値点

˜

x0 ShK(G, X)(F0)SpecFv0 SpecF0 x˜0 ShK(G, X)の特殊化がZ に入るも のとする.

Λ0:=Tp(GRunivRuniv,$OL0)(1)とおくと,Λ0=H´et1(Ax˜0,Q

p,Zp)である.Step 1の議論をy = ˜x0に適用することでGal(Qp/L0)不変なテンソルsα,´et,˜x0 Λ0⊗ 得る.{sα,´et,˜x0} ⊂ Λ0⊗が命題5.16の仮定(1)(2)を満たすことを示せば主張がした がう.

Step 1におけるsα,´et,˜x0 の構成より,{sα,´et,˜x0}の固定部分群はGZ(p) Z(p) Zpに 同型となるので,GL(Λ0)の連結簡約部分群である.よって仮定(1)が成り立つ.

仮定(2)を確かめるには比較同型 H´et1(Ax˜0,Q

p,Zp)ZpBcris

=

−→Hcris1 (Ax/W)⊗W Bcris

sα,´et,˜x0s0αにうつることをいえばよい.

比較同型H´et1(A˜x0,Q

p,Zp)ZpBdR

=

−→HdR1 (Ax˜0)F0,vBdRsα,´et,˜x0sα,dR,˜x0

にうつることを思い出そう(定理 5.9).したがって Berthelot–Ogusの比較同型 HdR1 (Ax˜0)F0Fv0 −→= Hcris1 (Ax/W)W Fv0 sα,dR,˜x0s0αにうつることをいえば よい.

s0αの定義と定理5.9より比較同型HdR1 (Ax˜)F Fv

=

−→ Hcris1 (Ax/W)W Fvsα,dR,˜xs0αにうつる.よって仮定(2)は次の主張からしたがう.

主張 sα,dR,˜xsα,dR,˜x0の(Hcris1 (Ax/W)⊗W Fv0) での像は一致する.

主張は[Ogu84, Theorem 3.10]を用いて次の2つを比較することで示される*31

Gauss–Manin接続付き相対1de RhamコホモロジーV|ShK(G,X)F0

v

SK(G, X)上の普遍アーベルスキームから定まる収束アイソクリスタル.

*31[Kis10, 2.3.5]では[BO83, 2.9]を引用しているが,この結果にはZの平滑性が必要なためそのま ま適用することはできない.この事実および[Ogu84, Theorem 3.10]を用いる議論については伊 藤和広氏,伊藤哲史氏,越川皓永氏にご教示いただいた.

ドキュメント内 志村多様体の整モデル (ページ 53-58)

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