10 年以上」。B クラスは「正確な逐次通訳が可能。一般的な分野において、同時通訳 も可能。通訳経験 5 年以上」。C クラスは「商談、随行、ガイド通訳が可能」。
このような分類は通訳者を雇う、または派遣する場合の目安として示してあるのですが、ラ ンクによって仕事の難易度と共に報酬も異なります。通訳者として初めてエージェントに登録 するときは極一般的なケースでは C クラスで始めます。たとえば国際見本市のスタンドにいて、 見学者と出展者の話を訳しますが、本格的な商談や契約は B ランク以上の通訳者が交代します。 仕事を続けて何年か経つと少しずつ難しい仕事を依頼されるようになり、5 年ほど続けて難し い仕事の依頼が続くようになると、通訳者自身がエージェントに昇格を打診したり、エージェ ントから雇用契約の更新の際にランクの変更を提案したりして B クラスに昇格します。次のス テップで A クラスへとランクが上がっていきます。ただし人によっては最初から B クラスや A クラスで登録することもありますし、逆に 10 年以上ずっと C クラスや B クラスの仕事を続け る人も居ます。C クラスにガイド通訳も可能、とあり、報酬も C クラスと同じ程度ですが、ガ イド通訳者の仕事の内容は単なる通訳だけではなく、国家資格を要する特別な位置づけになり ます。
タームが使用されているが、New Idea and New Terms(1913)の著者 A. H. Matter(著名な 宣教師狄考文の未亡人)も認めているように宣教師が作成した文法関係のタームは 1913 年時点 では一般に認められなかった 13) 。西洋人によって西洋言語で著された著作や辞書などは、西洋 言語学の枠組みの中で中国語の音韻、文法、語彙について記述することでは一応の成功を収め たと言ってよいであろう。しかしその中国語で書かれた著作は、中国の読者に言語に関する研 究において新たな道筋を示すには十分ではなかった。馬建忠の『馬氏文通』(1898)や厳復の 『英文漢詁』(1904)はいずれも直接西洋文献から知識を受容したものである。西洋言語学に関 する知識の多くが日本語を学習する過程で導入されたことはこれまでに指摘されていなかった 事実である。言語学のタームは、その大多数を日本語から借用したということがこの点を如実 に物語っている。言語の「科学」的研究は、明治期の日本の学者も目指した目標であることを 付け加えておきたい。中国語を含む言語研究の近代化の過程において、外国、特に日本の影響 等について解明しなければならない点が多々ある。