3 .メキシコにおけるスペイン語教育
3 . 1 スペイン語教育の歴史
メキシコにおけるスペイン語教育はどのようなものなのだろうか。まずはその歴史をみるこ ととする。周知のようにメキシコはかつてスペインの植民地であった。もともとマヤ語やナワ トル語など先住民の言語が話されていたが、16世紀以降、キリスト教の修道士たちがスペイン 語教育を始めた。先住民たちをキリスト教に改宗させることが目的だった。フランシスコ修道 会(1523年)を皮切りに、ドミニコ会(1526年)やアウグスティノ会(1533年)、さらにはイエ ズス会(1572年)がつぎつぎと新大陸へとおもむき、スペイン語を通じて、キリスト教に加え てヨーロッパの芸術やラテン語を伝えた。(Muria, 1982、O’Gorman, 1958、国本伊代2002)や がて、子供や若者のための教育機関、学校を設立している。当初は宣教師が現地の言語を習得 し、伝導することが多かったようだが、時がたつにつれ先住民のあいだにスペイン語が定着し た。今日の南北アメリカ大陸におけるその普及度について、ここで語るまでもないだろう。そ してこのような視点に立てば、かつての宗主国スペインは自国の言葉を外国で教えるというこ とについて、比較的長い歴史と伝統を有しているといえる。
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