A. Stephen Gibbs アントニー・スティーヴン・ギブズ
外国語としてのフランス語に対する伝来の教授法をさておかせてもらえば、日本で行われ てきている外国語教育におけるliaison[連声]に対する注目度が未だに極めて低くいままで ある。英語の実際の発声方法に頻繁に見られる連声があまりに無視されてきているゆえに、 いわゆる「カタカナ英語」という、英語らしくない発音様式が、日本での中等英語教育を音 声の面では、逆効果をもたらせてきている。
(課題それぞれの正解については、拙稿末の注釈を参照にしてもらうように願う。)
Key words
① phonic word-linking ② glottal stop ③ omission or replacement of single consonants ④ merging pairs of adjacent consonants
Tu fi gura se ilumina al fuego / Y algo quiere salir. / El chorro de agua en el jardín. / / Alguien tose en la otra pieza, Una voz vieja. / / ¡Cuán lejos! / / Un poco de muerte /
Tiembra en los rincones. (ぼくの心で様々な声が泣く……/もう何も考えるな。/記憶と
苦痛を呼び覚まし、/しっかり閉まらない扉に用心しろ。//物たちは疲れきっている。 //寝室で、/庭が息絶える窓の背後で、/木の葉たちが泣く。//暖炉で世界が憔悴し ている。//すべてが暗く、/何も生を持たず、/ただ西方で/猫の瞳が輝くだけ。// 道を一人の男が遠ざかる。/地平線が語りかけ、/背後ですべてが苦悶していた。/何も いわずに死んだ母が、/ぼくの喉で働きかける。//あなたの姿が炎に照らされて/何か が外に出ようとしている。/庭の水の流れ。//誰かが別の部屋で咳きこむ、/年老いた 声が。// なんと遠いことだろう!//少しばかりの死が/四隅で震えている。) 以上が「悲しむ男」であるが、ここでは詩人自身の母を失くした悲しみが歌われている。そ の中で注目されるのは、“El horizonte habla, / Detrás todo agonizaba.”という 2 行であろう。 “El horizonte”という単語の使用は後の「四角い地平線」をすでに先取りしたものだが、ここ
即ち、週に1回の授業なので、毎回、新しい話題でディスカッションができるようにした。そ して難易であるが、やや難しくて、内容に深みがあって、ディスカッションに熱が入るものに 留意した。
以上のことを考慮して、使用するテキストには Dennis Smith・Junji Nakagawa 著“TRY AMERICA Cultural Keys to Communication”(SANSHUSHA)を採択した。内容は、日本と比較 しながら現代アメリカの抱えている諸問題を論説調に述べたもので、セクハラ、離婚、イジメ、 飲酒・喫煙など、日本でも関心の高いトピックスが取り上げられている。各課400語前後で、 語彙、構文ともに適切な難易度で、グループ・ワークの教材としては格好のテキストである。 本文に加えて語彙、内容把握問題などが Exercises として付随している。(資料1、2参照) 10.グループ・ワークの課題